しょたどり愛され「悠仁がちっちゃくなったぁ!?」
ある日、高専に五条のそんな声が響きわたった。
教え子がピンチなら駆けつけないとね!と、五条は悠仁のところへ向かった。
駆けつけた理由を話すと、伏黒に
「俺のときは土産買ってから来ませんでしたか・・・?」
と睨まれた。
「で、悠仁は?」
「ここにいるわよ」
釘崎が、優しく虎杖を抱っこしていた。
彼女の腕の中の虎杖は園児ぐらいになり、今はぐっすり寝ている。
「ゆ、悠仁〜!!可愛い!!可愛すぎるよ!!天使!?天使だよね!?僕死んじゃう!!」
勝手に死んだらどうですか、と伏黒に嫌味を言われたのは気にしない。
「あぁ〜!!!ちっちゃい悠仁天使!!!これいつまで続くの!?」
「五条先生煩い!虎杖が起きる!」
ここで伏黒の回し蹴りが五条の脇腹に入る。
五条は生徒の愛のムチなら受けないとね!と無下限呪術は発動していなかったのだが、日頃から人間離れした身体能力を持つ虎杖と稽古しているせいか、前よりもダメージが大きい。
あと、虎杖のためにというのもあったかもしれない。
五条が「痛い・・・」と膝をつくのを横目に、問題の虎杖を見る。
もそもそ動いたので、起きるかもしれない。
五条先生、後でマジでぶん殴ろうと思った伏黒であった。
「あ・・・おれねてた・・・?」
ついに虎杖が起きてしまった。
「私が抱っこしてるから寝てていいのよ?」
「そうだぞ。あっちの不審者は俺がなんとかしとくから」
伏黒が五条を指差して言う。
「ねぇ!?それもしかしなくても僕のことだよね!?酷くない!?」
「おにいしゃんだぁれ?」
舌足らずにそう言われ、五条がピシッと固まる。
「・・・悠仁、記憶無いの?」
「ないわ。だからおじいちゃんどこって泣き喚くのを宥めるの大変だったのよ」
おじいちゃんっ子の悠仁最高・・・!!
と五条が胸を抑えてうずくまる。
「アンタがそんなにダメージ喰らってんの初めて見ましたよ」
「いくら最強の僕でも・・・幼児の破壊力には勝てないのさ・・・」
まぁ、わからんくもないけどな。
と、伏黒と釘崎は遠い目をする。
「てか早く自己紹介しなさいよ」
「あ、そうだったね。
僕は五条悟!五条先生だよ〜?」
「ご、ごじょしぇんしぇ!」
「( ゚∀゚)・∵. グハッ」
頑張って五条先生と言おうとする虎杖が可愛すぎて、五条は血を吐いて倒れた。
「ごじょしぇんしぇ〜!?」
「大丈夫よ。コイツこんなんじゃ死なないから。オラ!起きろ!」
釘崎がそう言い、先程伏黒が回し蹴りを入れたところを蹴る。
「ねぇ、二人して僕の扱い酷くない?」
「酷くないわよ/酷くないでしょ」
「ま、それはさておき。
五条先生は言いづらいよね・・・悟先生は?」
さり気なく下の名前で呼ばせようとする五条を止めようとするが時すでに遅し。
「さとるしぇんしぇ!」
「ん~かわいい!!」
「さとるしぇんしぇ、おめめないの?」
虎杖は、五条が目隠ししてる理由は目が無いからだと思っているらしい。
「ん〜、違うよ〜?」
五条はスッと目隠しを取った。
「わぁ〜!さとるしぇんしぇのおめめきれい!!」
「そうだろそうだろ〜?なんせ僕は、最強のグッドルッキングガイだからね!」
鼻血出しながら言われると何かムカつくな、と思った伏黒と釘崎。
いや、それは普段からかと二人は思った。
そして、三人は虎杖を連れて高専に戻り、家入硝子のいる保健室に駆け込んだ。
「硝子!!悠仁が!!」
「また上層部か?」
「いやそうじゃなくて!!」
家入は、釘崎の抱く子供こそ虎杖であるとすぐに見抜き、
「あぁ、それで悟のテンションがやけに高いんだな」
と言った。
「ん、まぁそこらの雑魚呪霊の術式だから一週間もすれば戻るよ」
「一週間!!!一週間も持つの!?これ!?あっだめ僕死んじゃう!!!」
「五条先生マジで煩いです」
「逆に言えば一週間しか持たないからな。撮れるときに撮っとけよ」
撮れるときに撮っとけとは・・・つまり、今のうちに写真を撮っておけと。