ヒプマイ 寂雷×乱数(案⑤)『水族館』「乱数くん、水族館行きませんか?」
「へぇ? いいよ。お魚たっくさんいるんでしょ。行きたい行きたい!!」
寂雷の車に乗り、向かったのは展望台下にある水族館。嬉しさから乱数は腕を広げ、飛行機のように走り回る。チケットを買い、中に入るや出迎える魚達に目を輝かせ「うわぁー」と歓喜の声。
喜ぶ姿に寂雷は小指を乱数の小指に引っかけ、さりげなく手を繋いでいると二人のは背後から「これは何かのご縁ですかね?」と銃兎が割り込む。
「あれー兎さん。なんでここにいるの?」
「たまたま休みが取れたので気分転換に来たんですよ。それにしても――」
と、銃兎は言葉を中途半端に止め。視線を二人のは指へ落とす。
「おや、そういう関係ですか?」
腕を組み、クスクス笑う銃兎に乱数は恥ずかしくなり顔を真っ赤にすると「違うもん!!」と手を乱暴に振りほどき何処かへ走り去った。
「こら、乱数くん。あまり遠くに行くと迷いますよ」
乱数の後を追う寂雷の姿に銃兎はメガネをクイッと持ち上げニヤリ。
「なんだか邪魔をしてしまったみたいですね」
水槽に目を向け、遠くから聞こえる「もう手繋がない!! 恥ずかしいもん!!」と騒ぐ乱数の声に銃兎は静かに鼻で笑った。