すこしはやくおきたひなんとなく、起きた時にはまだ辺りは薄暗くて、多分きっと日の出前なんだろうなと思いながら夜の雰囲気が残る空気を吸った。
昨夜の情事を物語るようにはだけた着物を軽く着直す。
まだ起きるのには少し早い。
いつも私が起きた時には既にいない彼女も今日はまだ隣で眠っていた。
「…れいむ」
声を掛けてみても反応がない。
どうやら本当に眠っているみたいだ。
彼女の顔にかかっていた横髪を軽く避けると、なんとも無防備な寝顔が現れた。
ほんのりと湿り気のある唇がやけに色っぽい。
今なら何してもバレないんじゃないか、そんな考えが頭を過る。
ちょっと、ほんの一瞬触れるだけならバレないんじゃないか、って。
どくん、と心臓が波打った。
なんだか悪いことをしているみたいで、いけないことをしているみたいで、そのまま心拍は加速していくばかり。
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