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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    POIPOI 189

    なりひさ

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    【ごくパ展示】ヒュンポプ。キャンプに来てからヒュンケルの様子がおかしい。ポップが訝しんでいると、ヒュンケルにテントに連れ込まれて……

    #ヒュンポプ
    hyunpop

    【ごくパ展示】触れるだけ「あちっ」
     ポップは焼き魚の熱さに思わず声を上げる。齧り付いた魚は焼きたてで熱々だった。
    「ほら、気をつけないか」
     言いながらこちらを見てくるヒュンケルにポップはプイと顔を背けた。
    「わかってら!」
     ポップはふうふうと息を吹きかけて魚を冷ます。今度こそ大丈夫だと思って齧り付けば、ふわりと柔らかい身と香ばしい味が口いっぱいに広がった。
     あたりはすっかり日が暮れて暗くなっている。いくつかの焚き火があたりを照らしていた。大人数でのキャンプは賑やかで、それぞれが思い思いに過ごしている。
     野宿なら旅の途中で何度もしたが、今は倒すべき魔王もいない。というか元魔王のハドラーもこのキャンプに参加している。アバン先生が結界を張っているから魔物に怯える心配もなかった。
    「ま、どっちかって言うと、ここが世界一安全だよな」
     ポップは魚に齧り付きながら集まったメンバーを見渡す。先代勇者一行、その敵だった魔王とその側近、帰ってきたダイや一緒に旅をした仲間たち。これほど集まっていて勝てない相手もいないだろう。
     それに、とポップは背後に座る兄弟子の気配を探る。なぜかヒュンケルはこのキャンプで何かとポップに構ってきた。先ほどもマトリフとガンガディアが釣ってきたという魚を持ってきて、ポップの分も枝に刺して焚き火で焼いた。突然の甲斐甲斐しさにポップは反感を覚えながらも様子を伺っている。
     ヒュンケルはこれまでは一歩距離を置いて見守るというタイプで、そんな風に世話を焼いたりはしなかった。長兄としての意識がそうさせるのかと思ったが、構ってくるのはポップにだけだった。
     なんなんだよ、まったく。
     ポップは意味がわからなくてヒュンケルにつっけんどんに接した。甲斐甲斐しく世話を焼かれるなんて子ども扱いのようで、ポップからすれば鬱陶しい。ポップは自分のことを十分に大人だと思っているから、ヒュンケルの行動を腹立たしくさえ思った。
     やがて食事も終わった頃になると、ダイが眠たいと言い出した。いつも早く寝ているダイからすれば、随分と夜更かしだった。ダイがテントへと引き上げていくのでおやすみと言っていると、またヒュンケルがやってきた。
    「お前もそろそろ寝る時間だ」
     真顔で言うヒュンケルにポップは天をあおいだ。
    「てめえいい加減にしろって!」
     大人陣は酒を飲んで陽気に笑っている。ポップは年齢が一歩届かずに酒は飲めないが、それでもこんなに早く眠るほどの子供でもなかった。
    「ほら、寝床を整えてやるから来い」
    「嫌だね。なんでオレがお前にそんなことされなきゃいけねえんだ」
     ポップは言ったが、ヒュンケルに腕を掴まれてテントまで引きずられていく。テントは数人ずつで割り振れており、ポップはヒュンケルと同じテントだった。
    「ガキ扱いすんなって!」
     押し込まれたテントの中でポップが怒鳴る。無意味でも抵抗しようとヒュンケルの胸を押すが、びくともしなかった。
     すると突然にヒュンケルがポップの顎を掴んだ。
    「んがッ!」
     ポップは上を向かせられる。ヒュンケルがじっとポップを見つめてきた。ポップは突然のことに固って声も出ない。ヒュンケルの指がポップの唇に触れた。槍を握る無骨な指がそっと唇を撫でていく。
    「おい……よせって」
     やっと出た声は掠れていた。ポップは身体中の血が逆流したかのように顔が赤くなっていく。心臓は突然のことに発作を起こしたようにバクバクと鳴った。
    「大丈夫そうだな」
     ヒュンケルはそう言ってすっと顔を離した。ポップはぽかんと口を開ける。
    「はあ?」
    「火傷だ。さっき唇を火傷しただろう」
     ポップは先ほど焼きたての魚のことを思い出した。ヒュンケルはあの火傷を心配したらしい。
    「どうした。顔が赤いぞ」
     ヒュンケルはポップの額に手をやる。だがポップの顔が赤いのはもちろん熱があるからではない。ポップはヒュンケルの手を力いっぱい払った。
    「てめえ……まさか誰にでもこんなことやってんじゃねえだろうな!」
     ただでさえ顔がいいヒュンケルがこんな事をしたらコロッと恋に落ちてしまう可哀想な女性が続出してしまう。ポップはこの朴念仁な兄弟子の凶行を止めねばならないと決意した。
    「何を言っている。オレがこれほど心配するのはお前だからだ」
    「だからそういう言い方だっつうの! 勘違いさせるような言い方やめろ!」
     まったくオレだったからよかったものの、とポップは溜息をつきながら腕を組む。そもそもポップは今や回復呪文を使いこなしている。もし火傷をしても指ひとつで治せてしまう。そんな相手に火傷の心配なんておかしな野郎だとポップは思った。
     するとヒュンケルはぽつりと呟いた。
    「……好きな相手には親切にするものだと教わったのだが」
    「そりゃ好きな相手にならいいだろうけどさ」
    「では間違っていない」
    「ん?」
     そこでようやく大魔王に挑んだポップの頭脳が働き始めた。好きな相手への親切がしたいヒュンケル。今日はやけにヒュンケルから世話を焼かれるオレ。ヒュンケルの好きな相手はオレ。
    「……嘘だろ」
     ポップは恐る恐るヒュンケルを見上げる。ヒュンケルは少し考えるようにあらぬ方を見ていたが、やがてポンと手を打った。
    「告白とやらを忘れていたな」
    「それ忘れる奴いる!?」
    「好きだポップ」
    「ムードとか全く考えてねぇなおい!」
     ヒュンケルはじっとポップの顔を覗き込んでくる。整った顔面が近付いてくることにポップは焦った。
    「返事が欲しい」
    「うるせえ! 知るか!!」
     ポップはトベルーラを発動させてテントから抜け出した。突然にテントから転がり出てきたポップに、薪を持ったアバンが驚きの声を上げる。
    「どうしたんですか?」
    「なんでもないです!!」
     ポップは高速でダイのテントへと逃げ込んでいった。
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    なりひさ

    DONEガンマト「時の砂」その後の蛇足。弟子に会いたくて未来へ来ちゃったバルゴート
    なにこれ修羅場じゃん ポップは焼きたてのパイを持ってルーラで降り立った。アバンの料理教室で作った自信作である。折角なのでマトリフと一緒に食べようと温かいうちに持ってきた。
    「師匠ぉ〜ガンガディアのおっさん〜お邪魔するぜ」
     呼びかけながら入り口をくぐる。しかしいつもなら返ってくる返事がなかった。人の気配はするのに返事が無いとは、来るタイミングが悪かったのだろうか。ポップはそろりと奥を覗く。
    「えっと、これどういう状況?」
     ポップは目の前の光景に頭にハテナをいくつも浮かべながら訊ねた。
     まずガンガディアがマトリフの肩を抱いている。優しく、というより、まるで取られまいとするようにきつく掴んでいた。ガンガディアは額に血管を浮かべてガチギレ五秒前といった雰囲気だ。そのガンガディアに肩を抱かれたマトリフは諦念の表情で遠くを見ている。そしてその二人と向かい合うように老人が座っていた。ポップが驚いたのはその姿だ。その老人はマトリフと同じ法衣を着ている。かなりやんちゃな髭を生やしており、片目は布で覆われていた。その老人がポップへと視線をやると立ち上がった。
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