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    ふゆつき

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    ふゆつき

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    七→風。在学中。モブ女子の告白を断ってぐったりしてる風真とそれを慰める七ツ森。

    みだい人気のない校舎の中庭。顔も知らない女子生徒がスカートを翻して去っていく。瞳に薄ら涙を浮かべていたがそれでも何処か晴れかな顔で。残された男子生徒がどんよりと沈んでいるのとは対照的だった。
    嫌な所に出会してしまったと七ツ森は思った。数分前の告白劇を思い出してため息をつく。
    『風真君が、好きな人がいるのは知ったの。けど、私の気持ちを知ってて欲しかった。聞いてくれてありがとう』
    風真に振られたと思しき名前知らない女子生徒がそんな事を言って立ち去るシーンに出会してしまった。幸い、彼女は七ツ森に気が付かなかったようだけど、残された風真は気づいていたらしい。
    「立ち聞きとか、趣味が悪いぞ七ツ森」
    「偶然だっての……」
    「本当かよ」
    こちらを揶揄うように言う風真の声に覇気が無い。振られる筈の名も知らない女子生徒より悲壮感漂う風真姿になんとも言えない気持ちになる。なんの因果か風真が誰かに告白されてるシーンに立ち会うのは今回が初めてじゃなかった。その度に、風真の元々白い肌が青ざめてみえるほどぐったりしているのが心をざわめかせた。風真が、幼なじみの小波を好きな事は当の本人以外には周知の事実で、その上で玉砕覚悟の告白は勇気ある行動だと思う。けれど、彼女達は知らないんだろう。思いをぶつけられた風真が静かに傷ついている事を。だって、風真の恋は残念ながら実らない。それも周知の事実でだからこそ、万に一つの可能性をかけて告白して来るんだろうから、彼女達にとっては、ほろ苦くも美しい青春の1ページでも風真にとってはナイフで抉られるようなもんなんじゃないかと思う。
    「あぁ〜、風真さん。なんか甘いモノでも食べて帰りましょうか?」
    「なんだよ、急に」
    「疲れた時は甘いものデショ」
    七ツ森の提案に風真は驚いたように目をぱちくりしたあと、ふっと吐息をこぼした。張り詰めモノを吐き出すようなささやかな音だった。
    「……なんでいつも七ツ森はこういう時に居合わせるんだろうな」
    「なんでだろうねぇ」
    七ツ森が風真の気配をついつい追ってしまうからだなんて事は絶対に言えない。
    「…………顰蹙買うだろうけど、……断るのも結構辛い」
    「だろうね」
    ピシリとしたブルーのシャツに皺が寄る。ぎゅっと自身の胸元を掴む風真の手と長い睫毛が小刻みに震えていた。
    この痛いしい姿を見ていたら、自分の想いをぶつけるなんて事出来るわけないのだ。
    身勝手に想いを告げて清々しくスカートを翻していく名も知らない彼女たちが七ツ森は妬ましかった
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    oredayo_mino

    DONE七風食堂:冷蔵庫の残り物でごはん作ってくれ……風真……。
    明日は買い出しへ買い物に行く日は週に一度と決めている。自宅から徒歩十五分のスーパーは金曜が特売日で、カードで支払うと5%値引いてくれる。一週間分買いだめした食材を小分けにして冷凍し、作り置きのおかずを作っていれば「主婦みたい」と緑の瞳がいつも笑う。
    食材がほとんど底をつく木曜は俺の腕の見せ所だった。すかすかの冷蔵庫の中にはシチューの残りとサラダに使ったブロッコリーの残り。冷凍庫の中には食パンとピザ用チーズ。戸棚の中には使いかけのマカロニ。
    今日の夕食は決まりだ。残り物を工夫してそれなりの料理に変化させるのは意外と楽しい。まず冷凍の食パンを常温に戻す。その間にシチューをあたため、マカロニを湯がく。マカロニは少し芯がある位でざるに上げ、グラタン皿に盛りつける。その上からブロッコリーを乗せ、常温に戻した食パンを一口サイズに切り、同様に皿に盛りつける。その上からシチューを流し込み、冷凍してあったピザ用チーズを振りかける。それからオーブントースターで約8分焼くだけ。すると、チーズのいい香りに誘われたのか、ふらふらと実がキッチンへやってくる。
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