ひらひら おにぎり屋の店の二階、木造の部屋の窓を開けて風を招く。四月になっても陽が沈めばひんやりする空気にベランダに出る気にはならず、その手前に座り込んでカッとなった体温を冷やした。
大して広く無い部屋だ。視線を向けるだけでここからでも冷蔵庫が見えて、その中に入れた物のことを考えた。
「はぁ…」
一緒に食べようと思って持ってきた時には、まさかこうなるとは思わなかった。どちらも悪くないのに、喧嘩するほどのことでもないのに、治は頭を冷やすと言って外に出て行ってしまった。
正しいことを言えばいい、というだけではないことはわかってる。でも、他にどう言えば良かったのかも、まだわからない。お互いを思えばこその衝突だって、わかってる。
4347