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    だみだんだり

    中身が全く無い日記を2020年12月19日から描いていました(過去形)
    【2021年3月31日】タグを付けました[ギャレツのクソ日記]
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    だみだんだり

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    警告:オリー王、ブンボー軍団擬人化(三回目)。100%妄言。ブ軍の容姿はポイピクである程度確認できます、服に統一感のある奴らです。

    内容:最後の文房具が目覚め、全ての物語の下地が出来るまでの妄想話。

    序開きの島「しっかしよぉ、こいつ起きるのトロくね?もういいんじゃねーのー」


    とある島。文房具たちの目覚めた部屋で、最後の一人を待ちきれない金髪の男、パンチは軽くセロハンテープの台を蹴った。

    イロエンピツも目覚めてからそれなりにこの部屋で時間を過ごした。わゴムが目覚めた際に能力の話も受け、それぞれが自分の力の確認を終わらせている。
    パンチは二番目に目覚めた故かなり暇なのだろう。

    オリー様より力を与えられたものの、未だ目覚めていないのはセロハンテープだけ。パンチの疑問にオリー様が静かに答える。


    「…おそらく、テープ台の存在もあるからだろう。セロハンテープは単体では使えない。そのテープ台とそれに付属している…………ギ、ギザギザがいるからな…」


    少し口篭りながら「ギザギザ」と言うオリー様。確かあのテープ台にあるギザギザ部分は『テープカッター』という名だった気がするが。
    ……ド忘れしてしまったのだろうか。だがわざわざ訂正するのは不躾であろう、そう思って何も言わなかった。

    パンチはガスガスとセロハンテープを台ごと踏みつけながら「単体で使えねーとかゴミじゃね」などと罵倒している。


    「その点おれッチは優秀、単品で使える」

    「おまえもカバーないと不便だろ、似たようなものざんスよ」


    そう指摘すると、パンチは少し目を開いて視線を逸らした。自分関係ないですけど?と言いたげな表情だ。
    はぁ、と呆れため息を吐いていると「あっ」という声が下から聞こえた。すぐ近くにいた深緑色の髪をした少年、ハサミの方に視線を落とすと腕を伸ばしてパンチの方を指し示している。
    視線をそちらに動かすといつの間にかセロハンテープは人の形になっていて、しっかりパンチに頭を踏まれている。

    パンチは視線を落としびっくりした顔で「おおー」と声を出した。


    「ワリーワリー、全然気ぃ付かなかったわ」


    そう軽く謝罪の言葉を述べるが、ヘラヘラした顔のまま足を退ける様子がない。セロハンテープはぐっと両手を床に押しつけ、ガバッと起き上がる。パンチは反動で倒れていった。

    そして一言。


    「テメェ何オレっちの頭踏んづけた挙句足どかさねーんだよ!!!」


    どうやらセロハンテープはとても怒りやすい性格をしているようで、パンチに向かってギャアと喚く。
    少し面食らったような表情を見せたパンチだったが、直ぐにヘラヘラしながらズレた帽子を被り直す。


    「へへ、おれッチと一人称カブってんじゃん、おれッチの方が先輩なんだし後輩は遠慮してやめろよな。オイラとかどうだよ、きっと似合うぜ〜。
    あと頭を踏んでたのは成り行きだし、オマエが起きるのおせーからだろ?」


    話しながら起き上がったパンチは、先程からずっと口に入れていたキャンディをセロハンテープに差し向ける。そのタレ目と薄ら笑いが気に入らないのか、セロハンテープは「ぁ!?ナメたツラしてんじゃねェぞ!」と怒鳴り返す。


    「まあそうカッカするなって」


    そんな相手の怒りなんぞ知ったことかと言わんばかりに、飄々とした態度を崩さないパンチはさっきまで食べていたキャンディをセロハンテープの口にねじ込んだ。
    その時グイッと押されたせいか、それとも起き上がる時に踏まれていたせいか。頭が後ろへ揺らぎ、セロハンテープは反射的に頭の方を押えた。

    よく見ればセロハンテープの首はテープで出来ており、頭と体は繋がっていない。


    (なんか、容姿が変な奴ばっかりざんスね)


    脚が見えず一見浮遊しているように見えるパンチ、どう見ても人の型をした犬のホッチキス、身体の八割ほどを自分のゴムで偽装しているわゴム、手足がほとんど無いハサミ、首のないセロハンテープ、そして腕や脚のないイロエンピツ。
    オリー様の力が不完全な訳ではなく、むしろ強いが故に我々文房具が姿を作るのに苦戦した結果なのかもしれない。

    パンチは新しいアメを上着の内側から取り出して口に入れる。セロハンテープが頭の位置を調整し、先程突っ込まれたアメを口から取り出して「オイお前!」と声をかける。


    「あーん?」

    「これお前の食いかけだろうが!何新しいの食ってんだよ!」

    「ぁあ?今はオマエの食いかけじゃん、おれッチ食べたくないで〜す。オマエセロハンテープだしぃ?ベタベタしそーだしよ(笑)(笑)」

    「んだと!!?つかセロハンテープって何だ!!!」


    セロハンテープとはアイツの名前なのだが、目覚めたばかりの本人は理解していないようだ。仕方の無い事だ、他の皆も目覚めたばかりの時に自分が何者なのかを理解していなかったのだから。
    …勿論自分も例外ではなく、オリー様に名を呼ばれ己の正体を教えられるまで己の事が何一つ分からなかったのを思い出した。


    吠えるセロハンテープに「あー怖い怖い」と返しながらパンチはそっぽを向き、ヤツの相手をする気が無いことを態度で表明した。
    チッ、と舌打ちをしたセロハンテープは仕方なくキャンディを口に入れた。


    「…………満足したか、セロハンテープ」


    そんなセロハンテープに音もなく近づくオリー様。止めようと思えば止められただろうに、わざわざ喧嘩が一区切り着くのを待っていたようだ。
    見上げてくるオリー様に視線を向けるセロハンテープ。睨みつけるようにオリー様を見た直後、何かに怯えるような表情を一瞬見せ、アメを咥えたまま小さく「……ウス」と返答した。

    その様子を遠くからニヤニヤと見つめるパンチの視線に気づいたのか、バッとセロハンテープは顔を上げその方を見る。パンチは即座に視線を逸らし、知らん顔をする。
    口をゆがめてイライラしている様子のセロハンテープにオリー様が「お前に話しておくことがある」と声をかけると、即その方へと向き直った。
    おそらく奴、及びオリー様が何者であるのか。そして文房具としての力の説明だろう。

    ふわふわと移動してパンチの元へ向かうと、ちらりとこちらに視線を向けてきた。


    「なんだイロエンピツか、オリー様かと思ったぜ。お揃いでフワフワしやがってヤヤコシー」

    「おまえ、なんでアイツに喧嘩売ったざんス?会って間も無いのにだいぶおまえのこと嫌ってるみたいざんスよ」


    そう問いかけるとパンチは小さく笑い声を上げた。そしてニヤリと笑い、横目でこちらを見上げる。


    「別に喧嘩売った覚えはねーよ?ただあのヤローがおれッチの発言に勝手に噛み付いてきてるだけじゃん」


    それはそうだが、怒るセロハンテープを更にヒートアップさせるような事を言っているのも事実だ。
    正直なところ、スルースキルのないセロハンテープも悪い気がする。……ヤツを怒らせるような事をしつこく言うパンチには、もっと非があると思うが。
    大方セロハンテープのオーバーな反応が面白いのだろう。忠告した所で煽るのを止める気は無さそうだが…一応言っておくか。


    「……しかしアイツは怒りやすい奴みたいだし、あんまり煽ったりするんじゃないぞ。喧嘩ならオリー様が居ないところでやるざんス」

    「へーへー。まぁおれッチ煽ってねーけど」

    「はぁ…勝手に言ってろ」


    やっぱり意味なかった。

    頑なに煽っていないと言い張るパンチのことは放っておくことにした。
    オリー様とセロハンテープの方を見ると、自分の力をある程度コントロール出来ているらしく、首元からテープを出して頭を上に持ち上げている。


    (わゴムを除けば与えられた力に慣れるのが一番早かったのもパンチだったな。パンチをあんなに毛嫌いするのは同族嫌悪ってヤツざんスかね?
    ……いや、絶対頭踏まれてた事が原因だろうな)


    そんなふうに思いながらそちらの様子を眺めていると、セロハンテープが頭を元の位置に戻す。オリー様がくるりとこちらに顔を向け、全員に声をかける。どうやらセロハンテープの物覚えが良かったために、説明と実践が早く終わったようだ。


    「……全員揃った、そろそろ始めるぞ」


    そう言ったオリー様は部屋の真ん中に置かれていたオリガミのオブジェの近くに移動する。
    他の奴らは思い思いの場所に立ち、ほかの皆が並ぶのを見てからイロエンピツはセロハンテープとわゴムの間に行く事にした。なるべくパンチとセロハンテープの距離を作っておいた方が良いと思ったからだ。


    「ねー誰か持ってー」


    後ろの方から声が聞こえ、その方を見ると両手を上げたハサミが自分の事を持ち上げろとアピールしていた。それを見たパンチは隣にいたわゴムを肘で突き、「腕余ってるじゃねーか」と言った。
    下腕を組んでいたわゴムはフゥと息を吐き、ハサミの元へ向かい下腕で持ち上げ、元の位置へ戻って来た。
    わゴムの下腕の中で大人しく掴まれているハサミを見下ろしながら、「おまえは飛べるだろ」と言及した。するとハサミは不満そうな表情を浮かべる。


    「滞空してる時ずっとフワフワするから飛びたくな〜い」

    「……」


    ハサミは刃を出す自分自身の力のコントロールは上手く出来ているのだが、オリー様よりいただいた浮遊する力が上手く使えていないらしい。第三者視点では分からないのだが、ハサミからすると滞空時ずっと上下に体が動いていると言う。
    そのせいもあってか、ハサミは飛んだ方が早いのに歩いている事が多い。

    わゴムも別段嫌そうではないし、そこまで気にする必要もないか。あくまでも空中で留まるのが嫌だと言っているだけだし、飛んで移動するのは問題ないのだろう。
    ……それなら何故わざわざ歩くんだ。足がほとんど無いコイツだと馬鹿みたいに時間がかかるというのに。

    しかしそこにも言及していては話が進まない。イロエンピツはオブジェの方へと顔を向ける。
    オブジェを少し越える位置に浮かんだオリー様は話し始める。改めて、何故我々文房具に力を与えたのかを。


    「お前達にはそれぞれ話したと思うが、私は未来の『オリガミ王国』に君臨する王、オリー王だ。
    だが、この世界に未だ私の王国は存在していない。……この世界は、私の望む世界の形ではない。

    私の野望、それは憎きキノピオ共を一人残らず折りたたみ、ペラペラ達をオリガミ兵として生まれ変わらせ、この世界をオリガミによるオリガミのための『オリガミ王国』に作り替えること。

    だが、私の望みはそう簡単に叶うものでは無い。この世界には『英雄』と讃えられる男と、『魔王』と恐れられる怪物がいる。オリガミ王国の支配下へ置けるのであれば簡単な話だが、そうはいくまい。

    この世界を作り替えるなどと、『魔王』が許すはずもない。キノピオ共を片っ端から折りたたむなどと、『英雄』が許すはずもない。

    故に私はお前達に力を、知恵を、肉体を与えた。私の野望を叶えるための戦力としてな」


    それを聞いた文房具達は、それぞれが様々な反応を示したが、オリーに意見する者はいなかった。
    オリーは話を続ける。


    「私の野望を叶えるため、手始めにこの国にあるピーチ城を乗っ取る。その後城を紙テープで縛り、誰にも侵入出来ないようにした上で更に城ごと離れた場所に移す。
    それで…お前達にしてもらうことは『紙テープ』の守護だ。紙テープは設置場所へと予めオリガミ兵に持っていかせる。お前達はただそこへ向かい、敵から紙テープを守ればいい」

    「へー、城の守護とかじゃねーんだ」

    「紙テープで守った上、城ごと引き離し、更にはその紙テープをミー達に守らせる…厳重ざんスね」

    「そこまで厳重にしているのなら、紙テープも一筋縄では行けないような場所へ置くのかヨン?」


    パンチ、イロエンピツ、わゴムがそれぞれ語ると、オリーはまとめて「ああ」と短く返答した。


    「但し、お前達が敵からダメージを受けるほど、お前達の体を構築している私が与えた魔力も失われていくだろう。
    お前達が負けた時…その体は跡形もなく消し飛ぶと思え」


    その言葉を聞いて、文房具達の表情は一様に固くなる。しかし皆の表情は直ぐにほぐれた。ペラペラなどという薄っぺらい存在に負けるなど、想像する方が難しい。特に余裕そうなハサミは声は上げずともニコニコ笑っていた。

    オリー様は一番左にいたセロハンテープから右側に向け、順繰りに担当場所を伝えた。

    セロハンテープは紫テープを大海原のウナバラタワーで、自分は赤テープをミハラシタワーで。
    続いて、わゴムは青テープをOEDOランドで。ハサミは少し特殊で、緑紙テープを運ぶオリガミ兵と共に天空に浮かぶ『魔王』の城を占拠するため向かえとの事だった。
    パンチは黄色紙テープをヤケスナ大砂漠で。暑い場所なので少し文句を垂れていたし、折角自分が考えて距離を作ったというのにわざわざヤツに近づき喧嘩になりかけた。
    結局はオリー様に言いくるめられたが。


    「…そしてホッチキス」

    「ハイっす、自分はどこで…」

    「お前は私と一緒に行動しろ。いいな」

    「……エ、ハ、ハイっす!」


    一番右にいたホッチキスは紙テープの守護ではなく、オリー様の守護を任されたようだ。一通り皆にやるべき事を伝えたオリーは、「最後に伝えておくことがある」と言った。


    「私には妹がいる。いや、厳密に言えば『いるはずだった』だが。
    私を折ったキノピオの………………メモに、あったのだ」


    『メモ』という言葉をオリーはひどく不愉快そうに口にした。その単語がよっぽど気に入らないのか、オリーは少しの間黙り込んでいたが直ぐに話しを再開した。


    「その妹、オリビアはまだこの世界に居ない。だが、あの城は…オリガミ城は私の城だが、オリビアの城でもある。
    だから、私はオリビアをここで折る。…紙テープの準備をしてからだが」


    そう語り、オリー様はふわりと宙を飛んで部屋の隅にあったテーブルへと向かった。何か折るつもりなのか、掴まれていたハサミがわゴムの手の中でモゾモゾ動きながら身を乗り出すように動いて声をかけた。


    「オリーさま〜なに作るの〜?」

    「オリガミ兵だ。紙テープを運ぶ為や城を占拠する際必要だからな。
    すぐ終わるだろうが…お前たちはその間自由にしていろ」


    そう言われ、集まっていた文房具達は散り散りになる。イロエンピツはオリーの言っていた『妹』が気になったのか、オリーの元へと近づいた。


    「作業中に失礼するざんス、オリー様。…気になったざんスが…妹様ってどのようなお姿をしてるざんス?」


    こちらを見ることも無く、オリー様は片手でオリガミをテキパキと折りながら片手である一点を指す。
    その方を見ると白いオリガミがあり、そこにはオリガミの少女が描かれていた。所謂デザイン案のようなものらしく、折り方などは書かれていなかった。

    クールな雰囲気のオリー様とは対象的に、絵から感じ取れる分には明るく可愛らしい雰囲気だ。


    「ほー、こいつがイモートチャンね」

    「オリー様に似てキレイな子だヨン」


    スッと隣から顔を出してくるパンチ。後ろから現れたわゴムはイロエンピツの肩から顔を出してそれを見つめていた。後ろの方から「ぼくにも見せてー」という声が聞こえる。

    …オリー様の近くでぎゅうぎゅうに集まったら、オリー様が迷惑だ。その場から離れて改めて皆でその紙を囲うように見た。


    「オリー様は凛々しいっすけど、この子は可愛いっすねぇ…動いたらもっと可愛いんすかね…」

    「……なんだよホッチキス…お前気持ち悪いぞ…」

    「ぼくにも見せて!ねー!」


    何だかデレデレしているホッチキスに引き気味のセロハンテープ。ハサミは下で喚いていたが、誰も自分の話を聞いてくれない事に腹が立ったのか、ふわりと浮かび上がってホッチキスの頭にしがみつき、妹様の姿を確認した。


    「オリーさまに似てるね」

    「そりゃ妹様だからそうだヨン」

    「ちょ、グイグイ押すなっす!首痛いっすよ!」


    訴えるホッチキスの言葉をガン無視して、ハサミはホッチキスの頭をグイグイ押している。もしかしてわざと押しているのか?
    「あー!」と言いながらホッチキスは頭に引っ付いていたハサミの首根っこを掴み上げ、抱き上げる形へ変えた。その方が楽だろう。
    しかし妹様の絵を見飽きたのか直ぐに「降ろしてー」と暴れ始めるハサミ。自由気まま過ぎる。


    …それから少しの間、皆自由に部屋の中を見て回ったりしていた。
    わゴムは本棚で本を読んでいるようで、その隣にはセロハンテープが。何か話しているようだったが、内容までは分からなかった。
    パンチは目覚めた時にも漁っていたキャンディの入っている棚を漁っていて、ホッチキスは壁に飾られているオリガミを鑑賞していた。ハサミは…部屋に元々あったのか、真っ黒な紙を切りながら遊んでいるようだった。

    自分は本棚から見つけた『ミハラシタワー』が特集されていた本を見ながら、紙に簡易分解図を描きながら作戦をしたためていた。途中、後ろから二人ほどの視線を感じ少し気になったが無視した。


    それから間も無く、数分しか経っていないであろうタイミングでオリー様が何か思い出したかのように六人全員に声をかけた。
    この数分で必要なオリガミ兵が出来上がったとは思えないが、オリー様なら有り得るかも…と考えたがハサミが聞くにはどうらや違うようだ。

    オリー様は妹様が自分に逆らう可能性があることを語り、その時には妹だろうと関係ない、容赦するな、と仰せた。

    しかしその表情や声には少し、ほんの少しだけ違和感のようなものがあるような。……気の所為かもしれないが、一番そういうのに敏感そうなわゴムに問いかけた。
    わゴムもそれを感じていたようで、自分よりも具体的にオリー様から感じられた物を答えた。その後わゴムは己に心酔し始めたのでそっと離れた。
    急にあんな牙剥き出しでニヤリと笑われたら流石に怖い。


    それから数十分後だろうか。オリガミ兵が数体出来上がり、プロペラの着いたオリガミ兵が三体ほどに固まってゾロゾロと部屋を出ていった。どうやらアレが紙テープを運ぶ役らしい。


    「ハサミ、お前も向かえ」

    「はーい。じゃあみんなお先に〜」


    オリー様から命令されたハサミはオリガミ兵に続いて部屋を出ていった。…流石にこの時ばかりは歩かず飛んで移動していたが。
    その服の下から黒い紙のようなものが見えていたが、あれはなんだろうか。気になったが呼び止めてまで確認するのもどうかと思うし、さっきまで黒い紙を切って遊んでいたようだし恐らくはそれを持って行ってるのだろう。
    続いてオリー様が部屋を出る。全員揃ってその後を追い、外へ出た。

    外の景色は初めて見たが、海の雰囲気も紙っぽいのには驚いた。近づいて島の端を見ると、打ち付けてくる波の水しぶきすら紙っぽい。この世界にとってはこれが普通なのだろうが、なんだか変な感じだ。


    「にしてもまあ…よく運ぶもんだね」


    そう語るわゴムの声が聞こえ視線の先を追うと、赤と青と黄色の紙テープがオリガミ兵に持ち上げられながら同じ方角へと飛んでいくのが見えた。
    あれはかなり重そうだが、運搬が三〜四体程で済む辺りは、オリー様の魔力あってのことだろう。


    「イロエンピツ、わゴム、パンチ、ホッチキス。行くぞ。
    私もお前達の向かう方に用がある、一時的にだがお前達に同行する」


    そう語るオリー様はふわりと空を飛びながら付いてくるよう促している。セロハンテープは少しの間留守番らしい。
    自分もその後を追って宙に浮かぶが、「オーイ」と下から声が。その方を見るとわゴムとパンチとホッチキスが無表情でこちらを見上げている。


    「おれッチ達どーすんのオリーサマ。海の上走れってかー?それともわゴムの体を船に改造しろってかー?」

    「ワタクシが船首像の船?フフフ…悪くないヨン…美しさと強さを兼ね備えた船、ワタクシ……」

    「…………ジョーダンだってのにコイツ真に受けてね?勘弁してくれよ、だからおれッチこいつ苦手なんだよ……」


    苦い顔でわゴムの事を見るパンチ、困惑した表情を浮かべるホッチキスとセロハンテープ。わゴムは三人からの視線を全く意に介せず、自分の世界に浸っている。
    またアレだ、と目を細めてその光景を眺めていると、オリー様が両手を上げている。その手には紫の光がまとっており、魔法を使っているのが分かる。

    紫の光に包まれふわりと浮かぶパンチ、わゴム、ホッチキス。三人だけでなく地上に残っているセロハンテープも驚いた様子で口を開き、それを見上げていた。

    オリー様はヒモを持つように手を握り、こちらに顔を向ける。


    「まずはピクニックロードの近くにある『土ガミ寺院』に行く。その後にお前の担当場所であるミハラシタワーへ向かう、いいな」

    「承知したざんス」


    そう答えるとオリー様は前を向き、ふわりと三人を浮かばせ連れながら目的の方向に進んで行った。
    イロエンピツもその後を直ぐに追う。


    「……………………オレっち一人か……」


    島に残されたセロハンテープは、飛んでいく五人組を孤独に見送った。
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