1110sakura
DONE七夕楓遙SSです🎋一年後に叶う願いを君へ今年も七夕の季節がやってきた。
小さな長方形に切られた画用紙の上にボールペンを置き、遙はううんと唸る。
昔から神様に願い事というものをあまりしてきたことがない。
大抵の願い事は自分で叶えてきたのだ、だけどと手に持ったままのボールペンは未だ文字を生み出すことを拒んでいた。
自分では叶えられない願い事がある。
いや、本当は自分でも叶えられるかもしれないが、思わず神頼みをしてしまいたくなるほど自分にとっては無謀な願いだ。
「はあ…」
思わず漏れたのは大きな溜息。
実を言うと自分には今、好きなやつがいる。
世間一般的には恋愛と呼ばれるであろうその感情に気が付いたのは一年ほど前のこと。
いつも怒ったような顔をして乱暴な言葉をかけるその男の何気なく見せた素の笑顔に心の中で何かが生まれたような、そんな感覚を覚えた。
1929小さな長方形に切られた画用紙の上にボールペンを置き、遙はううんと唸る。
昔から神様に願い事というものをあまりしてきたことがない。
大抵の願い事は自分で叶えてきたのだ、だけどと手に持ったままのボールペンは未だ文字を生み出すことを拒んでいた。
自分では叶えられない願い事がある。
いや、本当は自分でも叶えられるかもしれないが、思わず神頼みをしてしまいたくなるほど自分にとっては無謀な願いだ。
「はあ…」
思わず漏れたのは大きな溜息。
実を言うと自分には今、好きなやつがいる。
世間一般的には恋愛と呼ばれるであろうその感情に気が付いたのは一年ほど前のこと。
いつも怒ったような顔をして乱暴な言葉をかけるその男の何気なく見せた素の笑顔に心の中で何かが生まれたような、そんな感覚を覚えた。
1110sakura
DONEハルちゃん誕生日おめでとうの楓遙SSですプレゼントには口付けを鳴り響いたチャイムに肩を跳ねさせ、遙は玄関の扉へと視線を向けた。
六月二十九日の午後九時を少し回った今。
こんな時間にチャイムが鳴るなんて随分と珍しいと、遙はそっと足音を立てずに扉へと近付く。
明日は真琴達が何やらお祝いをすると張り切っていたが、こんな時間に来るとは聞いていない。
ドアスコープからそっと来客の顔を確かめる。
レンズの向こうには、どこか落ち着かなさげな恋人の姿。
ドアノブを握り、少しだけ間を置いて開かれた扉。
扉の先でどこか安心した様子の楓は、開口一番遙にこう告げた。
「少し付き合ってくれ」
移りゆく窓の景色に視線を向けたまま、遙は楓の運転する車の助手席に腰を下ろしている。
顔を合わせるのは久しぶり、楓とは小さな喧嘩をしていた。
2326六月二十九日の午後九時を少し回った今。
こんな時間にチャイムが鳴るなんて随分と珍しいと、遙はそっと足音を立てずに扉へと近付く。
明日は真琴達が何やらお祝いをすると張り切っていたが、こんな時間に来るとは聞いていない。
ドアスコープからそっと来客の顔を確かめる。
レンズの向こうには、どこか落ち着かなさげな恋人の姿。
ドアノブを握り、少しだけ間を置いて開かれた扉。
扉の先でどこか安心した様子の楓は、開口一番遙にこう告げた。
「少し付き合ってくれ」
移りゆく窓の景色に視線を向けたまま、遙は楓の運転する車の助手席に腰を下ろしている。
顔を合わせるのは久しぶり、楓とは小さな喧嘩をしていた。