g_arowana
DOODLE雑バディこと、生きるのに器用で不器用な天然デニムとホーさんの話「ってか、ジーニストさん、死ぬっほどモテるでしょうに」
「全く同じことをお前も言われてそうだがな」
人好きのする話好き、という評とは裏腹に、実の所ホークスは、プライベートに踏み込む話が好きではない。単に、話せないことが多いのだ。外向けのシナリオは自白剤を打たれても垂れ流せるほど刷り込んであるにせよ、面倒なものは面倒に違いない。
だから、そんな話になったのは珍しかった。
「黙ってるのはファン向けのサービスって思われてそうですよね、あなたの場合」
「残念ながらご期待に添えず、だ。独り身だよ」
「目の色変えて喜ぶ人のが多いんでは」
ホークスは、紙コップをふぅふぅと冷ます。放り込まれたティーバッグはジーニストの私物だ。超常解放戦線との全面戦争に始まる事件もようやく後始末、対策本部にもこの程度の余裕はできた。
1090「全く同じことをお前も言われてそうだがな」
人好きのする話好き、という評とは裏腹に、実の所ホークスは、プライベートに踏み込む話が好きではない。単に、話せないことが多いのだ。外向けのシナリオは自白剤を打たれても垂れ流せるほど刷り込んであるにせよ、面倒なものは面倒に違いない。
だから、そんな話になったのは珍しかった。
「黙ってるのはファン向けのサービスって思われてそうですよね、あなたの場合」
「残念ながらご期待に添えず、だ。独り身だよ」
「目の色変えて喜ぶ人のが多いんでは」
ホークスは、紙コップをふぅふぅと冷ます。放り込まれたティーバッグはジーニストの私物だ。超常解放戦線との全面戦争に始まる事件もようやく後始末、対策本部にもこの程度の余裕はできた。
g_arowana
DOODLEとこほ・Night Drop(Without Regrets収録書下ろし R-18)の世界線と、酒飲んでるだけの雑バディの世界線の合流ルートです。あの2線合流可能なんかい、と書いたやつが一番思ってます。
ようはこの男は案外、静かに呑むのが好きなのだ。
律儀というか、真面目というか、あるいは貧乏性といってもいいのかもしれないが、ホークスの行動は強烈な目的意識を背骨にしている。目的自体が協調性を蹴り飛ばしていることが多いので、勝手といえば勝手だが、最終的な目的地は概ね公利であるので、そうと断定するのも悩まれる。
場をもたせるにせよ、相手を苛立たせて場を動かすにせよ、酒の一杯にだって何かしら「仕事」を見出してしまうのがこの男だ。その点、相手がジーニストなら、互いに口を出す要は特になく、何かしてやる義理もどこをひっくり返しても見つからない。そもそも、そんなものが必要だとも思っていない。
彼らの呑み会は、耳にした誰もに「盛り上がるのか」と疑念を呈されながら、年に一度あるかないかの頻度で今なお開催されている。
1623律儀というか、真面目というか、あるいは貧乏性といってもいいのかもしれないが、ホークスの行動は強烈な目的意識を背骨にしている。目的自体が協調性を蹴り飛ばしていることが多いので、勝手といえば勝手だが、最終的な目的地は概ね公利であるので、そうと断定するのも悩まれる。
場をもたせるにせよ、相手を苛立たせて場を動かすにせよ、酒の一杯にだって何かしら「仕事」を見出してしまうのがこの男だ。その点、相手がジーニストなら、互いに口を出す要は特になく、何かしてやる義理もどこをひっくり返しても見つからない。そもそも、そんなものが必要だとも思っていない。
彼らの呑み会は、耳にした誰もに「盛り上がるのか」と疑念を呈されながら、年に一度あるかないかの頻度で今なお開催されている。
g_arowana
DONEまだジニさんがホーさんを「君」呼びしていた頃の話。酒飲んでるだけです(本当に酒飲んでるだけなんです)
「ここらで、一人で飲むのにいい店って知ってます?」
会議がようやくはけて退出する廊下、大きく伸びをした男は、その手を頭の後ろで組んで振り返った。羽根が窮屈そうに震え、大人しく背を覆い直す。
「……珍しい質問だね」
「アテのありそうな人に聞いてるつもりなんですが」
曰く、考えごとに適度なノイズが欲しいのだという。キャンパスのカフェに居座る学生を連想し、相手が正しくその年頃なのに気づいて、ジーニストはクスリと笑いをもらしかけた。好奇心旺盛な人間ではあるのだろうが、「モラトリアム」という時間が壊滅的に似合わない。
確かにアテならあったので、行きつけの店をあげてやる。
「ただ、今日の予定だというなら一点問題が」
2237会議がようやくはけて退出する廊下、大きく伸びをした男は、その手を頭の後ろで組んで振り返った。羽根が窮屈そうに震え、大人しく背を覆い直す。
「……珍しい質問だね」
「アテのありそうな人に聞いてるつもりなんですが」
曰く、考えごとに適度なノイズが欲しいのだという。キャンパスのカフェに居座る学生を連想し、相手が正しくその年頃なのに気づいて、ジーニストはクスリと笑いをもらしかけた。好奇心旺盛な人間ではあるのだろうが、「モラトリアム」という時間が壊滅的に似合わない。
確かにアテならあったので、行きつけの店をあげてやる。
「ただ、今日の予定だというなら一点問題が」
g_arowana
DONE来世になってもカップリングにならないNo2と3の雑バディ。まだジニさんがホーさんを「君」呼びしてたころの話。
呑み会に繋げる予定で書き始めたのですが、「特に繋げる必要がないな」と途中で気がついたので今日はここまで(多分いつか書きます) ホークスのデビューは鮮烈だった。
ベストジーニストより上の代には、二十歳もそこそこにナンバー2を不動にしたエンデヴァー、そして勿論、生ける伝説のオールマイトがいる。だから「齢十八にしてトップ10入り」という成績の「前人未踏」面のインパクトは案外大きくなかったのだが、それでも異例のスピードには違いなかった。
端的に、「頼もしいヒーローが出てくれたな」と思ったものだ。ジーニストは社会貢献に積極的なヒーローで、有難いことに支持率にも恵まれている。妥協のない品行方正ぶりは彼の人気の一因だ。「ヒーローが言わずして、一体誰が正論を言えるというのか」と胸を張る彼だったが、その姿勢が、導くべき若者にこそ煙たがられてしまうのには、些か反省の念も抱いていた。その点、ホークスの歯に衣を着せない物言いは、ジーニストでは届かない層にも響くと見えたのだ。
アイコンとして相応しいかについては、実は全く心配していなかった。単に数字を見ての判断だ。特筆すべきは事件解決数以上に、解決スピードと被害の抑制。
犠牲を出さないことにあれだけ特化したヒーローは、全国を探しても希有だろう。
とはいえ、まさかそれから二 2024