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DONE卒業付き合わない世界線の北斗と友也 卒業の季節が迫ってきた。
この頃になると、夢ノ咲学院に存在する部活動のほとんどが、学院の外から後輩を見守っていく三年生と新たに部員をまとめる二年生の間で引き継ぎが行われる。遠征申請書や予算報告書などの書類の書き方や部費の管理の仕方など覚える事が山積みで、年度の変わり目は下級生にとっての踏ん張り時だ。
演劇部もその一つに過ぎない。一年間部長を務めてきた北斗の卒業公演を終えた今は、新部長になる友也に仕事を引き継いでいる真っ最中。部員数は渉が卒業した時点で二人だけだったが、北斗と友也のアイドルとしての知名度も手伝ってか、役者だけでなく「裏方をやりたい」と言う生徒も入ってきた。後輩達は皆、演技力や表現力、演出技術を高めようと日々切磋琢磨し、時には雑談をして笑い合う仲の良い間柄だ。先輩である二人は、そんな下級生達を温かく迎え入れ、毎日演技のアドバイスをしたり、アイデアを出し合ったりしてサポートしてきた。
1489この頃になると、夢ノ咲学院に存在する部活動のほとんどが、学院の外から後輩を見守っていく三年生と新たに部員をまとめる二年生の間で引き継ぎが行われる。遠征申請書や予算報告書などの書類の書き方や部費の管理の仕方など覚える事が山積みで、年度の変わり目は下級生にとっての踏ん張り時だ。
演劇部もその一つに過ぎない。一年間部長を務めてきた北斗の卒業公演を終えた今は、新部長になる友也に仕事を引き継いでいる真っ最中。部員数は渉が卒業した時点で二人だけだったが、北斗と友也のアイドルとしての知名度も手伝ってか、役者だけでなく「裏方をやりたい」と言う生徒も入ってきた。後輩達は皆、演技力や表現力、演出技術を高めようと日々切磋琢磨し、時には雑談をして笑い合う仲の良い間柄だ。先輩である二人は、そんな下級生達を温かく迎え入れ、毎日演技のアドバイスをしたり、アイデアを出し合ったりしてサポートしてきた。
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Valentine北友、バレンタイン 日曜日。
最寄り駅からほど近いデパ地下で、友也はショーケースとにらめっこをしていた。
「う〜ん……」
友也が見つめていたのは、チョコレート。バレンタインを明日に控えた今、どれを渡そうか色々見てまわりながら悩んでいた。
送る相手は、ただ一人。
ショコラフェスでファンに渡すためのチョコレートを学校の調理室でせっせと作ったのは記憶に新しいが、友也はその時よりも真剣な顔をしていた。
ブラウニー、トリュフ、ギモーブ、テリーヌ……。
様々なチョコレートのお菓子がフロア一体に陳列されていて、見れば見るほど迷ってしまう。
これ美味しそう……!でもあの人の苦手な物だったらどうしよう?……あ、これなら食べられそう。だけど値段が……。
483最寄り駅からほど近いデパ地下で、友也はショーケースとにらめっこをしていた。
「う〜ん……」
友也が見つめていたのは、チョコレート。バレンタインを明日に控えた今、どれを渡そうか色々見てまわりながら悩んでいた。
送る相手は、ただ一人。
ショコラフェスでファンに渡すためのチョコレートを学校の調理室でせっせと作ったのは記憶に新しいが、友也はその時よりも真剣な顔をしていた。
ブラウニー、トリュフ、ギモーブ、テリーヌ……。
様々なチョコレートのお菓子がフロア一体に陳列されていて、見れば見るほど迷ってしまう。
これ美味しそう……!でもあの人の苦手な物だったらどうしよう?……あ、これなら食べられそう。だけど値段が……。
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DONE書き始め2022初詣行く北友
書き始め2022「……」
友也の前に立ちはだかる、大きく「小吉」と書かれたおみくじ。
「小、吉……!?」
大吉でもなければ凶でもない。絶妙に微妙な結果を前にして、友也はなんとも言えない気持ちになった。
後からおみくじを引いた北斗も後ろからやってきた。我らが王子様 北斗先輩は大吉のおみくじをもって颯爽とやって来るだろう。友也はそれを期待して振り向く。
「北斗先輩はどうでした?」
「末吉だ」
北斗はそう言って引いたおみくじの結果を友也に見せた。確かに赤く大きな字で「末吉」と書かれている。自分と同じくらい微妙な結果を見て、再びさっきの空気になったと同時に、北斗先輩もちゃんと人間なんだなと友也は思った。
「……なんか微妙ですね」
966友也の前に立ちはだかる、大きく「小吉」と書かれたおみくじ。
「小、吉……!?」
大吉でもなければ凶でもない。絶妙に微妙な結果を前にして、友也はなんとも言えない気持ちになった。
後からおみくじを引いた北斗も後ろからやってきた。我らが王子様 北斗先輩は大吉のおみくじをもって颯爽とやって来るだろう。友也はそれを期待して振り向く。
「北斗先輩はどうでした?」
「末吉だ」
北斗はそう言って引いたおみくじの結果を友也に見せた。確かに赤く大きな字で「末吉」と書かれている。自分と同じくらい微妙な結果を見て、再びさっきの空気になったと同時に、北斗先輩もちゃんと人間なんだなと友也は思った。
「……なんか微妙ですね」
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DONE付き合ってる北友、デート終わり 時刻は夜の七時。
すっかり日も暮れ、真ん丸なお月さまが顔を出し始めた。
連休最後の今日、俺は一日中北斗先輩と一緒に過ごした。ずっと見たかった舞台を見て、お洒落なカフェでご飯を食べて、気になっていたお店を見て回って。北斗先輩は俺のわがままにずっと付き合ってくれた。凄く申し訳なかったけど、一人で行くより断然楽しかった。
何せどこに行くにも何をするにも、北斗先輩はニコニコしていて、俺の心臓は大きく鳴りっぱなし。先輩に手を恋人繋ぎされた時には、風船みたいにどこかへ飛んでいきそうだった。もし俺が飛んでいきそうになっても、先輩はしっかり掴んでいてくれそうだけど。
そうこうしてるうちに自分の最寄り駅に着いた。先輩とはここで別れてしまう。
855すっかり日も暮れ、真ん丸なお月さまが顔を出し始めた。
連休最後の今日、俺は一日中北斗先輩と一緒に過ごした。ずっと見たかった舞台を見て、お洒落なカフェでご飯を食べて、気になっていたお店を見て回って。北斗先輩は俺のわがままにずっと付き合ってくれた。凄く申し訳なかったけど、一人で行くより断然楽しかった。
何せどこに行くにも何をするにも、北斗先輩はニコニコしていて、俺の心臓は大きく鳴りっぱなし。先輩に手を恋人繋ぎされた時には、風船みたいにどこかへ飛んでいきそうだった。もし俺が飛んでいきそうになっても、先輩はしっかり掴んでいてくれそうだけど。
そうこうしてるうちに自分の最寄り駅に着いた。先輩とはここで別れてしまう。
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DONE北友の夏が来ましたね。北友の夏。線香花火編 俺たちは、ふっ……と黙り込んだ。
「せーの」で蝋燭の火に線香花火の先を翳し、オレンジ色の球が出来たら、あとは動かず、その先をじっと見つめる。
「先輩と花火がしたい」と言ったのはつい数日前。俺はすぐ買いに行ったのを覚えている。好きな人の為ならなんでもしてやりたい。当然のことだろう?約束の日、花火の詰め合わせセットを見て喜ぶ友也はすごく可愛かった。
線香花火が先に消えた方が負けという勝負を持ちかけたのは友也だった。隣り合ってしゃがみこみ、二人で集中している為、自然と静かな時間が流れる。
ふと、線香花火から目を逸らし、友也を見る。「こっちを見てくれ」なんて言う隙を見せないほど真剣な顔も心底愛おしく思えて、口元が綻んだ。
512「せーの」で蝋燭の火に線香花火の先を翳し、オレンジ色の球が出来たら、あとは動かず、その先をじっと見つめる。
「先輩と花火がしたい」と言ったのはつい数日前。俺はすぐ買いに行ったのを覚えている。好きな人の為ならなんでもしてやりたい。当然のことだろう?約束の日、花火の詰め合わせセットを見て喜ぶ友也はすごく可愛かった。
線香花火が先に消えた方が負けという勝負を持ちかけたのは友也だった。隣り合ってしゃがみこみ、二人で集中している為、自然と静かな時間が流れる。
ふと、線香花火から目を逸らし、友也を見る。「こっちを見てくれ」なんて言う隙を見せないほど真剣な顔も心底愛おしく思えて、口元が綻んだ。
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DONEデート中に遭遇した北斗ファンの女子に嫉妬した友也「あ、あの……!」
北斗先輩と何度目かのデート中。
若い人に人気のお店が並ぶ通りで俺が夢中になって一人はしゃいでいた頃、北斗先輩が誰かに話しかけられてた。見ると俺と同い年くらいの女の子二人が、少し緊張しながら先輩と向かい合っていた。うっかり単独行動をしていた俺は、離れたところからこっそり様子を見てみることにした。
どちらから喋ろうかと目を合わせていた二人の内の一人が口を開く。
「あの、氷鷹北斗さんですよね……!」
「あぁ、そうだが」
「やっぱり……!わたし達、ずっとファンなんです!」
「そうなのか、ありがとう」
あのTrickstarの氷鷹北斗だと分かり、女の子たちは本人の前でぴょんぴょん跳ねながら喜んでいた。そりゃそうだ。遊びに来た先で推しに会えるなんて嬉しいに決まってる。うんうん、わかるぞその気持ち。
1061北斗先輩と何度目かのデート中。
若い人に人気のお店が並ぶ通りで俺が夢中になって一人はしゃいでいた頃、北斗先輩が誰かに話しかけられてた。見ると俺と同い年くらいの女の子二人が、少し緊張しながら先輩と向かい合っていた。うっかり単独行動をしていた俺は、離れたところからこっそり様子を見てみることにした。
どちらから喋ろうかと目を合わせていた二人の内の一人が口を開く。
「あの、氷鷹北斗さんですよね……!」
「あぁ、そうだが」
「やっぱり……!わたし達、ずっとファンなんです!」
「そうなのか、ありがとう」
あのTrickstarの氷鷹北斗だと分かり、女の子たちは本人の前でぴょんぴょん跳ねながら喜んでいた。そりゃそうだ。遊びに来た先で推しに会えるなんて嬉しいに決まってる。うんうん、わかるぞその気持ち。
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DONE初めて媾う前の北友 先輩の綺麗な手が、俺のシャツのボタンを一つ一つ外していく。
ボタンを外す先輩の手に俺の心臓の音が伝わっていきそうですごく恥ずかしいのだけれど。これからもっと恥ずかしいことをするのだと思うと、身体の内側から熱くなってくる。
視界が涙で歪んだと同時に、先輩の手が止まった。俺の感覚では、ボタンはまだ一つ外れていないけど……。
「……怖いか?そんな怯えた顔をして」
……え、
「俺は友也に、怖い思いをさせたいわけではなかったんだが……」
……待って、
「今日はこれくらいにしよう」
……そんな、
「やはり今の俺達には早すぎた。こういうのはまた改めて……」
……そんなの、絶対。
「……嫌!!」
「…友也……っ」
今のは、俺の口から出たのか?
956ボタンを外す先輩の手に俺の心臓の音が伝わっていきそうですごく恥ずかしいのだけれど。これからもっと恥ずかしいことをするのだと思うと、身体の内側から熱くなってくる。
視界が涙で歪んだと同時に、先輩の手が止まった。俺の感覚では、ボタンはまだ一つ外れていないけど……。
「……怖いか?そんな怯えた顔をして」
……え、
「俺は友也に、怖い思いをさせたいわけではなかったんだが……」
……待って、
「今日はこれくらいにしよう」
……そんな、
「やはり今の俺達には早すぎた。こういうのはまた改めて……」
……そんなの、絶対。
「……嫌!!」
「…友也……っ」
今のは、俺の口から出たのか?
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DONEお互いべろべろに酔った北友、激甘 某日の夜。友也はとても気分が良かった。
明日は同棲している北斗と揃ってオフということで、二人きりで夕方から飲んでいたのだ。友也にとっては長年の夢だったらしく、ウキウキしながら食料やお酒を調達していた。北斗も友也に付き合う形でおつまみを作ったりして一緒に準備を進めていった。
十八時から始まった二人飲みは凄く盛り上がった。ユニット内や事務所であった出来事、家族の事など話は尽きない。何より大好きな北斗と一緒に飲んでいることが嬉しくて、友也はついつい酒が進んでしまっていた。
「ん〜……」
あれから二時間ほど経った。
テーブルの上には北斗が作ったおつまみと空っぽになった缶ビールの数々。
北斗に色んな話をしていた友也はすっかり出来上がっていた。背骨を抜かれたのではないかというほどぐにゃぐにゃになった友也を北斗の肩が受け止める。友也はそのまま肩に頭を預けると「……ふふ」と口角を上げた。
1434明日は同棲している北斗と揃ってオフということで、二人きりで夕方から飲んでいたのだ。友也にとっては長年の夢だったらしく、ウキウキしながら食料やお酒を調達していた。北斗も友也に付き合う形でおつまみを作ったりして一緒に準備を進めていった。
十八時から始まった二人飲みは凄く盛り上がった。ユニット内や事務所であった出来事、家族の事など話は尽きない。何より大好きな北斗と一緒に飲んでいることが嬉しくて、友也はついつい酒が進んでしまっていた。
「ん〜……」
あれから二時間ほど経った。
テーブルの上には北斗が作ったおつまみと空っぽになった缶ビールの数々。
北斗に色んな話をしていた友也はすっかり出来上がっていた。背骨を抜かれたのではないかというほどぐにゃぐにゃになった友也を北斗の肩が受け止める。友也はそのまま肩に頭を預けると「……ふふ」と口角を上げた。
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DONEキスの日の北友。超短い。 夕暮れ時。二人で帰った道も、ここで途切れてしまう。繋いでいる手を離したくないのは、先輩も一緒だったりするのかな?
「ありがとうございました。ここまで送ってくれて……」
「いや、いいんだ。恋人なんだからこれくらいさせてくれ」
恋人。先輩からそう言われる度に口が緩む。俺が北斗先輩の恋人だなんて、まだ慣れないな……。
「じゃあ、」
しっかり握ってた先輩の手が離れてっちゃう。
俺は、まだ……
「気をつけて帰るんだぞ」
先輩の握る力が弱くなった途端、俺は強く握ぎって自分に引き寄せ、先輩にキスをした。
「……」
ふにっとした柔らかい感触はすぐに消えた。間近で見た北斗先輩は凄く綺麗で見とれてしまう。
同時に俺は我に返り、ぱっと手を離した。夕日を背にした先輩は驚きを隠せないでいた。
520「ありがとうございました。ここまで送ってくれて……」
「いや、いいんだ。恋人なんだからこれくらいさせてくれ」
恋人。先輩からそう言われる度に口が緩む。俺が北斗先輩の恋人だなんて、まだ慣れないな……。
「じゃあ、」
しっかり握ってた先輩の手が離れてっちゃう。
俺は、まだ……
「気をつけて帰るんだぞ」
先輩の握る力が弱くなった途端、俺は強く握ぎって自分に引き寄せ、先輩にキスをした。
「……」
ふにっとした柔らかい感触はすぐに消えた。間近で見た北斗先輩は凄く綺麗で見とれてしまう。
同時に俺は我に返り、ぱっと手を離した。夕日を背にした先輩は驚きを隠せないでいた。