亜桜黄身
DONE2022/7/23スレイヴちゃんお誕生日おめでとうの気持ちを込めた【ファンフィクション】です。お読みになる方は二次創作であることをご留意いただきお楽しみください。
「礼ならベッドの上で聞いてやる」ぐぎゅう、と可愛らしさより成長期の子どもらしさが勝る音を立てた腹を抱え、スレイヴは部屋を出た。時刻は深夜。先ほどまで彼を抱き潰していた男は、真夏の夜には少々不快に思わせる温もりをシーツに残して消えている。
意識が落ちる寸前「動いたら腹が空いたな」と呟くのを聞いた。ほとんど思考の働かなくなった頭の中でそれに同意したのを覚えている。
一応深夜であることを気遣い足音を消して階段を降りると、目的地である台所から僅かに明かりが漏れているのに気づいた。この廃墟の中にいるのは自分か仲間の誰かで、そのうち台所に立つ物好きは限られている。手元しか見えないほどの微かな明かりの中で何をしているのか知らないが、大方自分の目的と相違ないだろう。
2293意識が落ちる寸前「動いたら腹が空いたな」と呟くのを聞いた。ほとんど思考の働かなくなった頭の中でそれに同意したのを覚えている。
一応深夜であることを気遣い足音を消して階段を降りると、目的地である台所から僅かに明かりが漏れているのに気づいた。この廃墟の中にいるのは自分か仲間の誰かで、そのうち台所に立つ物好きは限られている。手元しか見えないほどの微かな明かりの中で何をしているのか知らないが、大方自分の目的と相違ないだろう。
亜桜黄身
DONE2022/7/23スレイヴちゃんお誕生日おめでとうの気持ちを込めた【ファンフィクション】です。お読みになる方は二次創作であることをご留意いただきお楽しみください。
謎の幸せ時空でデートする勇者と村人前日、イロアスは少し浮ついていた。色白の肌は平生より血色が良く、はにかみと期待を押しつぶす大人しげな表情をしていたもののその瞳は明るく、何より幼馴染に掛けた声色はいつもより甘かった。
しかし何事も上手くいくようには出来ていない。不幸な境遇と釣り合いを持たせるかのように恵まれた才能、世間の評判が変わるにつれてできる幼馴染との距離。目まぐるしい極彩色に咲き誇る彼の人生はいつもイロアスを失意のどん底に突き落とす。
「スレイヴ、明日は予定を空けておいてくれ」
「駄目だ、用事がある」
「……何の用事があるんだ?」
表情が若干強張るのを感じながら、努めて冷静に言葉を返した。
何事にも優先順位がある。スレイヴはそれを間違えてはいけない。己よりパーティーを、イロアスを優先させなければならない。それがスレイヴに求められているものだから。その献身が彼に居場所を与えている。
4641しかし何事も上手くいくようには出来ていない。不幸な境遇と釣り合いを持たせるかのように恵まれた才能、世間の評判が変わるにつれてできる幼馴染との距離。目まぐるしい極彩色に咲き誇る彼の人生はいつもイロアスを失意のどん底に突き落とす。
「スレイヴ、明日は予定を空けておいてくれ」
「駄目だ、用事がある」
「……何の用事があるんだ?」
表情が若干強張るのを感じながら、努めて冷静に言葉を返した。
何事にも優先順位がある。スレイヴはそれを間違えてはいけない。己よりパーティーを、イロアスを優先させなければならない。それがスレイヴに求められているものだから。その献身が彼に居場所を与えている。