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    けだま

    @kdm_kdm_

    60↓ 字書き。北友。

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    けだま

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    #北友
    northFriends

    #北友ワンドロ『眼鏡』 休日の駅前広場。大勢の人が行き交うこの場所で、友也は一人そわそわしていた。忘れ物がないかカバンの中をしきりに漁ったり、前髪をいじったりしてどこか落ち着かない。
     北斗と二人で舞台を観に行く日が、来てしまったのだ。
     勇気を出して自分から誘い、カレンダーにバツ印を付け始めた頃から、友也は今日のことしか考えていなかった。何せ北斗と二人きりでどこかに行くのは久しぶりだからだ。
     お昼ご飯は先輩に食べたいものを聞いてお店を予約した。舞台のチケットもちゃんと二枚ある。楽しみすぎて早く着いちゃったけど、浮かれてるなんて思われたらまずいなあ……待てよ、北斗先輩が来たらどんな話すればいいんだ?「晴れて良かったですね!」とか?それか「少し涼しくてちょうどいいですね〜!」とか?天気の話しか出てこない!あぁあどうしよう……!?
     ぐるぐる考えている友也の後ろで突然、女の子達の黄色い声が響く。驚いた友也も声のする方を見ると、ある人物が顔を真っ赤にする女の子達を見る素振りもなく颯爽とこちらへ歩いてくる。遠くからでもわかる、友也が待っていた人だった。
     とてもわかりやす過ぎた。
    「おはよう友也。すまない、待たせてしまったか?」
    「先輩!おはようございます!いえ!俺も今着いたところです!」
    「そうか」
    「ところで北斗先輩……」
    「む?おわっ……!」
     友也は北斗を見るとすぐ手を引いて人目の付かない場所を探した。商業施設のすぐ横、日の光も入らない狭い路地に辿り着いた。
     改めて友也は北斗の頭のてっぺんから靴のつま先までじっくりと見た。友也は眼鏡や帽子を被っているのに対し、北斗は変装を全くしていなかったのだ。整った顔を隠さず歩いていた北斗を見て気づかない人はほとんどいないだろう。警戒心の無さと潔さに「さすが北斗先輩だなぁ」と感心してしまう。
     待ち合わせしたあの場所は未だに「氷鷹北斗いなかったか?」「北斗くんどこ!?」とざわついているのではないだろうか。
     人気のない場所であれ、誰が聞いているかわからない。友也は小声で北斗に話し始めた。
    「先輩、変装しないんですか?」
    「?した方が良かったか?」
    「当たり前じゃないですか!俺たち一応アイドルですよ!そういうところも北斗先輩らしくて好きですけど……そうだ、舞台まで時間ありますし、変装に使えそうな物を探しに行きませんか?」
    「それはいいな。丁度よく時間が潰せるかもしれん」
    「変装と言ったらまずは眼鏡ですね!とりあえずそこの服屋さんに行ってお洒落なサングラスを探しましょう!」
     そうと決まれば!友也は北斗の手を引いて、ここからでも見える距離にある洋服店に向かって走った。北斗も黒髪を靡かせながら、友也に導かれるまま。二人はほどなくして、洋服店の中へと入っていった。
     久しぶりのデートがこんな展開になるなど想定していなかったが、楽しい一日になりそうだと友也は思った。「事実は小説より奇なり」とは、このことを言うのかもしれない。
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