komaki_etc
DOODLEアルテで海に行くリクエスト風が心地良いね それならば、と言われた。
それならば、海に行きましょうと。
「都築さんが行くのなら、ついていきます。心配ですから」
麗さんはそう言って、僕の荷造りを手伝ってくれた。日焼け止め、日傘、飲み物、タオル。滅多に使わない僕のカバンはぱんぱんだ。
季節はすっかり夏。ライブで「海の音を聞きたい」と言ったのは本心だ。この時期の、今だけの音というものが存在する。全身で浴びたいと思ったのだ。暑いのは苦手だけれど、暑いからこそ聞ける音もある。僕らは冷たい水を一杯飲んでから出発した。
少しだけ雲の多い日だったのは、幸いかもしれない。海辺に着くと人はまばらで、海水浴をしている人は思ったより少なかった。僕と麗さんは日陰を探したけれどうまく見つからず、持ってきた日傘で影を作った。
1540それならば、海に行きましょうと。
「都築さんが行くのなら、ついていきます。心配ですから」
麗さんはそう言って、僕の荷造りを手伝ってくれた。日焼け止め、日傘、飲み物、タオル。滅多に使わない僕のカバンはぱんぱんだ。
季節はすっかり夏。ライブで「海の音を聞きたい」と言ったのは本心だ。この時期の、今だけの音というものが存在する。全身で浴びたいと思ったのだ。暑いのは苦手だけれど、暑いからこそ聞ける音もある。僕らは冷たい水を一杯飲んでから出発した。
少しだけ雲の多い日だったのは、幸いかもしれない。海辺に着くと人はまばらで、海水浴をしている人は思ったより少なかった。僕と麗さんは日陰を探したけれどうまく見つからず、持ってきた日傘で影を作った。
cotton-rabbit
MEMOお酒を嗜む雨彦さんと都築さん。同棲設定。Tipsy 都築圭と葛之葉雨彦は、ひそかに一緒に暮らしていた。同性であり、同じアイドルでもある。都築は今まで友人の家に居候をしていたこともあってか、引っ越しをしたことには特段怪しまれる様子はなかった。
――二人は、恋人同士でもある。
このことはまだ誰にも言っていない。言う必要性を今は感じられないから。
仕事を終え、夕飯を食べるといつものようにリビングのソファでくつろぐ。都築は一緒に暮らし始めてから、少量だが固形物を口にするようになった。雨彦が言うまでは水しか飲まないが、言えばきちんと食べてくれる。すぐに満腹になるのは、御愛嬌と言ったところか。
時計の針が二十時半を指す頃。携帯が震え、届いたメッセージに目を細める。
2173――二人は、恋人同士でもある。
このことはまだ誰にも言っていない。言う必要性を今は感じられないから。
仕事を終え、夕飯を食べるといつものようにリビングのソファでくつろぐ。都築は一緒に暮らし始めてから、少量だが固形物を口にするようになった。雨彦が言うまでは水しか飲まないが、言えばきちんと食べてくれる。すぐに満腹になるのは、御愛嬌と言ったところか。
時計の針が二十時半を指す頃。携帯が震え、届いたメッセージに目を細める。
cotton-rabbit
MOURNINGお酒飲まされて酔っぱらって雨彦さんにお迎えに来てもらう都築さん。全部捏造だぞ!!現実逃避という名の駄文。 テーブルの上のスマートフォンがけたたましく鳴り響く。恋人の帰りを今か今かと待ちわびていた雨彦は、一つ息を吐いて画面に映る名前を視界に入れた。
「……渡辺サン?」
首を傾げて通話ボタンを押す。聞こえた声は至極慌てている様子だった。
「雨彦! ごめん! 圭さんが……」
恋人の名が出た途端立ち上がり、一つ二つ言葉を交わして車の鍵を手にし部屋を飛び出した。
車を駐車場に停め、たどり着いたは大衆居酒屋。個室にいるという彼に教えてもらった部屋の番号を見つけると何の躊躇いもなく襖を開ける。
—―そこにいたのは。
「あ、雨彦。……あ、あの……これはですね……」
何故か敬語になっている渡辺を一瞥し、テーブルに突っ伏して寝息を立てている金色の髪の傍に駆け寄る。
2204「……渡辺サン?」
首を傾げて通話ボタンを押す。聞こえた声は至極慌てている様子だった。
「雨彦! ごめん! 圭さんが……」
恋人の名が出た途端立ち上がり、一つ二つ言葉を交わして車の鍵を手にし部屋を飛び出した。
車を駐車場に停め、たどり着いたは大衆居酒屋。個室にいるという彼に教えてもらった部屋の番号を見つけると何の躊躇いもなく襖を開ける。
—―そこにいたのは。
「あ、雨彦。……あ、あの……これはですね……」
何故か敬語になっている渡辺を一瞥し、テーブルに突っ伏して寝息を立てている金色の髪の傍に駆け寄る。