俺は「普通」に輝くから、そこで見てて「えっ、赤葦今度の土曜の試合絶対来てって言ったじゃん!」
『すみません…ちょっとどうしても金曜の最終に間に合いそうになくて』
「最終が間に合わないなら土曜の始発は」
『俺が持ちません…ていうか寝過ごして気づいたら博多でしたエンドが見えますね』
電話越しでもわかる疲れた声。週刊誌の編集というものがどれだけ厳しい仕事であるかはこの数年の赤葦を見ていれば木兎にだってわかる。特に今は年末進行というものもあるらしく、一際忙しいのだと言う。
…それはわかる。わかっている。それでも今度の土曜日の試合だけは絶対に見に来て欲しいのだ。チケットも用意してあるし、なんなら新幹線のチケットだって赤葦に送ってある。最近はそうしたこともスマホがあれば完結できる非常に便利な世の中でとても助かる。決して恩着せがましいつもりなどなく、とにかく土曜日の試合だけは見て欲しい、その一心で、新幹線の切符くらい自分で買いますからと固辞しようとした赤葦を押し切った。なのに来られないとは。
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