タイトル考え中 最初から両想いであるとは解っていても、それでも、この未熟な恋を成就させるべきではないと、ワタルは判断していた。
ヒビキがどれだけ真剣に考えて好きだと伝えてくるのだとしても、それがまだ若くて未熟な精神であるが故の気の迷いであったとしたら、ワタルは到底立ち直る自信がなかったのだ。
「ワタルさん、僕、貴方のことが大好きなんですよ。」
「ありがとう。俺も、ヒビキくんの元気なところが好きだよ。」
煙に巻くようにして「親愛」の感情を乗せ、何度も伝えてくれているヒビキの「恋情」に答えを返す。
その答えは真であり、嘘でもあった。
ワタルの「恋情」は醜く、ドロドロと嫉妬深く、独占欲に塗れている。その醜く重苦しい感情と同じ温度では、到底ヒビキを幸せにはできないと、ワタルはそう判断していた。幸い、自制心には自信があった。だから、自分の中の恋情を心の奥深くに堰き止めていた。
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