もう1つの世界線・1あいつの触手が桜子さんを再び刺した
桜子さんの血が顔にかかる
「実さん……怪我は……」
「私は大丈夫!桜子さんこそ……!」
「悟様は『むらさき』を使うでしょう。そしてあの男は私たちを道連れにする気です」
「……うん……」
おじいちゃんの言葉を思い出す
「あか あお むらさき この言葉を聞いたら逃げなさい」
今まさに
悟が「むらさき」と言った
私と桜子さんがあいつの触手に引っ張られる
紫色の光の中で悟と目が合う
大きく見開かれた瞳
受け入れがたい運命と戦う瞳
悟なら大丈夫だよ
届くだろうか
悟
生きて
「実さん!!!!」
_____運命だって変えてみせる
悟!!!!!
気を失っていたのはほんのわずかな時間だろう。
私を呼ぶ声がする。
「……悟?」
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