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    dh86_f

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    dh86_f

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    ループするisgの話。最後の方だけ区切りが良くなったのでメモ程度に。死ネタ。

    #蜂潔
    #bcis

    そして今日、とあるサッカー選手の訃報が報じられた4、ゆめ。

    何度も何度も何度も。

    気が遠くなるくらいに続けた。

    死にそうなくらいに泣いた。

    隣で眠る蜂楽を見て安心した。


    幸せだと笑う蜂楽の顔が、大好きだと抱き締める蜂楽の腕が、俺の元へ駆け寄る蜂楽の足が、血に濡れる。

    時に、原型を留めながら。
    時に、ぐちゃぐちゃに潰されながら。

    「よ、か、…った……ぁ。」

    って、呟く。

    目を、閉じる。





















    何が何が何が!!!!!!!!!!!!!!!!!
    何が良かっただ!!!!!なにも良くない!!!


    潔 世一は決して難しい事を望んでる訳ではない。

    潔 世一の願いは最愛の人と一緒に居たいだけ。

    しわくちゃになるまで、サッカーが出来なくなるまで、一緒に生きていたいだけ。



    たったそれだけ。
    それ以上もそれ以下もない。



    現実のような悪夢を繰り返して、潔の心身は既に限界を迎えていた。

    もう何をやっても、蜂楽は死んでしまう。

    飛行機の墜落
    鉄骨落下による圧死
    トラック衝突で衝突死
    駅での轢死

    一生分の死に方を見た気がする。
    その度に、蜂楽の宝石のような瞳はこちらを見るのだ。

    喘ぐように。
    優しく。
    苦しそうに。
    あまく、
    愛おしそうに。
    大切に。


    「ぃ。さ、…ぎ。」

    潔の名前を呼ぶ。

    最後の現実で、もう限界だった。
    これは終わらない。蜂楽を、たった1日。1日寿命を伸ばしただけでは終わらないのだ。

    だって、蜂楽は望んでいた。

    今思えばそうだった。


    ドイツに行くと告げたのも、
    昼ご飯は外で食べたいと我儘を言ったのも、
    サッカーをしに公園へ行ったのも、
    ちょっとした旅行に行こうと手を繋いだのも。

    全部蜂楽からだった。


    なぜ、蜂楽がこんな馬鹿げた事をするのか分からない。
    抜けた部分はあれど、賢い1面はあるのだ。
    何かを考えて、何かを感じて、こうしようと思ったはず。

    けれど、潔 世一には理解できないのです。
    いえ、理解をしたくないのです。

    生粋のエゴイストは蜂楽 廻だけではない。
    何度も死に際を見てきた、潔 世一も、同じ。

    こういうループ物はだいたい結末が決まっていた。
    潔がそれをやらなかったのは、遺される寂しがりやの怪物を想っての事。
    最終手段として、大切に、いや、禁忌だと閉じ込めたかった。







    今日が始まる。
    今日もまた、蜂楽が死ぬまでのタイムリミットが近付く。
    目を向けたカレンダーは慣れ親しんだ日付。

    潔は、満足そうに笑った。



    ドイツに来て早々、今日の昼はパンを食べたい!外食べに行こ!!と案の定わがままを言う蜂楽に、潔は何度も笑って頷く。

    1周目も、2周目も。今回も。

    出掛ける準備をして、変装用の帽子を被る。
    変装する気一切無しの蜂楽を軽く叱りながら色違いの帽子を被せる。
    ぶーぶーと文句を言っていたのに、お揃いだと分かるとすぐに機嫌が良くなる所はいつでも、何周目でも可愛い。

    指を絡めて、手を繋いで、2人で笑い合う。

    幸せそうに。

    何周をしても、蜂楽は色鮮やかな時間をくれる。
    だから、潔は蜂楽に生きていて欲しい。
    大好きだから。
    何をあげてもいい。
    世界一になって、サッカーにはもう未練はない。
    腕も、脚も、声も、心臓も、肺も。
    なんでもあげたい。
    蜂楽がくれた時間の代わりに、いや、お礼に。自分の全部をあげて、生きていて欲しかった。
    俺のせいで、何度もループを繰り返して、痛い思いをさせただろう。
    もう終わりだと、手を握る力を強めると蜂楽はキョトンと首を傾げる。
    なぁに?とひまわりのような目がとっても素直だから、潔は笑って返す。
    そして、手を離した。





    瞬間。





    ゴンッッッ、ガッッ、ゴドッッッ、


    お腹を何かが突き破る。
    頭に何か落ちる。
    肩に何かが、思い切りぶつかる。
    倒れた拍子に、脚に何かが突き刺さる。

    鉄臭い何かが、びちゃびちゃ溢れる。
    視界が、ぼやぼやと霞む。
    じぐじぐと、体が痛みと熱を孕む。


    悲鳴?
    男、おんな、子供の泣き声。ぐちゃぐちゃ。
    混じってきこえる。

    名前。
    だけ、じゃない。
    絶叫?

    きィーーーん。と耳鳴りが、邪魔をする。
    蜂楽が、必死に潔の名前を読んでも、潔には、聞き取りにくくなっていた。
    視界はボロボロに霞んでいて、今の蜂楽の顔なんて分かりはしない。
    それでも、何か一つ。なにか、なんでもいいからひとつ、蜂楽へ、言いたかった。
    何周も、置いて逝かれた側だからこそ、遺された側の気持ちはとても、痛いほどに分かるから。

    咳き込んで、地面に更に血を吐く。
    か細い呼吸。
    息よりも、今にも消えてしまいそうな声で、

    「ば。…ち、…………」


    呼びたかったなあ。














    5、夢


    「いさぎっ!!!!!!!!」

    蜂楽 廻の朝は涙と共に始まる。
    飛ぶように起き上がった今も、変わりなく涙を流していた。

    今までは離れる苦痛と、彼を守れた安心感から来る涙だった。
    今日の涙は、違った。

    ランニング後よりも早い心拍。
    トレーニング時よりも息切れている。
    試合後よりも酷い汗。
    止めどなく溢れてでる涙。

    なんだろう、何故だろう。
    たかが夢だ。今日の夢。現実では無い。

    感触が、残っている。

    匂いが、こびりついている。

    音が、染み付いている。

    景色が、焼き付いている。


    冷たかった。鉄臭かった。鼻腔をくすぐるそれは、いつも自分の最期だった。
    痛そうな音だった。赤かった。蜂楽はそれを知っている。だって、いつも自分の最期だから。
    全部、全部知っている。

    だって、蜂楽は潔の代わりに死に続けていたから。

    時に海の底へ沈み、時に鉄骨の下敷きに、時にトラックにぶつかり、時に駅で轢かれる。
    何度も続けて、蜂楽は潔を守り続けた。

    1度、夢で蜂楽は潔が怪我をする夢を見た事がある。
    その数日後に、夢と同じところを潔が怪我した。
    全く同じ原因で、同じ症状で、同じ場所を。

    それからだった。
    潔が死にそうな夢を見始めたのは。

    それはもう大変だった。
    潔が死なないように、どんなに努力をしても死にそうになる。
    死なずに終われば、目が覚める。そして眠りにつく。
    潔が死にそうになる夢を見る。

    アンチに刺されそうになる。
    強盗事件に巻き込まれる。
    リンチの標的にされる。

    神様のいたずらかのように、潔が死に絶えそうになる直前に、蜂楽は目を覚ますのだ。
    気が狂いそうだった。なぜ、潔なのだろう。他の人なら、まだこんな気持ちにならなかった。

    いつ、潔が目を閉じる所を見てしまうのだろう。
    いつ、自分はこの夢に限界を感じてしまうのだろう。
    いつ、これが本当の事になってしまうのだろう。


    ならば、自分が代わりになろう。

    潔 世一は、蜂楽 廻に時間をくれました。
    たくさんの、たくさんの時間を。色んなことを感じさせてくれる時間を。
    とてもとても幸せな時間をくれました。
    だから、蜂楽 廻は潔 世一が死んでしまうのが嫌でした。

    夢の中で痛いだけなら、大丈夫。
    幸い、蜂楽が夢の中で死んでも現実にはならなかった。
    さあ、今日も夢の中へ。そう思って、目を閉じて、夢を見る。

    ただ、今日は違った。
    よりによって、久々のオフを潔と楽しむ日なのに。

    大丈夫。大丈夫、大丈夫。
    まだ、潔は生きている。
    覗いたスマホはまだ穏やかな日常だ。
    今日を乗り切って、夢の中でまた救おう。
    代わりに、死んでしまおう。





    深呼吸をひとつ。
    さあ、今日はどんな1日になるだろう。




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