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    chanuitei

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    囚人愛

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    chanuitei

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    2022.1.15
    #墓囚版深夜の60分一本勝負
    お題
    甘いをお借りしました。

    遅刻参加失礼しました💦

    #墓囚
    prisonerOfTheTomb

    甘い深夜の珈琲は生存確認

    お湯を沸かして珈琲をいれる。ルカが部屋にこもって出てこない時の決まり事だ。

    僕は紅茶が好きだ。スプーン1杯の砂糖とミルクをたっぷりと入れる。

    ルカは珈琲が好きだ。
    砂糖もミルクも入れない熱い珈琲を啜る姿を見つめる。苦いお湯を飲んでいるというのに、ルカは美味しそうにほうっと息を吐いた。

    僕はこの時間がとても好きだ。ルカの綺麗な横顔を見ながらぼんやりと思う。
    ダークグレーの瞳。機械弄りに没頭しいる時はいつも垂れている目尻がキリリと吊り上がっている。
    過集中がぷっつりと切れた時に、僕の存在に気が付いた時の申し訳なさそうに下がる眉尻。
    「アンドルー。来てくれていたのか。すまない」
    耳を優しく撫でるような僕よりも少し低い声。
    それから、僕のいれた珈琲を一緒に飲む。
    好きな人の好きな物。その時間を共に過ごせるのは楽しい。
    でも、ルカに合わせて背伸びしたブラックコーヒーはやっぱり苦手だ。
    視線に気づいたのか、不思議そうにルカは僕を見た。
    僕はそれに『何でもない』と俯く。
    ここはきっと、微笑みを返すところなんだろうけど、僕にはまだ難しい。
    俯いた先にあったコップの中身の珈琲に、僕の情けない顔が映っている。
    「もう明け方だが、お互い今日はゲームは無かったよな?
    一緒に寝ようか。その方が暖かい」
    顔を上げれば、甘ったるいほどの微笑みがあった。
    それは大好きな甘い甘いミルクティーのようで、僕は甘さを中和するようにブラックコーヒーを流し込んで、返事の代わりにベッドに潜り込んだ。
    ルカと過ごす時はブラックコーヒーがいい。でないと、糖分の摂りすぎで僕は砂糖漬けになってしまう。
    アンドルー・クレスの砂糖漬け、なんて不味そうだ。
    背中にルカの体温を感じながら僕は瞼閉じた。

    明日も一緒に過ごせるだろうか。
    過ごせるといい。
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    ❤
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    chanuitei

    DONE #墓囚版深夜の60分一本勝負
    2021.12.18
    お題『横顔』
    お借りしました。

    荘園を出たあとのお話
    横顔あれから、もう何度季節を見送っただろうか。

    荘園でのゲームをクリアして、各々が自ら望む場所へと帰っていった。荘園で出会った一部の人間とはたまに手紙のやり取りをしている。中でも、ビクター・グランツとはよく連絡をとっている。手紙の内容は代わり映えのない近況報告。それでも、友人と呼べる人間なんていなかった僕からしたら、とても価値のあるものだ。
    荘園でのゲームはクソッタレな内容だったが、大金以外にも僕に沢山のものを与えてくれた。

    一つ目は他人との関わり方……いや、この言い方だとビクターに怒らてしまいそうだから
    、友人、と言い変えよう。
    ゲームは他サバイバーと協力、意思の疎通ができないと勝てない。これが僕にはとても難しかった。化け物の僕となんて、誰も話したがらない。ましてや、協力なんて無理な事だ。そんな僕に荘園のメンバーは根気よく付き合ってくれた。中でも、同じ頃に荘園に来たビクター、ルカは僕に寄り添ってくれた。ルカとは言い合いにもなった。ルカは柔らかそうな顔の裏でとても頑固で自分の意思を曲げない。一度火がつくと感情を面に出すくせに、ほとぼりが冷めると言い過ぎたとしょぼくれる。そんな僕達をビクターは呆れることなく、見守ってくれていた。
    1413

    chanuitei

    DONE #墓囚版深夜の60分一本勝負
    2021.09.11
    お題「鮮やか」お借りしました。
    花ざかりアンドルー・クレスのとある日の日記

    ++

    荘園には鮮やかな花が咲いている。庭師の女……エマ・ウッズが手入れをして花を咲かせているらしい。風に乗って香る花の匂いを肺いっぱいに吸い込むと、心に暖かいものが灯る。
    花は、好きだ。晴れた日の庭に出て、花を愛でたいが太陽は僕の肌を焼き尽くそうとしてくるので、それは叶わない。
    若葉が育ち、蕾ができて、いのちにみちあふれていま開こうとするその瞬間をできるのであれば、僕は沢山見てみたい。青く澄んだ空の下で太陽の下でキラキラと光る色とりどりの花達。その花の周りを飛ぶ蜜蜂。花咲くことは命の誕生だ。その光り輝く命の中に僕はいられない事が凄く寂しくて、そして羨ましかった。
    この荘園に来てからも、僕は隠遁とした生活を送っている。共に戦うサバイバーとは、ゲームをする上での最低限のコミュニケーションをするだけ。一部の奴等は、僕がテーブルに俯いて誰とも目を合わさないようにしているのに、そんなのお構い無しに話しかけくる。そいつらには真っ白で化け物と罵られてきたこの見た目が、普通の人間に見えているらしい。変な奴らだ。
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    ++

    荘園には鮮やかな花が咲いている。庭師の女……エマ・ウッズが手入れをして花を咲かせているらしい。風に乗って香る花の匂いを肺いっぱいに吸い込むと、心に暖かいものが灯る。
    花は、好きだ。晴れた日の庭に出て、花を愛でたいが太陽は僕の肌を焼き尽くそうとしてくるので、それは叶わない。
    若葉が育ち、蕾ができて、いのちにみちあふれていま開こうとするその瞬間をできるのであれば、僕は沢山見てみたい。青く澄んだ空の下で太陽の下でキラキラと光る色とりどりの花達。その花の周りを飛ぶ蜜蜂。花咲くことは命の誕生だ。その光り輝く命の中に僕はいられない事が凄く寂しくて、そして羨ましかった。
    この荘園に来てからも、僕は隠遁とした生活を送っている。共に戦うサバイバーとは、ゲームをする上での最低限のコミュニケーションをするだけ。一部の奴等は、僕がテーブルに俯いて誰とも目を合わさないようにしているのに、そんなのお構い無しに話しかけくる。そいつらには真っ白で化け物と罵られてきたこの見た目が、普通の人間に見えているらしい。変な奴らだ。
    1163

    chanuitei

    DONE #墓囚版深夜の60分一本勝負
    2021.12.18
    お題『横顔』
    お借りしました。

    荘園を出たあとのお話
    横顔あれから、もう何度季節を見送っただろうか。

    荘園でのゲームをクリアして、各々が自ら望む場所へと帰っていった。荘園で出会った一部の人間とはたまに手紙のやり取りをしている。中でも、ビクター・グランツとはよく連絡をとっている。手紙の内容は代わり映えのない近況報告。それでも、友人と呼べる人間なんていなかった僕からしたら、とても価値のあるものだ。
    荘園でのゲームはクソッタレな内容だったが、大金以外にも僕に沢山のものを与えてくれた。

    一つ目は他人との関わり方……いや、この言い方だとビクターに怒らてしまいそうだから
    、友人、と言い変えよう。
    ゲームは他サバイバーと協力、意思の疎通ができないと勝てない。これが僕にはとても難しかった。化け物の僕となんて、誰も話したがらない。ましてや、協力なんて無理な事だ。そんな僕に荘園のメンバーは根気よく付き合ってくれた。中でも、同じ頃に荘園に来たビクター、ルカは僕に寄り添ってくれた。ルカとは言い合いにもなった。ルカは柔らかそうな顔の裏でとても頑固で自分の意思を曲げない。一度火がつくと感情を面に出すくせに、ほとぼりが冷めると言い過ぎたとしょぼくれる。そんな僕達をビクターは呆れることなく、見守ってくれていた。
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