【独二】二郎の部屋で初めてのキスをする独二の夏 容赦なく照りつけてくる太陽に文句を言いながら少し汗ばんだ指先でチャイムを押した。
しばらく外で待っていると慌ただしい足音が聞こえてきて勢いよく玄関のドアが開くと、中から笑顔を浮かべた恋人が俺の名前を呼んだ。
「マジごめん、宿題のノルマ終わるまで出掛けんなって言われてっから中でちょっと待ってて」
「えっ、一郎くんとか居るのか? だったら挨拶を、」
「誰も居ねぇよ。独歩が来るまでに終わらせようと思ってたんだけど意味不明すぎて無理だった」
誰も居ない、という二郎くんの言葉にほっと胸をなでおろした。
年下の恋人は夏休みの宿題をしないといけない年齢ということで、俺たちの関係は大っぴらにできるようなものではない。彼の兄や弟には二郎くんから話をしてくれたようだけど、その結果を聞かされていないのであまり良いものではなかったのかもしれない。
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