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    いぬさんです。

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    14話目です。

    14ここからはちょっと聞きたくないかもしれないけど、少しだから我慢して聞いてもらっていいかな?私も話すのは大分恥ずかしいんだけど(笑)。
    ごめんね?


    私は中3で受験を控えていた。
    悟に再会して、志望校を本家から一番近い高校に変えた。なんとなくそれが自然に思えたからだ。
    受験勉強もあったから、なかなか本家に行くことができず、パパとママは分かりやすく寂しそうにしていた。悟には「勉強しないと高校に行けないの?実ってバカなの?」
    とニヤけ顔でディスられた。
    勉強も運動も至って普通の私にはぐうのねも出なかった。

    相変わらずこ憎たらしい悟ではあったが、ほのぼのと過ごしていたと思う。散歩でお社に行き、他愛のない話をして過ごすこともあったし、何も話さないで、ただ座ってぼんやりしていることもあった。お社付近に設置してあったカメラは全て壊したと悟が言っていた。それでもママはまた仕掛けるだろう。写真と同じいたちごっこだ。

    その頃から、悟は私の体に触るようになった。

    手を繋いでいることが多かったが、隣にいると顔や髪の毛をさりげなく撫でたり、肩や腰に手を置くようになった。
    いつもドキっとして悟を見るが、悟は気にしていないようで、ごく自然なことのようにしていた。

    何度も言うが私は中3で、体も大人の女性に近くなっていたので、この頃の悟の行動には大変悩まされた。受験どころではなくなった。
    キスもした。何度もした。所詮子供がするキスだから唇を合わせるだけのキスだが、私の体は火照って仕方なかった。
    悟を好きだという喜びと、いくら自分と同じくらいの背格好とはいえ相手は小学生だという罪悪感でノイローゼになりそうだった。悟が同い年だったらあんなに悩まなかっただろう。
    このままでは一線を越えるのも時間の問題かとも考えたが、果たして小学生の男の子にできるのかも分からなかった。

    悩んだ末、私はママに相談した。
    ママは神妙な顔をして聞いていたが、一瞬勝利の笑みとも言えるような顔をしたのを私は見逃さなかった。流石悟の母親。悟とおんなじ顔だった。この人は……と呆れた。

    ママの結論からいうと、「私は大歓迎だけど、悟にはまだ無理だろう」ということだった。身長はぐんぐんのびてはいるが、まぁあと1~2年は無理だろうと。私は安心したが、自分の体はどうしようもなかった。これについては、自分が近いうちに悟に言い聞かせるから、とママは微笑んだ。
    その日の夜は両親も呼ばれ、謎の宴会が催された。カンの良い悟は私を睨み付けて私が小さくなるのを観察するのを楽しみとしたようだった。

    受験も追い込みという頃本家に行くと悟はむやみに私に触らなくなっていた。ママが何か言ってくれたのだろう。相変わらず手は繋いでいたが、キスをする回数も減った。悟は何か言いたげだったが気付かないふりをした。
    でもそれは許されなかった。

    「母親に言われたんだけど」

    私は口から心臓が飛び出しそうになった。

    「いくらお互いに好きだと思っていても、実の心も体も実のものなんだからむやみに、しかも勝手に触ってはいけません」
    「実の心と体は悟よりもずっと大人の女性に近いから、悟にあちこち触られると辛い時もあるんです」
    「悟が実の事を大好きで、実の全てを見たい、触りたいという気持ちは痛いほど分かります」
    「でも、悟がもう少し大きくなって、実を喜ばせてあげられるようになるまで我慢なさい」

    「って言われた」

    ママ……最後の言い方はちょっと……

    「俺に触られるの辛い?」

    「正直……しんどい時はある」

    「分かった」

    その言葉を聞いてほっとしたのもつかの間

    「父親にどうしたら実に喜んでもらえるか聞いてくるわ」

    必死でとめた事は分かって頂けると思う。


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