pekoucha
DONE・四部あたり・デートしてるだけのグルレノ
・当社比かなーり甘め
青の都のサプライズ 港に着いてすぐ、レノは恋人であるグール=ヴールの手を引いて仲間たちからこっそり離れた。こっそりとはいえ、いつも通り彼らには気付かれていることだろう。
「ほう、アリーチェたちが言ってた通りだな」
レノは街を仰ぎ見て満足そうに言った。陽が照っているのに素肌に触れる春の空気はひんやりとしていて心地よい。
建物も、道も、階段も。視界に入るものはなんでも青に染まっている。屋根の青は空の蒼さよりもずっと澄んで見え、たまに空と屋根の境目を見つけるのが難しいほどだった。ご丁寧に屋根や窓枠、扉までも青く塗装されており、自分まで青色に染まった気分にさせる。青の都。その名のとおりだ、とレノは思った。
この街は、最近新しくなったリゾート地だった。もともとの観光地を賢者の塔が技術提供した魔法で発展させたようだ。街中は魔法や魔道具で溢れている。街全体の青も、魔法によるものだろう。
8410「ほう、アリーチェたちが言ってた通りだな」
レノは街を仰ぎ見て満足そうに言った。陽が照っているのに素肌に触れる春の空気はひんやりとしていて心地よい。
建物も、道も、階段も。視界に入るものはなんでも青に染まっている。屋根の青は空の蒼さよりもずっと澄んで見え、たまに空と屋根の境目を見つけるのが難しいほどだった。ご丁寧に屋根や窓枠、扉までも青く塗装されており、自分まで青色に染まった気分にさせる。青の都。その名のとおりだ、とレノは思った。
この街は、最近新しくなったリゾート地だった。もともとの観光地を賢者の塔が技術提供した魔法で発展させたようだ。街中は魔法や魔道具で溢れている。街全体の青も、魔法によるものだろう。
pekoucha
DONE【3月お題】お互いを見つめる※付き合ってないけど絶対この二人は将来的に付き合います。
※『惨禍の勝利者レノ』のキャラクエを読んだことがある方向け。ネタバレあり。
※ぐるれのだよ。ぐるれのだとおもう。いや、これはかんぜんにぐるれの。っていうくらいのグルレノです。
神を捨てた日 開かずのガンホルダーに眠るものを、グール=ヴールは一度だけ見たことがあった。
仲間もまだ少なく、グール=ヴールが今よりずっと人目を避け、誰かの側に寄ることすら嫌っていた昔の話だ。戦いの最中、レノが吹き飛ばされた拍子に反動でガンホルダーの金具が壊れてしまい、中のものを吐き出したのだ。
黄金の銃だった。なんとも歪な形をしていた。もともと大きさがあっていなかったのか、ガンホルダーからはグリップすらでない小ささだった。レノがそれを拾い上げたときの表情からは、いつも以上に感情が読み取れなかった。
結局、その正体がわかるまで、口にすることすら憚れるような見えない壁に阻まれ続けた。ガンホルダーがいつも、グール=ヴールを拒んでいるように思えた。
9601仲間もまだ少なく、グール=ヴールが今よりずっと人目を避け、誰かの側に寄ることすら嫌っていた昔の話だ。戦いの最中、レノが吹き飛ばされた拍子に反動でガンホルダーの金具が壊れてしまい、中のものを吐き出したのだ。
黄金の銃だった。なんとも歪な形をしていた。もともと大きさがあっていなかったのか、ガンホルダーからはグリップすらでない小ささだった。レノがそれを拾い上げたときの表情からは、いつも以上に感情が読み取れなかった。
結局、その正体がわかるまで、口にすることすら憚れるような見えない壁に阻まれ続けた。ガンホルダーがいつも、グール=ヴールを拒んでいるように思えた。
toricuckoo
DONE #グルレノイヤー【3月】寝起き・朝の支度/お互いを見つめる
たぶん軽い感じで読めるグル+レノ
Lレノは髪もっさもさだなと常々思っているのでもっさもさなレノが書きたくて書きました
レノは旦那のためにも髪をもっと伸ばすといい。そしてユグドの中に占めるレノの体積を増やすといい。
【グルレノイヤー】についてはこちら→https://www.pixiv.net/artworks/116553119
オレにこだわりは無えんだが「よお、今帰ったぜ」
「お疲れ様だったね、レノ。謀略の世界はどうだった?」
「スーツに眼鏡か。なかなか洒落た格好だな!」
久々に帰還した義勇軍本部。仲間たちがわいわいと集まる中、レノは少し離れたところから呆然と自分を見つめるグール=ヴールと目が合った。
――あ、やべえ、旦那が固まってんな。
その姿を見て、レノはようやく「あの時」のことを思い出した。
***
「――レノ、そろそろ起きた方がいいのではないか? 既に日は昇ったようだが」
「……ん、もうそんな時間か」
「今日は君が朝食の当番だと聞いている」
「ああ、もうじき起きるさ。……心配すんなよ、『旦那』」
レノがそう呼ぶ度、グール=ヴールは少しむず痒いような気持ちになる。こんな風に呼ばれるようになった切っ掛けはほんの数日前、レノにはじめてカードゲームとやらを教えられた時だったか。たどたどしくカードを切った自分に呆れるかと思いきや、勝負を終えたレノはそれは穏やかな表情で、親しみと敬愛に満ちた眼差しを向けて自分を『旦那』と呼んだのだ。「初めてにしちゃ上出来だ。筋も悪くねえ」という褒め言葉とともに。
3061「お疲れ様だったね、レノ。謀略の世界はどうだった?」
「スーツに眼鏡か。なかなか洒落た格好だな!」
久々に帰還した義勇軍本部。仲間たちがわいわいと集まる中、レノは少し離れたところから呆然と自分を見つめるグール=ヴールと目が合った。
――あ、やべえ、旦那が固まってんな。
その姿を見て、レノはようやく「あの時」のことを思い出した。
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「――レノ、そろそろ起きた方がいいのではないか? 既に日は昇ったようだが」
「……ん、もうそんな時間か」
「今日は君が朝食の当番だと聞いている」
「ああ、もうじき起きるさ。……心配すんなよ、『旦那』」
レノがそう呼ぶ度、グール=ヴールは少しむず痒いような気持ちになる。こんな風に呼ばれるようになった切っ掛けはほんの数日前、レノにはじめてカードゲームとやらを教えられた時だったか。たどたどしくカードを切った自分に呆れるかと思いきや、勝負を終えたレノはそれは穏やかな表情で、親しみと敬愛に満ちた眼差しを向けて自分を『旦那』と呼んだのだ。「初めてにしちゃ上出来だ。筋も悪くねえ」という褒め言葉とともに。