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    g_arowana

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    g_arowana

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    とこほ・Night Drop(Without Regrets収録書下ろし R-18)の世界線と、酒飲んでるだけの雑バディの世界線の合流ルートです。
    あの2線合流可能なんかい、と書いたやつが一番思ってます。

    #とこほ
    evergreenTree
    #雑バディ
    buddy

     ようはこの男は案外、静かに呑むのが好きなのだ。

     律儀というか、真面目というか、あるいは貧乏性といってもいいのかもしれないが、ホークスの行動は強烈な目的意識を背骨にしている。目的自体が協調性を蹴り飛ばしていることが多いので、勝手といえば勝手だが、最終的な目的地は概ね公利であるので、そうと断定するのも悩まれる。
     場をもたせるにせよ、相手を苛立たせて場を動かすにせよ、酒の一杯にだって何かしら「仕事」を見出してしまうのがこの男だ。その点、相手がジーニストなら、互いに口を出す要は特になく、何かしてやる義理もどこをひっくり返しても見つからない。そもそも、そんなものが必要だとも思っていない。
     彼らの呑み会は、耳にした誰もに「盛り上がるのか」と疑念を呈されながら、年に一度あるかないかの頻度で今なお開催されている。

       ◇

     必要となれば、ホークスは猥談でも他人の愚痴でもそつなく酒の肴にしてのけるが、二人が顔を付き合わせているのは「そういう面倒がないから」という理由が十割だ。
     だというのに、どうしてこんな話になったのかは分からない。強いて言うなら、それが分からなくなる程度に酒杯を重ねたことが原因だったのかもしれない。
     気づけばジーニストの右耳から左耳に、ホークスの恋愛事情らしき話が通り抜ける流れになっていた。言うまでもなく、ジーニストとしては微塵も関心のない話題である。

     ホークス唯一の教え子が、そのまま同居人になった経緯は聞いている。三年前の、こんな酒の席の話だった。
     成人同士の合意に口を挟む筋合いはない。あえて感想を述べるなら、その前後で両者の挙措に一切違いが見受けられなかったのが突っ込み所とは思う。
    「ま、変わりないんですけど、考えたらそれがびっくりなんですよね。誰かと長続きしたことないんで、俺」
    「そこはイメージ作りのままなのか」
    「だいたい俺が薄情なのが原因です」
    「目に浮かぶ」
    「そもそも人恋しさってやつが薄いんで、どうも優しくなれないっつーか。賢者タイムの人肌きっついなーっつーか。もーピロートーク律儀にやる奴とか尊敬しかなかったですね」
    「……それで最長どれだけ続いたんだ」
     返った答えに、それは最短レコードの間違いではないんだな、と一応の確認をとって、肩をすくめたジーニストは手酌でグラスの中身を注ぎ足す。
     これが行きつけの店ならもう少し話題が選ばれただろうが、残念ながらここはジーニストの自宅なのだった。未だもって最速の名を返上していないこの男を、伝書鳩代わりにしたついでである。対価としては、タダ同然の値とも言う。
     テーブルに戻されたボトルをひょいとさらって、遠慮会釈なくロックを作り足しながらホークスは喉を震わせる。
    「で、仮に、俺と続いてる奇特な相方にこんな話を聞かせたらですね」
    「現恋人との間の話題として破滅的では?」
    「んー、あいつなら、妬くとか妬かないとかじゃないです。当時の俺にふつーに小言が始まります。ヒト的な意味で」

     楽しげな、嬉しげな声の温度に視線を送る。声色どおりの表情が零れているのを見て取って、ジーニストは、本日ボトルの栓を抜いてから初めての感慨をこめて呟いた。
    「……嫉妬の可愛げより、忠言の真心を喜ぶような殊勝さがあったんだな、お前に」
    「まっさかー。例外だけです。他の誰に言われたって、『ふーんそっかー』で終わりですよ」

     なるほど、と頷き、満たしたばかりの酒を半分あける。テーブルをコツリとグラスで鳴らして、ジーニストは半眼で呑兵衛の話に評を垂れた。
    「ノロケが分かりづらい」
    「そりゃすんません」
     何一つ悪いと思っていない様子で、ケラケラと男は続ける。
    「小器用で売ってますけど、ハジメテのことは人並みに下手くそなんです」

     ジーニストは、ふん、と珍しくも行儀悪く鼻を鳴らす。酔っ払いの回収を奇特な男に頼むべく、彼は携帯端末を取りだした。
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    g_arowana

    PROGRESSとこほです(胸を張る)。
    いつか書こうと思ってるR指定のやつの冒頭パートなのでこれはとこほで間違いないです。同居未来。

    現時点ではひっっどい仮タイトルがついてるんで、書き上がるころにはまともなのに出てきてほしい。
     水桶につっこんでおいた夜食の皿と、朝食に使った皿。二人分がにぎやかに食洗に洗われている。余計なものの退いた明るいオープンキッチンで、常闇は二杯目のコーヒーをカップに注いだ。
     朝食中に一杯、食後に一杯、二人あわせて計四杯。豆の量はそろそろ手に馴染みつつあるが、彼ら師弟が揃って食後にのんびりできる機会は多くないため、ルーティーンとはまだ呼びづらい。
     
     常闇が二つのカップを手に向かうのは、ホークスの休むソファだ。アームレストは無垢板で、ちょっとしたテーブル代わりにも使える。その定位置に、常闇はソーサーをかちゃりと置いた。
     カップソーサーを「無駄じゃない?」の一言で片付けそうなホークスだが、意外なことにこのカップは彼が選んだものだ。肉厚でぽってりとしており、つるりとした釉薬の下から素朴な土の質感を覗かせる。その風合いを「古良き名喫茶って感じで、君っぽい」とホークスは喜び、カップは今日まで二人に愛用され続けている。探し始めてからお気に入りに決断するまでの所要時間がものの十分程度だった、という点については、実に彼らしいエピソードと言えるだろう。
    1949

    g_arowana

    DONE鳥師弟。……いや告白してる気がしなくもないのでとこほなのか。どうなんだ。いつものよぅ分からんやつです。
    ヒ暇世というには忙しい未来の休暇話。
     春空に、無数のシャボン玉が舞っている。

     だだっ広い芝生の上では、小学校に上がるくらいの年頃の子供が何人も、空に虹色を飛ばしている。シャボン玉なんて、と最初はバカにしていたのだが、あたりいっぱいに飛ばしているうちになんだか面白くなってしまったらしい。今は大きく頬を膨らませて意気盛んだ。
    「君は遊ばないの?」
     ホークスは、彼らからちょっと離れた芝生に座る子供の隣で屈みこむ。
     今日の彼の姿は、羽をパーカー下に畳んでキャップを被った休日スタイル。身分を保証するものは掲げていない。もっとも、例え羽が見えていても、近年裏方に回りがちな彼をこの年頃の子供がヒーローと認識するかは怪しいところだ。
     鳥型の少年だった。タイプとしては嘴長めの鴉寄り。ホークスの身内とは色味以外はあまり似ていない。そんな少年は、ホークスの馴れ馴れしくもなければ畏まるでもない、あまりに自然な態度に、答えを返して当然だと思わされたようだった。そう仕向けているのはホークスだが、育成環境由来のこの特技には当人も「適性・人さらいって感じだよなぁ」と思っている。
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    g_arowana

    PROGRESSとこほです(胸を張る)。
    いつか書こうと思ってるR指定のやつの冒頭パートなのでこれはとこほで間違いないです。同居未来。

    現時点ではひっっどい仮タイトルがついてるんで、書き上がるころにはまともなのに出てきてほしい。
     水桶につっこんでおいた夜食の皿と、朝食に使った皿。二人分がにぎやかに食洗に洗われている。余計なものの退いた明るいオープンキッチンで、常闇は二杯目のコーヒーをカップに注いだ。
     朝食中に一杯、食後に一杯、二人あわせて計四杯。豆の量はそろそろ手に馴染みつつあるが、彼ら師弟が揃って食後にのんびりできる機会は多くないため、ルーティーンとはまだ呼びづらい。
     
     常闇が二つのカップを手に向かうのは、ホークスの休むソファだ。アームレストは無垢板で、ちょっとしたテーブル代わりにも使える。その定位置に、常闇はソーサーをかちゃりと置いた。
     カップソーサーを「無駄じゃない?」の一言で片付けそうなホークスだが、意外なことにこのカップは彼が選んだものだ。肉厚でぽってりとしており、つるりとした釉薬の下から素朴な土の質感を覗かせる。その風合いを「古良き名喫茶って感じで、君っぽい」とホークスは喜び、カップは今日まで二人に愛用され続けている。探し始めてからお気に入りに決断するまでの所要時間がものの十分程度だった、という点については、実に彼らしいエピソードと言えるだろう。
    1949

    g_arowana

    DOODLEこの間の、嘴が楽しくてしょーがない師がいる時空の話。
    この世界線の彼らのプロポーズ(????)の経緯はこんなでした。

    とこやみくんとかみなりくんの話は珍しい気がする。
     友人が既婚者だつた。
     上鳴は、飲んでいたカシオレに静かに噎せた。
     
     常闇と上鳴は、旧A組の中では特に仲が良かった方ではない。好む話題もベースのテンションも、とかく色々ズレている。
     だが仲の良かった「方」ではないといっても、それは、全員が全員親友だといって過言でないA組基準の話である。二人は一般的には十分以上に仲が良く、こうして上鳴が、飲みの席でも隅を好む常闇の隣に「よう!」と話しに来たりする。加えて言うなら、彼にとって常闇は、個人的に印象深い人間だった。
     彼らにとって超常解放戦線との戦いは今なお忘れがたい傷痕だ。その強個性から学生の身空で「戦争」の最前線に引っ張り出されたとき、上鳴は正直半泣きだった。仲間想いの彼は最後には背後の級友のために奮起したのだが、そういう上鳴だからこそ、ホークスのピンチを叫んで上官の制止を振り切ってしまった常闇に顎を外したものだ。常闇自身の語彙を借りるなら、正しく漆黒の流星のような吶喊だった。
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    g_arowana

    DONE鳥の弟子が師匠を甘やかします。
    Without Regretsの世界線。Pardon? から一週間で引っ越してその翌月なので、たぶん常闇青年21歳4月の出来事です。
     夜警を終えて師のマンション(もとい、先月からは彼の自宅でもあるのだが)に帰った常闇は、リビングの灯りに目を丸くした。
     体が資本の稼業、休めるときに休むのは義務のようなもので、シフトの異なる相手を待って睡眠時間を削ることはお互いしない。実際、向こうも常闇を待っていたわけではないだろう。グラスを片手にホークスは、視線をぼんやり前に投げたままひらりと手を振った。
    「お疲れ」
    「そちらも。……珍しいこともあるな」
    「ん-。ごっめん、ちょっと放っといてくれると助かる」
     いつも通りの軽々しい口調に、ひりついた響きが微かに滲む。ふむ、と常闇は逡巡した。

     さして問題だと思ったわけではない。この人の、回転数の規格の狂った思考回路に無理矢理足踏みをさせようとなったら、化学物質で物理的に止めるくらいしか手がないのは承知している。「どうせ気分が腐って休めないのだから、徹夜で仕事を片付ければ一石二鳥」などと言われるより余程安心だという話だ。酒精で体をいためるほど自分を甘やかすことなど、良くも悪くもできない人なのだから。
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