好きみたい比企谷、と呼ぶそいつに俺は無視するしかできない。繋がれた手は少し震えていて、それが自分なのかこいつのものなのかも正常な判断が出来なくて、小さく息を吐いた。
無視されたことに少々ムカついたのか、また比企谷と少し鋭い声色で呼んできた。顔が見れず、声だけだったが、これ以上無視するのもよくないと葉山の方へ顔を向ける。
目を合わせないよう、振り向いたが葉山はそんな俺を見通していたようで、反対の手で俺の頬を包んだ。
ばちり、と葉山と目線が合うが、俺はすぐそらす。
てかなんだこの空気感は俺死ぬんじゃないか?と思うくらい空気が生暖かい。ていうか俺の顔見過ぎじゃないですかぁ!?
「……そんなに俺の顔みて楽しいかよ。」
「うん。」
即答。何こいつやっぱり性格悪いよね?
葉山はふふと笑って親指で俺の耳をなぞる。
「…俺相当君のこと好きみたいだな」
その言葉は恥ずかしいとか嬉しいとか通り越して当たり前だろうな!と何故か開き直ってしまうくらい、爆発力があった。
耳はくすぐったいし、片手は葉山のもう片方の手で塞がれてる。
ていうかそもそもその言葉で俺自身固まってしまった。
葉山は恥ずかしげもなく、ただニコニコ微笑んで俺を動物を愛でるように顔中触りまくってくる。