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    teasぱんだ

    @nice1923joker

    紅茶とパンダが好き。
    好きなものを好きな時に好きなだけ。
    原ネ申アルカヴェ沼に落ちました。
    APH非公式二次創作アカウント。
    この世に存在する全てのものと関係ありません。
    䊔 固定ハピエン厨
    小説・イラスト初心者です。

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    teasぱんだ

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    昨日の続き。ぬるいのでR15……?
    キスしかしてません。

    #アルカヴェ
    haikaveh

    教令院②「カーヴェ」
     呼ばれた声に振り返って、アルハイゼンの姿に目を見開いた。
    「アルハイゼン。その服。スーツじゃないか」
    「モンドの方の服屋から仕立てたものが届いたんだ。君もスーツを持っていたんだな」
    「今日はね。貸してもらった」
     カーヴェは自分の生活には最低限の金しかかけないことを知っている友達が、スーツを貸してくれた。曰く、もう買い換えたからいらないのだと。今夜行われる教令院のパーティーは新年度の祝いを兼ねていて、官員たちの顔見せの趣旨が大きい。
    (一年目ならまだしも、後輩もいるからスーツ貰えてよかった)
     返さなくていいからと渡してくれた友人に感謝だった。アルハイゼンは思っていたよりそっけなく、「まぁ似合ってるんじゃないですか」と口にする。
    「アルハイゼンの方がスーツは似合うな。ベストも着てるんだろ? 男らしい」
     褒めれば、一瞬驚くように目を見開いて、恥ずかしそうに目線を逸らされた。
    「……まぁ」
     こういう反応は、後輩だなと思う。
     何か言おうと口を開いたアルハイゼンの声に被さるようにして、パーティー開幕のアナウンスが会場内に響いた。知恵の殿堂で行われるこの行事は、相当な人数が参加している。一言二言交わして、アルハイゼンとは別れた。
    「カーヴェ。元気にしてたか?」
    「久しぶりに見る顔だな。建築現場ばっかり行ってるはずなのになんでそんなに肌が白いんだか」
    「カーヴェもスーツなの? 似合ってるわよ」
    「おぉ、挨拶に来るとは。今年度も期待しておるよ。あちらに建設会社の取締役がきておる、一緒に挨拶に行こう」
     目まぐるしく投げかけられる挨拶の声や先輩の言葉、同期の友人の揶揄いに笑って返していると、数時間のパーティーも一瞬の出来事になる。
     着慣れないスーツは少し息苦しくて、高級なワイナリーから取り寄せたワインはカーヴェの体内をぐるりとまわり、血管の隅々までアルコールを行き渡らせる。
     壁際に避難して柱にもたれると、また誰かが近づいてきた。
    「カーヴェ先輩」
     その呼び方に、出会った時のアルハイゼンを思い出す。そういえば、会場に入ってから一度も会ってない。顔を上げると、立っていたのは妙論派の後輩だった。
     わかりやすく落胆した自分の気持ちに、心の中で笑う。期待してたのか。
    「皆さんが二次会に行くそうです。僕が一緒に行きますから。こっちです」
     言いながら急に手を引かれて、たたらを踏みそうになりながらもなんとかついていく。掴まれた手を振り解く力は残っていないらしい。
    (妙論派で飲みに行くのか……?)
     今日のパーティーに合わせて明日は最低限の機能を残して、教令院は休みだ。二次会へという人は多い。
    (アルハイゼンのスーツ姿、もう一回見ておけばよかったな)
     男らしくなり始めた体格が体の線に沿った服に強調されていて、話しかけられた時直視できなかった。あまり見れなかったのが心残りだ。
     もうカーヴェの身長も越して男性と呼べる程成長した彼は、きっと会場内でも目を惹いただろう。既に、誰かと二次会か次の場所へ繰り出しているかもしれない。そう思いながら掴まれた手を見ていてたら、集合場所に着いたらしい。
     立ち止まった妙論派の後輩にまだ手を握られたままで、カーヴェが不思議に思って離そうとするのと同時に後ろから肩を掴まれた。
    「すみません、彼は俺と約束があるので」
     掴まれた肩と反対側、斜め後ろから聞こえた声に顔を向ける。
    「アルハイゼン?」
     名前を呼べば肩が引き寄せられて、アルコールの回った身体は簡単にアルハイゼンの胸元に寄せられる。肩に当たる胸板の厚みを感じて、ふわっと鼻腔に香るコロンを纏ったアルハイゼンを意識してしまい耳が熱くなった。引き寄せられた拍子に握られていた手が開放される。
    「カーヴェ先輩?」
     驚いた声を上げる妙論派の後輩に目もくれず、肩を掴んだままアルハイゼンが足を踏み出す。
    「では」
     後ろから押されてカーヴェもその足を進めざるを得ない。言葉だけは丁寧に、強引にその場を後にする。少し離れたところに居た妙論派の友人たちもポカンとした顔をしていたが、先ほどよりも心臓が早鐘を打つカーヴェはそれどころではなかった。


     教令院の入り口で、押すように歩いていたアルハイゼンが肩から手を離した。そのまま追い越すように前へ出て、カーヴェの手を取る。
    「アルハイゼン、どこ行くんだよ」
    「俺の家に来るといい」
    「なんで」
     カーヴェの寮は教令院の中だ。二次会に連れて行かれそうなのを連れ出してくれたのは感謝だが、このまま寮の部屋に戻れば声をかけられることもない。
    「……院内はまだ人が多い。寮の中では別で騒いでいる者がいるだろう。そして君は、断るのが下手だ」
     反論もできなくてカーヴェが口を噤む。
    「それに……相談したいことがある」
     いつもより緊張したように強張っている声に、カーヴェは目を見開く。こんなアルハイゼンの声は初めて聞いた。
     それほど困っていることなのだろうか。昔から放っておけない性格だ。それが、可愛い後輩で、自分が好意を持っている人であれば。
    「いいよ」
     聞こえたのかわからないくらいの声で返事をしたのに、握られた力が強くなった気がして、カーヴェは笑った。
     連れられるまま坂を下り、すぐにアルハイゼンの自宅に着いた。開けられる扉に内心緊張しながらも足を踏み入れる。
    「水を」
     ソファに座って息苦しさから首元のボタンを一つ外していると、目の前に置かれるグラス。正直喉が渇いていたからありがたい。
    「苦しいならスーツも緩めて。上着も脱いでいい」
     言いながら、L字に置かれたソファで斜めに座っていたアルハイゼンが上着を脱ぐ。下に隠されていたベストが彼の発達した胸筋のラインを魅せていて、キュッと絞られたウエストが目に悪い。
    「……あぁ、ありがとう」
     見ていたことに気づかれないように急いで自分の服に手をかける。
     首にかけていた蝶ネクタイをぱちん、と外して、シャツのボタンをもう一つ開ける。友人に貰ったスーツは肩周りは少し小さいのにウエストはブカブカで、首元が苦しかった。上をくつろげればだいぶ楽になり、カーヴェは息を吐く。脱いだ上着をソファに同じように置いてアルハイゼンを見た。
     どうしても、今日話さないといけない相談だったのだろうか。カーヴェは人からの相談や懇願に弱い。友人の誘われて愚痴や傷心酒に付き合うことも多かった。
    「アルハイゼン助かったよ。でも急に来て良かったのか? 家の人に迷惑なら、少ししたら寮に戻るから」
    「構わない。俺は一人暮らしだからな」
     確かに人の気配はないと思っていたが、一人暮らしだったのは知らなかった。
    「そうだったのか」
    「……今夜は泊まっていくといい。どうせ寮内も騒がしいだろう」
     帰らなくてもいいと聞いて、また気が抜けてしまった。
    「ありがたい。はは。相談、のってあげたいんだけど……途中で寝ちゃったらごめん」
     もう意識が奪われそうで、首が上下に揺れる。このままここで寝てしまってもいいだろうか。スーツは貰えるから丁寧に扱う必要もないし。眠気がすごい。
    「カーヴェ」
     落ちそうな意識の中でトントンと肩を叩かれて、手を引かれる。ほとんど力の入っていない身体をアルハイゼンは慣れた動作で肩に腕を回させて、家の奥へと歩を進める。
    「寝室まで我慢して」
     連れてこられた寝室にはもちろんベッドは一つで、今の状況を思い出したカーヴェは辞退の声を出す。
    「いやいや、ベッドはいいよ。さっきのソファで十分だから」
    「そんな状態でわがままを言うな。ソファは今の季節は寒い」
     ベッドに寝かせようとしてくるアルハイゼンにしがみついて嫌だと駄々を捏ねる。おろされないように首元に腕を回して、足も腰に回してしがみついてやった。
     成人男性一人ぶんの重さなのに、アルハイゼンはびくともせずカーヴェの体躯を支える。
    「アルハイゼン……きみ、大きくなったんだな」
     カーヴェが抱きついても安定したままの体幹に状況も忘れて感嘆の声を上げる。
    「え、すごいすごい。僕が体重預けても大丈夫なの!? ははははは! うわっぷ」
     わぁわぁ騒いでいたら背中からベッドに放り込まれて、しがみついたままだったアルハイゼンが覆いかぶさるようにカーヴェを見下ろしていた。
    「きみ……」
     口を開くアルハイゼンを正面から見てしまって一気に顔に熱が集まる。
    「……あ」
     しまった。変な反応をしてしまった。
     動揺を悟られたくなくて視界を放棄すると、一拍置いて唇に何かが当たった。すぐに離れるそれが思いつかずに目を開けて、アルハイゼンにキスされるのをゼロ距離で見てしまう。
    「んぅっ……」
     思わず出そうになった声は喉で反響して体内に響くだけ。顎を引こうとするカーヴェの動きを予測していたように首の後ろに手のひらが忍び込み、掬い上げるように持ち上げられる。そのせいでカーヴェの顎は上がり、口が開く。
     入ろうとする舌が下唇を掠めて、思わず口を閉じて挟むと、顔の角度を変えてさらに深く差し入れられた。逃げる自分の舌がアルハイゼンのそれに見つかって、敏感な粘膜同士が触れる。ざらりとした感触が神経が集まった舌先を撫でて肩が震えた。
     驚いてもう一度視界を閉ざしたせいで、口の中で起きてる出来事が詳細に脳内へ伝達された。鼻腔から香るアルハイゼンの香りも、カーヴェの首を掴めるほどの大きな手のひらも、アルハイゼンの首に回したままの両腕から伝わる人肌の温もりも、全てがカーヴェの中にじわじわと入り込んできて処理しきれない。
    「ふっ……んんっ……」
     角度を変えながら何度も擦り付けられる唇は、最初はカサついていたのにいつの間にか湿り気を帯びて水音を奏で始める。ちゅ、くちゅ、という音が自分から発せられていることも、これを、アルハイゼンも聞いていることも羞恥心を刺激して。それは最短で快感へと結びついていく。
     腰がむずむずするのを感じてカーヴェはまずいと思う。
     やめなきゃ。勃ってしまう。恥ずかしい。知られたくない。絡め取られた舌の先がアルハイゼンの唇に挟まれて、先を歯で甘噛みされながら吸われる。引っ張られるような刺激に腰が震えて、股間のそれが勃ってしまったのがわかった。酒だけではない熱が全身を包んで、少ししかないお互いの隙間で二人分の香りが混ざり合う。音にも香りにも熱にも酔いそう。
     ようやくゆっくりと離された唇は泡立てられた唾液で糸ができて、その細い糸を目線で追ってしまう。それも舐めとるようにアルハイゼンがもう一度顔を近づけてきてキスをされた。空気に触れた唾液は冷たくて、熱った唇はその刺激にまた震えてしまう。
    「カーヴェ」
     低い声で名前を呼ばれて、アルハイゼンの目を直視できない。
     隠せないほど勃ってしまっている股間が窮屈で、腰を捩る。すると揺らした腰にアルハイゼンの手が添えられて、なんだろうと思うと同時に太ももに硬い熱を押し付けられた。同じ男なんだ、それが何かなんて聞かなくてもわかる。
    (アルハイゼンが、僕で興奮してる)
     そう思っただけで、もうダメだった。頭に心臓が来たんじゃないかと思うくらいうるさい心臓の音を無視して、覗き込もうとする顔に両手を添えて引き寄せる。
     少し開いたその唇に自分のを押し付けて、今度はカーヴェの方から舌を差し入れた。一瞬驚いたように強張ったアルハイゼンの身体はすぐに弛緩して、強くカーヴェの舌先を吸い上げるとまた唇を離した。
    「いいの?」
     口調は幼い後輩のアルハイゼンのままなのに、その声は大人の色気を纏い始めていて、カーヴェはその違いにもどうしようもなく興奮した。
    「アルハイゼンが、したいなら……」
     我ながら酷い言い回しだ。全てを彼のせいにして、自分の希望を叶えようとしている。仕方ない。だって知られてはいけないんだ。
     たまたまキスしてしまっただけで終わらせられるこの瞬間を、カーヴェはアルハイゼンに責任を押し付けて終わらないように誘導しようとしている。
     太ももを上げて、アルハイゼンの性器を煽るように刺激する。酒も入って性欲が溜まっているところに、これだけ煽られれば男は発散したくなるだろう。一夜だけでもいい。キスができるなら、せめて、抜きあいくらいしてくれないだろうか。
     こんな硬い身体を抱いてくれとは言わないから。アルハイゼンの布地を押し上げるその熱を見てみたい。
    (本心は言わないから)
     僕を一夜だけの相手にしてくれ。
     君が望むなら、今夜のことはちゃんと忘れるから。
     アルハイゼンの顔が近づいて、カーヴェは顎を上げて迎え入れる。欲望を隠さないアルハイゼンの瞳に射抜かれて背中が震えた。


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