育手の地獄夢主設定、風の呼吸の育手の女、元柱、六歳年上。元夫有。名前なし。
風柱をほんの数年。ふとしたことで肺を患い、全集中の常中ができなくなり、それが私の呆気ない引退だった。
風の呼吸の育手の一人に、何人ものみなしごを藤襲山に送り込む。大抵は行ったまま帰ってこない。戻るのを願いはするけど、異形の鬼を相手取り、呼吸の初歩を学んだ程度で鬼殺しろというのが無理な難題だ。
試練を越えた隊士たちが、自分の育手に送る便りや挨拶の絶えた時が、彼らの戦いの終わる日だ。何とも言えずに空しくなる。皆どんどん死んでいく。この頃は病んだ肺も思わしくない。
育手の所に来る隊士の卵は大抵見どころがない。見どころがないとは、つまり藤襲山が最期の地だった。分かっているのだ、彼らが死ぬのは。それでも鬼殺の為に風の呼吸を伝える道を絶やしてはならない。
19967