人間類くん×吸血鬼司くん オレと類の事か?
そうだな。
面白くもなく楽しくもない話だが、それでも良ければ話すぞ。
分かった。
あれは七十年ほど前の事だ。
「司さん、雨が降りそうです」
「急ぐとしよう」
足の動きを速めて、深い深い森を抜ける。
その先に現れた古びた屋敷を見て、濡れなくて済みそうだと胸を撫で下ろした。
「おかえりー」
「帰ったぞ!」
「ただいま、彰人」
帰ったことに気付いた彰人がリビングルームから出て来て、オレの持っていた荷物を取り上げた。
「冬弥のほうが重いからそっちを……」
「どうかしましたか?」
手伝ってくれと続くはずだった言葉は、涼しい顔をしてこちらを見てくる本人によって消される。
「……いや、なんでもない」
「オレ達のほうが司センパイより力持ちなんで、いい加減に諦めてください」
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