桜庭🌸
DONE #杏千版ドロライ お題「フリー」お借りしました。杏千 / キメ学軸
「雪見だ〇ふく」と「一夜の秘密(ド健全)」を共有した兄弟が、やがて杏千になっていくお話🍨
はんぶんこ「千寿郎、兄と悪いことをしよう」
にやりと笑った兄は、汗をかいた俺の手を引いてベッドを出た。両親の部屋と空っぽの自分の部屋の前を忍び足で通り、階下に降りる。キッチンに繋がるドアの蝶番の擦れる音すら気になって、慎重にドアを閉める。ぱっと明かりがついたのに驚いたが、センサーライトによるものだ。足元から広がる光の中で、兄が冷凍庫を開けている。流れ漏れた冷気が、ひやりと頬をなでる。その横で何かを探す兄の横顔は、実にうれしそうだ。「悪いこと」をしようとしているとは思えない。兄の真意がわからない。廊下に続くドアの擦りガラスが明るくならないことを祈っていた。
「ほら、千寿郎。お待たせ」
兄の声にほっとして振り向くと、「悪いこと」にしてはちっぽけな、見慣れたものが差し出された。すでにパッケージは剥がされているが、そのアイスの名はすぐにわかった。真っ白な大福が、和菓子切用のスペースまで設けられた専用の容器にぽよんと二つ並んで納まっている。外の柔らかい皮と固すぎないアイスの組み合わせがたまらない、俺の大好きなアイスだ。
3194にやりと笑った兄は、汗をかいた俺の手を引いてベッドを出た。両親の部屋と空っぽの自分の部屋の前を忍び足で通り、階下に降りる。キッチンに繋がるドアの蝶番の擦れる音すら気になって、慎重にドアを閉める。ぱっと明かりがついたのに驚いたが、センサーライトによるものだ。足元から広がる光の中で、兄が冷凍庫を開けている。流れ漏れた冷気が、ひやりと頬をなでる。その横で何かを探す兄の横顔は、実にうれしそうだ。「悪いこと」をしようとしているとは思えない。兄の真意がわからない。廊下に続くドアの擦りガラスが明るくならないことを祈っていた。
「ほら、千寿郎。お待たせ」
兄の声にほっとして振り向くと、「悪いこと」にしてはちっぽけな、見慣れたものが差し出された。すでにパッケージは剥がされているが、そのアイスの名はすぐにわかった。真っ白な大福が、和菓子切用のスペースまで設けられた専用の容器にぽよんと二つ並んで納まっている。外の柔らかい皮と固すぎないアイスの組み合わせがたまらない、俺の大好きなアイスだ。
ひかわ
DONE第一回お題「キス」をお借りしました。#杏千版ドロライ
キスの日 恋文の日
現代杏千
キス文字が書かれた面を伏せた淡黄蘗色の和紙の裏側に、紫色の小さな花を並べる。圧力を掛けらて水分が抜けた花は、庭に咲いていた時の立体感は失くしたが、平面状になっても咲いたままの姿を残していた。
100円ショップで購入したラミネートフィルムに和紙を挟んでから空気を抜き、パンチで開けた穴に赤いリボンを通す。
「兄上…」
思いを込めて愛しい名を呼び、文字に唇を寄せた。
これは決して気付かれてはいけない恋心。
◇◇◇
夕方まで降り続いていた雨は、杏寿郎が帰宅する頃には止んでいた。
「千寿郎は大丈夫だったか?」
ダイニングで一人、遅い夕食を摂る杏寿郎の椀におかわりの味噌汁をよそう千寿郎は、元々の下がり眉を更に下降させる。
「俺が帰る時にはまだ降っていたので、足元がびしょ濡れになりました」
4990100円ショップで購入したラミネートフィルムに和紙を挟んでから空気を抜き、パンチで開けた穴に赤いリボンを通す。
「兄上…」
思いを込めて愛しい名を呼び、文字に唇を寄せた。
これは決して気付かれてはいけない恋心。
◇◇◇
夕方まで降り続いていた雨は、杏寿郎が帰宅する頃には止んでいた。
「千寿郎は大丈夫だったか?」
ダイニングで一人、遅い夕食を摂る杏寿郎の椀におかわりの味噌汁をよそう千寿郎は、元々の下がり眉を更に下降させる。
「俺が帰る時にはまだ降っていたので、足元がびしょ濡れになりました」
ashins_AS
PAST第36回のお題『大嫌い』お借りします。秋の🍁話です。
#杏千版ドロライ
秋の初め頃に ※大正軸
※杏(→)←千
いつからかわからない、散る枯れ葉は彼が一番嫌いな景色になった。
少年は隊服を着てる男の背中を見つめ、静かに部屋の隅に立っていた。両手には綺麗に畳まれた真っ白の羽織、その上には赫き炎刀が置いてあった。物静かな雰囲気の中、布が擦れる音だけが聞こえ、外から吹く風は秋の深まりを感じさせた。時々、先ほど男が言った言葉を連れて、彼の耳元へ何度も何度も繰り返す。
『千寿郎、そろそろ時間だ。』
遠くに響く悠々とした鐘の音が静謐な空間に広がる、その言葉が絡み合い、頭の中の一番空っぽな場所に鳴り響いている。千寿郎は我に返り、机の上にある置時計をチラッと見ると、指針は午後4時にきちんと止まった。
4146※杏(→)←千
いつからかわからない、散る枯れ葉は彼が一番嫌いな景色になった。
少年は隊服を着てる男の背中を見つめ、静かに部屋の隅に立っていた。両手には綺麗に畳まれた真っ白の羽織、その上には赫き炎刀が置いてあった。物静かな雰囲気の中、布が擦れる音だけが聞こえ、外から吹く風は秋の深まりを感じさせた。時々、先ほど男が言った言葉を連れて、彼の耳元へ何度も何度も繰り返す。
『千寿郎、そろそろ時間だ。』
遠くに響く悠々とした鐘の音が静謐な空間に広がる、その言葉が絡み合い、頭の中の一番空っぽな場所に鳴り響いている。千寿郎は我に返り、机の上にある置時計をチラッと見ると、指針は午後4時にきちんと止まった。
桜庭🌸
DONE杏千 / 大正軸 / 兄上の死後の話兄との思い出に縛られて生きたい千くんと、亡くなった家族と新しい世界を見たい炭治郎のお話
#杏千版ドロライ 第25回「束縛」のお題をお借りしています🙏 3101
桜庭🌸
DONE杏千 / 大正軸 / ⚠生存if#杏千版ドロライ
第23回お題「可愛い」「甘い」「癒し」をお借りしています🙏
千くんに甘える兄上と可愛いって言われたくない千くんのお話。
兄上が座との闘いから生きて帰り、かまぼこたち隊士に稽古をつけています。
※一定期間後にフォロワーさん限定に戻します。 4093
呉秋@gosyuu5
DOODLE #杏千版ドロライ第21回 お題:『染まる』『爪』『勉強』
ものすごく短い杏千SSです。
最初は幼い頃の千視点、次に二十歳の兄上視点です。
杏千版ドロライ 第21回
お題:『染まる』『爪』『勉強』
あにうえは、いま おべんきょうちゅうです。りっぱなたいしになるためには、たんれんだけでなく おべんきょうもしなくてはいけないと あにうえはいいました。
せんは まだおべんきょうはむつかしくて よくわかりません。けど いつか ぼくもたくさんおべんきょうをして、りっぱなたいしになります。
おべんきょうちゅうは あにうえは ぼくとあそんでくれません。たんれんのときは ぼくに ほのおのかたをみせてくれたりして とってもたのしいです。けど、おべんきょうちゅうは せんのことをみてくれません。さみしくて つめがのびたおゆびで あにうえのおなかをツンツンしたら こらっておこられちゃいました。はやく おべんきょうおわらないかなぁ。
840お題:『染まる』『爪』『勉強』
あにうえは、いま おべんきょうちゅうです。りっぱなたいしになるためには、たんれんだけでなく おべんきょうもしなくてはいけないと あにうえはいいました。
せんは まだおべんきょうはむつかしくて よくわかりません。けど いつか ぼくもたくさんおべんきょうをして、りっぱなたいしになります。
おべんきょうちゅうは あにうえは ぼくとあそんでくれません。たんれんのときは ぼくに ほのおのかたをみせてくれたりして とってもたのしいです。けど、おべんきょうちゅうは せんのことをみてくれません。さみしくて つめがのびたおゆびで あにうえのおなかをツンツンしたら こらっておこられちゃいました。はやく おべんきょうおわらないかなぁ。