nxxmayoxx
DONE画像で読めない人用。Re:construction 全部を上手に無傷で始末出来たら、誰にも彼にも褒められた。賞賛、喝采、歓声。中でも兄からの激励はこれ以上ない幸福だった。地下深い箱庭の中で一番上手に何でもできる兄が、ボクのことだけは出来の良さを声に出して評価してくれる。その瞬間だけは同じ母体から産まれた個体であることを誇って良い気がして、世界全てが手の中に収まったような心地だった。自分と兄だけがその世界には立っていて、兄からの賛美は全部ボクだけのものだった。
だけど少しずつ、少しずつ、美しかった二人だけの楽園が侵食された。被験体が数を増やしていくうちに、突出した才も現れた。有象無象だったものに色が付けられて、見たくもないのに他とは違う確かな輪郭を認識させられる。自分と近しいところへ迫ってくる影に、半ば無意識に怯えている。兄もまたそれらを目にして、あろうことか笑うのだ。役に立ちそうだと笑うのだ。一目置いている、置かれているのか。兄からの褒め言葉を受け取っている者がいるのか。ひやりと背筋を伝った不安はある日、確かに聞こえた声で確定する。いるのだ。ボク以外にも。
1489だけど少しずつ、少しずつ、美しかった二人だけの楽園が侵食された。被験体が数を増やしていくうちに、突出した才も現れた。有象無象だったものに色が付けられて、見たくもないのに他とは違う確かな輪郭を認識させられる。自分と近しいところへ迫ってくる影に、半ば無意識に怯えている。兄もまたそれらを目にして、あろうことか笑うのだ。役に立ちそうだと笑うのだ。一目置いている、置かれているのか。兄からの褒め言葉を受け取っている者がいるのか。ひやりと背筋を伝った不安はある日、確かに聞こえた声で確定する。いるのだ。ボク以外にも。
nxxmayoxx
DONEクリスマスの現パロ転生ヴァイネロ。現世他人の前世記憶ありの気持ちで書いたけどあんまり気にしなくてもOK。
CRYONICS この世界における聖人に因んだ日らしく、世間はお祭り騒ぎだった。光の装飾に巨大な木の飾り、赤い衣装にプレゼント、特別なディナーに甘いケーキ。ボクも兄さんもこうした催しを無邪気に喜ぶ性格ではない。けれど、恋人然としたイベントを逃すのも惜しく思えた。
結局祭りに便乗することを決めて、チキンを詰めた箱を抱えて愛しいひとのもとに向かう。丁寧なラッピングが施されたプレゼントは大きな紙袋の中だ。
大寒波が襲来中らしく、雪が舞っていた。翌朝には積もっているだろうか。雪だるまを並べるなんていうのも懐かしくて少し面白いかもしれない。
施錠された扉を断りなしに開けて、中へ入る。暖房はついておらず、ひんやりとした空気が満ちていた。
908結局祭りに便乗することを決めて、チキンを詰めた箱を抱えて愛しいひとのもとに向かう。丁寧なラッピングが施されたプレゼントは大きな紙袋の中だ。
大寒波が襲来中らしく、雪が舞っていた。翌朝には積もっているだろうか。雪だるまを並べるなんていうのも懐かしくて少し面白いかもしれない。
施錠された扉を断りなしに開けて、中へ入る。暖房はついておらず、ひんやりとした空気が満ちていた。