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    いなり

    毛の生えた程度で絵を描くのが好きな筋肉ゴリラ。
    海外俳優、アニメ、なんでも好き。

    絵はiPad+Apple Pencil。ソフトはクリスタ。

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    いなり

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    坂木龍也誕生日 2021お祝いSS
    坂木×幼なじみ
    !ご注意 !
    ・名前変換無し
    ・原作の年末とは違うのでご注意。
    ・エセ土佐弁注意
    ・新幹線などはフィクションです

    #あおざくら
    greenCherry
    #坂木龍也
    sakakiRyuuya

    >正月帰る


    神奈川に行ってしまった幼なじみからきた久しぶりのLINE。幼なじみの龍こと坂木龍也は、神奈川の横須賀にある防衛大学校で日々汗を流している。

    そして私は高校を出てから就職をしたので高知の地元に残っている。 特に将来の夢も無い私と、夢に向かって日々頑張っている龍。


    ・・・そんな彼ももう4年生で、今年いよいよ卒業だ。

    お母さんに龍の迎えに行って欲しいと頼まれて私はコートと羽織り、マフラーを巻くと玄関に置いてある車のキーを掴んで車に乗り込んだ。家族ぐるみで仲がいいので、こういう事はよくある。


    免許を取った時に就職祝いとして買ってもらったベージュ色のパオ。私はハンドルをグッと握ると

    「(龍に会える・・・!)」

    久しぶりだ、龍に早く会いたい。ブレーキを踏んで鍵を捻り、エンジンを掛けるとアクセルを踏んで法定速度の範囲で駅まで車をすっ飛ばした。




    駅前のロータリーでハザードをつけてスマホを開くと、1件の通知。龍からだ。


    >ついた
    >どこ?
    >龍馬像の前

    龍馬像・・・私はキョロキョロと龍馬像を探すと、そこには見慣れた顔がスマホと睨めっこをして立っていた。
    嬉しくなった私はボタンを押して窓を開けると

    「りゅ〜!こっちー!」

    大きい声を出すと龍はビクッとして顔を上げると小走りで

    「おい馬鹿、声でけぇよ」
    「ごめんってば。嬉しかったき、つい」

    笑いながらそう言うと龍はハァ・・・とため息をつきながら後部座席に荷物を積み始めた。(と言っても小さなボストンバッグのみだけど)

    龍は助手席に座りシートベルトをはめながら、

    「悪ぃな、迎えに来てもらって」
    「いいよいいよ。おばさんだけじゃ大変やろう?」
    「家には帰らねぇよ」
    「えぇ?!じゃあ寝泊まりはどうするが?!」
    「あ?聞いてなかったか? お前ん家に転がり込むって」

    そんな、聞いてない・・・私は口をパクパクさせていると

    「母さんは乙女と旅行に行くから家には居ねぇんだよ。そしたらお前ん家のおばさんが家に来いって・・・」
    「やき私に迎えにいかせたのか」
    「そういうこった。世話になるぜ」

    口元に笑みを浮かべる龍。
    でも、龍と一緒に居れるのは嬉しい・・・私も釣られて笑うと再びエンジンを掛けたのだった。





    車を走らせながら他愛もない話をする。
    防衛大学校はどう?や授業の話・・・1年生で面白い子がいると龍は楽しそうに話している。

    それに比べて私はというと仕事の話・・・私と彼では住む世界が違うなぁと痛感してしまう瞬間だ。

    「・・・っていうか龍」
    「なんだよ」
    「その標準語やめてよ」
    「何で」
    「龍が標準語喋りゆーの気持ち悪いがやき」
    「・・・分かったよ」


    とは言うものの久しぶりの土佐弁なのか標準語と土佐弁が混じりあった会話をしながら私たちは家路についた。



    晩御飯を食べて、毎年恒例の笑ってはいけない某バラエティをを観て・・・気づけばもうすぐ12時だ。私と龍は初詣に行こう、と防寒対策をバッチリにさせて2人で地元の神社へ向かった。



    「・・・うわぁ」
    「まだ空いてるほうだろ」


    早めに行ったはずだが、周りも同じ考えなのだろう。もう既に境内まで続く道は長蛇の列となっていた。


    「それでも人多いね・・・」
    「はぐれそうだな・・・ほら」


    そう言うと龍は手を差し出してきたので、私は顔が熱くなるのを感じながら手を握る。 その手は剣道の豆や日々の訓練でゴツゴツしているけど大きくて暖かい。
    もちろん龍はそんな気持ちは無く、昔の名残で手を繋いでくれているのだと思うけど・・・私の心臓は除夜の鐘よりも速く鳴りまくった。



    時計の針は12時をさし、鐘が鳴り響き参拝が始まる。
    地元の小さな神社なのでお酒や豚汁などが振る舞われ、煤の匂いと共に香ばしい香りも漂ってきた。

    「龍は何をお願いしたの?」

    何となく聞いてみると少し背の高い龍は私を見下ろして、目を逸らすと

    「内緒や」
    「えー・・・ 」
    「そう言うわれはどうなんちや」

    そう聞かれて私は繋がれた手を少し握ると

    「・・・龍が、無事に卒業できますようにって・・・・・・」
    「は・・・・・・」

    驚いたのか一瞬だけ龍の足が止まり私も恥ずかしくなって手を離そうとしたけど、ギュッと握られてしまった。お互い暫く黙り込むと

    「・・・ほら、寒いから帰るぞ」
    「うん・・・」


    家に帰ろうと人混みを掻き分けていると、突然肩を掴まれた。


    「あ、やっぱり!」
    「へっ?あっ三谷さん!」


    職場の先輩である三谷さん。
    爽やかで気も利いて、その上仕事も出来るので女性のスタッフからも評判のいい人だ。歳も近く私と3つ上なのでお兄さん的な存在だ。

    「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
    「うん。こちらこそ宜しく!いや〜、まさかここで会うとは思わなかったよ。 」

    にこにこと三谷さんは笑うと今度は龍を見て首を傾げる。

    「えっと、彼氏?」

    そう聞かれて恥ずかしくなってしまい顔が熱くなるが、龍は繋いだ手を一旦離すと背筋を伸ばして乱れのない礼をする。

    こんな礼儀正しい龍は初めて見た・・・私は驚いてその横顔を見つめる事しか出来ない。

    「初めまして。私は彼女の幼なじみで、坂木龍也と申します。」
    「お、おう・・・あっ噂の防大彼氏!」
    「か、彼氏じゃ・・・」
    「あはは!まあまあ照れずに。お邪魔しちゃったね! じゃあ、また仕事始めに!またね。」

    そう言って私の頭をぽすぽすと撫でると友達と来たのか、三谷さんは人混みに紛れてあっという間に居なくなってしまった。

    それを見送っていると龍が突然私の手を握り歩き始めた。 競歩に近い速さで、私は追いつけずやや駆け足気味になってしまいすぐに息が上がる。

    「ねえ、龍・・・龍ってば!速いよっ・・・」

    家の近くまでやって来て、やっと龍は立ち止まると

    「お前・・・」

    突然龍が口を開く。

    「お前、あの三谷って奴と仲ええがよな」
    「え?」
    「頭まで撫でてもらって・・・」
    「龍?」

    顔を覗き込むと顔を少し赤くしてムスッとした龍が居た。

    「顔が赤いよ?」
    「うっせ」

    拗ねている理由・・・それは自惚れてもいいのだろうか。私まで顔が熱くなってしまい俯くと


    「三谷さんは職場先輩で、私は・・・えっとね、その、実は・・・龍の事が、す・・・」







    この際だから言ってしまおうか・・・喉から出かけた2文字を言おうと「き」まで言いかけた途端、物凄い速さで口を塞がれた。

    「・・・んむ」
    「おい、ちょっと待て」

    目線を上げると頬を赤くさせた龍がこちらを睨みつけていて、こちらも釣られて赤くなってしまった。

    「お前、今・・・」
    「むぅ・・・」
    「すの続きは、俺の自惚れじゃないよな?」


    そう言われて、私はぎこちなく頷く。


    龍は下ろしていた前髪を一旦上にかきあげてはぁ、と息を着くとガシッといきなり肩を掴まれた。


    「そう言う事は、男から言わせるもんだ」


    タレ目だけど鋭い目が私を捉えると龍は深呼吸をして


    「・・・お前が好きだ」


    すき

    好き

    SUKI


    「・・・・・・ええぇ!!?」
    「馬鹿!夜中だぞ!」

    龍の方が大声を出すと私の頭をペシン!と叩いた。

    「ったー!龍こそ大声出しちゅー!」
    「われが大声出すきやろ!」
    「誰のせい!?」

    すると近所の犬がワンワン!と吠え始めた所で私と龍は我に返り、思わず道端に座り込むと龍も一緒に座った。

    「う、嘘だ・・・」
    「嘘じゃねぇよ。」

    暫く沈黙があると、痺れを切らしたのか舌打ちが聞こえる。

    「おい!さっきの返事は!」

    怖い・・・龍は防大でもこんな感じなのだろうか。ってかまた声デカいし、と私は呻くような声を上げて龍を見つめると

    「う〜〜! わ、私もっ、龍が好き・・・です!」

    言えた!しりすぼみだが告白の返事をするが、龍はポカーンと驚いている。

    「えっと、龍也さん?どうなさいました?」
    「っ!うっせぇ・・・」

    龍は意識を戻すと顔を赤くして巻いていたマフラーをぐいっと上に持ち上げてすっぽりと顔を隠してしまった。

    顔は隠れてても、耳は真っ赤だ。

    「照れてるの?」
    「・・・うるせぇ」
    「あはっ、可愛い」
    「可愛いのはお前だ・・・会う度に・・・き、綺麗になってくから、さっきは焦った」
    「えっ、ほんと?」

    垢抜けて大人っぽくなろうと努力はしていたので、好きな人にそう褒められると嬉しい・・・私は思い切って龍に抱きつくとそのまま地面に尻もちをつく。

    「っとと、びっくりした」

    驚いてても龍は受け止めてくれる。ゆっくりだが背中に腕を回してくれたので私は龍の胸に頬を擦り寄せた。

    高校の頃細身だった龍の身体は筋肉が付いて厚みが増している。今度は隙間が無くなるくらい抱きつくと

    「龍、大好き」
    「・・・ああ。俺もだ。」

    龍の腕が一層強くなりぎゅっと抱きしめてくれる。

    親や友達とは違う、初めて好きな人に抱きしめられる感覚・・・ふわふわして龍の肩に顔を埋めれば頭を撫でてくれた。

    「つっても、卒業して幹部候補生学校に行って・・・お前とは全然一緒には居られないのは変わらん。寂しい思いをさせちまう」
    「大丈夫。だって、龍の夢のためやき。そっちを優先して?」
    「・・・ありがとな」

    身体を離して立ち上がると再び手を繋ぐ。
    今度は指を絡ませる恋人繋ぎ・・・私と龍はお互い顔を見合わせて照れくさそうに笑うと帰路についた。




    ***



    そして1月3日



    「せっかくの誕生日なのに・・・」
    「悪ぃな・・・」


    今日は龍の誕生日だけど、龍はもう防大に戻ってしまう・・・どうやら同期と集まる約束をしているそうだ。

    むぅ、と唇を尖らせると龍は苦笑いして私の頭を優しく撫でてくれた。

    その離れた手が寂しくて龍の腕を掴むと

    「もっと」
    「ん」

    ぽんぽん、と優しく撫でてくれる大きな手。

    「頑張ってね、怪我せんでね」
    「おう」
    「着いたら連絡ちょうだいよ」
    「分かった」
    「ねぇ、龍」
    「今度は何だ」

    私は持っていた小さな紙袋を渡すと

    「誕生日プレゼント」
    「今かよ!? じゃねぇ、ありがとな」
    「うん。私だと思ってね」
    「おう。分かった」


    そろそろ横浜行きの新幹線の時間だ・・・

    いざ別れるとなると、寂しいものがある。
    鼻の奥がツンとして涙をこらえると

    「じゃあ・・・もう行く」
    「うん・・・」

    龍も寂しそうに笑うと

    「また連絡する」
    「待ってる」

    手を振れば、龍も片手を上げて背中を向けた。
    見えなくなるまで見送ろう・・・私は龍の広い背中を眺めていると突然龍がくるりと振り返り、ズンズンと早歩きでこちらに戻ってきた。

    「え?え?」

    その迫力に驚いて私はビクッと肩を揺らすと、そのまま龍は駅の柱に私を押し付け・・・顎を掴まれると唇に柔らかいものが当たった。

    「んっ!」

    1日に告白されてから、お互い照れくさくてキスなんて出来なかった。したいな、と思ったけど恥ずかしくて・・・それが今、龍の方からキスをしてくれた。突然の事に私は目を閉じるムードなどなくただ目を閉じている龍を見つめる事しか出来ない。

    どのくらい経ったのか、龍は唇を離すと真っ赤な顔をして私を睨むと

    「・・・馬鹿。んな顔されたら、連れて帰りたくなるろうが」
    「りゅ、りゅう・・・うわっ」

    龍は苦しいほど私を抱きしめると耳元で

    「・・・絶対迎えに行くき、それまで待ってろ」
    「うん、待ってる。応援してる」
    「ああ。ありがとう。行ってくる」

    お互い名残惜しそうに身体を離すと、龍は首にかけていたドックタグを外して私の首に掛けた。

    「俺だと思って持ってろ」

    そこには龍の名前と誕生日、血液型、住んでる場所、電話番号の情報が刻まれている。そして私の頭を、今度はやや乱暴気味にわしゃわしゃと撫でると今度こそ改札を抜けてしまった。



    次会えるのは、いつだろう。


    胸のドキドキが収まらないまま、私は車に戻り龍から貰ったドックタグを見つめるとギュッと抱きしめた。



    ***



    ―この電車はひかり号 東京行き 横浜 品川 終点の東京・・・


    ゆっくりと進み始めた新幹線、見慣れた景色がどんどん加速していき見えなくなっていく。

    久しぶりに会った幼なじみは短期間で恋人同士という立場になってしまった。小さい頃から一緒にいた幼なじみ。恋心に気づいたのは防大に入り初めての休暇・・・化粧をしていつの間にか大人びた幼なじみを見て胸がザワついたのがきっかけだ。

    照れくさくなり思わずゴホンと咳払いをすると先程貰ったプレゼントを開けてみた。


    黒い高級感のある箱に書かれたロゴを見て坂木は

    「はぁ?」

    恐る恐る開けてみると、そこには腕時計が入っていた。

    某有名な時計メーカーで、プレゼントされたタイプは空自用のパイロットタイプの時計だ。カーボン素材で軽量化かつ耐G設計となっている。値段は10万以上する物で思わず手が震えてしまった。

    「馬鹿あいつ・・・これ超高ぇヤツ・・・」

    紙袋に入っていた小さな一言メッセージには

    〝今年も龍に会えて良かった。 少し早い私からの卒業祝いです。卒業式はおじさんとおばさんと一緒に行くからね!

    龍のパイロット姿、楽しみだな。 身体には気をつけてね。〟


    それを読むと力が抜けて、ハッと笑うとスマホを取り出してLINEのアプリを開くと幼なじみのアイコンをタップした。


    >プレゼントありがとう。大事にする。
    2月に卒ダンがある。 俺と一緒に踊ってくれないか?


    そう送ると坂木はさっそく時計をはめる。
    腕にピッタリと馴染み、前使っていた時計より遥かに軽い。


    私だと思って・・・そう言った彼女の顔を思い出すとその腕時計を優しく撫でた。




    Happy Birthday!
    R.SAKAKI!

    2021.1.03
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