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    9660moyunata

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    テレビゲームをするだけの現パロ年後クロロレ
    光属性ですご安心ください。

    ##風花
    ##クロロレ

    「ローレンツはゲームとかしないのか?」
    「そんなもの、時間の無駄だろう」
    やっぱりそう言うと思った。庶民の娯楽に現を抜かしてる暇なんてありませんって顔に書いてある。
    「じゃあさ、1回だけ対戦付き合ってくれないか? このゲーム1人でもできるんだけどさ、せっかく買ったんだしちょっとくらい人と遊んでみたいんだよ」
    「仕方がないな、1度だけだぞ」
    ローレンツはせっかくだから、とかそういう言葉に弱い。あいつは俺のことに詳しいなんて言っているが、俺だって負けてない。ローレンツが俺のこと見続けているなら同じだけ俺もローレンツを見ているんだ。
    今始めようとしているゲームはいわゆる格闘ゲームだ。さすがに初心者のローレンツをこてんぱんにするのは気が引けるから、あえて普段使わないキャラクターを選ぶ。それでも俺の方が強いことに変わりはない。手加減しつついい感じの差で勝たせてもらった。
    「......。」
    勝利ポーズを決めている俺のキャラクターをローレンツが無表情で見つめている。よし、かかったな。
    「クロード、もう一戦だ」
    「おっと、1回しか付き合ってくれないんじゃなかったのか?」
    「せっかく買ったのに1度対戦するだけでいいのかい? それに、負けっぱなしというのは僕が納得いかないからな」
    「へいへい、ありがたいことで」
    そう言うだろうと思った。あまりに思い通りになるからつい口角が上がってしまうが、それは遊び相手ができて嬉しいからという体にしておく。
    なんというか、ローレンツは出来が良い。頭も良いが、華奢なわりに運動も得意だ。現実では1歩も動かないテレビゲームだが、反射神経がよかったり咄嗟の判断ができる方が格段に強い。何戦かしているうちにローレンツは徐々に上達してきた。それに合わせて少しづつ手加減を止めていく。
    確かゲームを始めたのは22時頃だったはずだが、気付けば時計の針は0時をとっくに過ぎていた。
    「ふぁーあ。そろそろ終わりにしないか?」
    「む、そうだな。こんなに熱中してしまうとは......」
    最後まで俺が勝ち続けたからか、やや眉間にシワが寄っているローレンツと一緒に片付けを始める。
    「クロード、次こそは勝たせてもらうからな」
    そう真剣な眼差しで宣言された。自信家が行きすぎて時折三枚目みたいな雰囲気さえ出ているローレンツだが、真面目な顔をするとまた違ったオーラがある。こいつ、なんでこんなかっこいい顔してるんだろう。またゲームで遊ぼうってだけの内容のはずなんだが?
    「ああ、何回でも相手してやるよ。勝てないからって泣くなよ?」
    いつも通り軽口を叩くが、またローレンツが遊んでくれるというのは素直に嬉しかった。
    ローレンツも自分が熱くなりすぎていたことに気が付いたようで、そっぽを向いてくすくすと笑い始めた。釣られた俺も堪えきれずに声を出して笑った。
    「こら、もう遅いのだから静かにしたまえよ」
    そう言うローレンツも未だににやにやしている。その日は仲良く布団に入って、勝負は次の日に持ち越された。

    「おい、クロード。今晩時間はあるかね」
    翌日そう言いながらコントローラーを持って現れたローレンツは、サラサラの長い髪が視界の邪魔にならないようにと結ばれている。あまりの気合いの入りっぷりに俺は吹き出してしまった。
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    14.誘拐・下
     ローレンツとクロードの記憶通り事態は進行した。一つ付け加えるならばクロードがセテスにちょっかいを出したことだろうか。見当違いだと分かっていることを敢えてセテスに聞いたら先方が何故か安心した、とクロードから聞いてローレンツは眉を顰めた。やはりセイロス教会は何かを隠している。五年前から問題視していたクロードが正しかった。だがそれは大乱を起こす理由になり得るのだろうか。クロードは元から英雄の遺産と白きものについて探っていたがそれに加えてエーデルガルトが檄文で言及していた教会の暗部についても調べ始めた。

    「先に掴んで暴露してしまえば檄文自体無効になるかと思ったがそんな都合の良い案件は見当たらなかった。敢えて言うならダスカーがらみか?」
    「だがあれも機能不全に陥った王国の要請がなければ騎士団が担当することはなかっただろう」

     エーデルガルトが見つけたと称するセイロス教会がフォドラの全てを牛耳っている証拠とセイロス教会の秘密は同一なのだろうか、それとも違うのだろうか。探さねばならないものが増えてクロードは大変そうだ。大変そう、と言えばベレトも大変そうだ。彼は修道院内を丹念に探 2099

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    15.鷲獅子戦・上
     フレンが金鹿の学級に入った。クロードにとっては謎を探る機会が増えたことになる。彼女は教室の片隅に座ってにこにこと授業を聞いてはいるが盗賊と戦闘した際の身のこなしから察するに只者ではない。兄であるセテスから槍の手解きを受けたと話しているがそういう次元は超えていた。

    「鷲獅子戦にはフレンも出撃してもらう」

     やたら大きな紙を持ったベレトが箱を乗せた教壇でそう告げると教室は歓声に包まれた。これで別働隊にも回復役をつけられることになる。治療の手間を気にせず攻撃に回せるのは本当にありがたい。今まで金鹿の学級には回復役がマリアンヌしかいなかった。負担が減ったマリアンヌの様子をクロードが横目で伺うと後れ毛を必死で編み目に押し込んでいる。安心した拍子に髪の毛を思いっきり掻き上げて編み込みを崩してしまったらしい。彼女もまたクロードと同じく秘密を抱える者だ。二重の意味で仲間が増えたことになる。五年前のクロードは周りの学生に興味は持たず大きな謎だけに目を向けていたからマリアンヌのことも流していた。どこに世界の謎を解く手がかりがあるか分かりはしないのに勿体ない。
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    16.鷲獅子戦・下
     ローレンツがグロンダーズに立つのは二度目だ。一度目はローレンツの認識からすると五年前でベレト率いる青獅子の学級が勝利している。敗因は堪え切れずに飛び出してしまったローレンツだ。更に危険な実戦で囮をやらされた時に堪えられたのだから今日、堪えられないはずはない。

     赤狼の節と言えば秋の始まりだが日頃山の中の修道院にいるので平原に下りてくると暖かく感じた。開けた土地は豊かさを保証する。グロンダーズ平原は穀倉地帯でアドラステア帝国の食糧庫だ。畑に影響が出ない領域で模擬戦は行われる。模擬戦と言っても怪我人続出の激しいもので回復担当の学生はどの学級であれ大変な思いをするだろう。

     ベレトが持ってきた地図を見て思うところがあったのかクロードは慌ててレオニーとラファエルを伴って教室から駆け出し書庫で禁帯出のもの以外グロンダーズに関する本を全て借り上げてきた。皆に本を渡し地形描写がある物とない物に仕分けさせた。この時、即座に役に立たない本だけを返却させている。情報を独占し他の学級に無駄足を踏ませた。クロードのこういう所がローレンツは会ったこともないべレスから疎まれたのかもしれない。
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