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    sumitikan

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    SFこくひめ。未来の世界の黒死牟と悲鳴嶼さん。

    #鬼滅の刃
    DemonSlayer
    #こくひめ
    goddessOf(lucky)Directions

    千年前から「おはよう黒死牟、私は行冥。よろしくな。前回の起動は二日前になっているが、その間の記憶は消去されているようだ。今は宇宙銀河暦五五〇七年四月二十八日の午前九時三十六分。予定はないが、したいことがあったら言ってくれ。私の持てる権限を可能な限り行使し、作戦行動に移る」
    「……起動したな……次は星団同盟歴のパッチを適用と……戦闘用OSの削除が上手く行っていないのか……予定はない。……行冥……今日はお前と一日、……様子見をして過ごす……」

    黒死牟は微笑んでいた。やっと成功したのだった。本当に久しぶりに、自然に起動した行冥に感動を覚えて少し涙ぐんでいた。この日の為に生体パーツを取り寄せていたが、それが報われたと思っていた。作業台の上の行冥は自然に馴染んでいる動きをして、理想的な姿だった。

    「……汎用性の高い躯体とデバイスを準備したから……きっと覚めると思っていた……手作りで修正した甲斐があった……」
    「黒死牟が大きく感じるが、私は故障したのだろうか?」
    「……そうではない……発表当初の二二〇センチの戦闘用躯体ではない……今は百センチほどの愛玩用……小型のラブドールが素体になっている……体の感覚を記録しろ……」
    「分かった」

    と言って、行冥は怪訝そうな表情を浮かべた。表情を浮かべるのも上手く行っていた。素体が愛玩用だから、そんな表情も愛らしかった。

    「おかしい。私は感情を持つOSではないのに、感情があるのがわかる……これが修正か?あらゆる武器のデバイスが取り除かれているが。私は戦争で戦っていた。戦いはどうなった?」
    「……終わった……今は平和だ……」
    「武器ではないデバイスがある。これは?」
    「……愛し合う為のものだ……行冥……私たちは千年前に殺し合いをした……私たちはお互いを敵とする兵士だった……私達に似せた量産機がたくさん作られた……私はそれらを統括するオリジナルナンバーを持つ生体アンドロイドのうちの一体だった……」
    「そう言うが、黒死牟。私はその戦いの記録にアクセスできない。遮断されているのだが」
    「……今のお前では……読み込めない。……だが……話して聞かせる用意はある……これから私達は……長い時を過ごすのだから……」

    行冥は元は敵らしい黒死牟をじっと見上げた。自分の居場所が作業机の上であること、数多のコードに繋がれ、あらゆる手を尽くしてやっと起動したOSが自分であることが状況から何となくわかっていた。
    見上げる黒死牟は顔に六つの複眼を持っていて、人間でいう両目に当たる部分に一目で分かる戦闘用らしいコードが書かれていた。その顔立ちに、行冥はどこか見覚えがある気がしていた。

    黒死牟が戦闘用の生体アンドロイドならば、何の武器も持たない愛玩用の行冥よりも確実に上位の存在だ、というのが現時点での判断だった。
    彼は満足そうに行冥を見つめながら語り始めた。

    「……とある戦場で……倒したお前のコアを取り出した。……お前のコアを移植するのに五百年……これは終戦と共に私の……くだらぬ市民権とやらを得るまでの時でもあったが……自由を得て……互換性のある躯体を探すのに三百年……強情なお前が……互換性のある躯体で何度も自爆しようとするから……私はお前の記憶を遮断することにした……それが今だ……」
    「これで何度目の起動になる?」
    「……さあ……何度も……何度も……お前は私との会話を拒絶し……戦おうとして絶望し……自爆しようとして……自らの電源を落とすのだ……」
    「しかし、そうなるのが普通なのではないか、黒死牟よ。私の敵よ。この私は、発表当初の私と変わらぬ無知な、しかも力のない体だ。力も記憶もなくした私は一体誰だ。お前の敵としての私は一体どこに消えた?これでお前は満足なのか?」
    「……ああ……満足だ。……これでやっと、……お前とゆっくりと話すことが出来る……この惑星は……辺境にある農業惑星で……自動制御化されて長い……引退した戦闘用生体アンドロイドが暮らすには……いい場所だ……」
    「なぜそこまでして私を求めた?」
    「……支配したい……と最初の数百年は思っていたが……次の数百年は……お前に会いたいと思い……その次の数百年で……お前を愛しているのに……気が付いた……」
    「しかし、愛情を感じるデバイスは私には無いが」
    「……これから作る……お前の中に……お前のここに……」

    怪訝そうに見上げる百センチほどの小さな行冥の胸の辺りに、黒死牟は掌を当てた。まるで生きた人のような感触で、起動しているからか温かかった。胸のコアがとくとくと脈打っているのが分かった。

    「……これからは……ずっと一緒だ……」
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