別れ 夕飯を終えた司がリビングでテレビを見ていると、テーブルに置いていたスマホが音楽を鳴らした。画面に映し出されているのは、恋人である類の名前。
「もしもし?」
『あ、天馬?』
応答した後、聞こえて来た声がスマホの持ち主でなかった事に司は事態を把握する。
今日は、高校の時のクラスメイト達と同窓会だった。
司は仕事があったので欠席したが、休みだった類は渋々と出席したのだ。
「今から向かう」
『よろしくな』
司は通話を切り、コートを羽織ったら会場になっている店へと急ぐ。今朝、気を付けると笑っていた類の表情を思い出しながら、足を動かした。
案内をしようとした店員に事情を話して、同級生たちがいる部屋に通してもらう。扉をノックして引き戸を開けると、司の目の前にはべしょべしょに泣いている類の姿があった。
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