ヒプマイ 寂雷×乱数(案⑦)『入院』「誰かと思えば乱数くんじゃないですか?」
救急です、と看護しに呼ばれ病室にやってきた寂雷。だが、個人部屋の病室に居たのは怪我だらけの乱数。寂雷の声にニカッと笑う。
「どうしたんですか?」
「可愛いオネーさんがね。こわーい男の人に絡まれてたから助けたの。そしたら、相手がヒプノシスマイク持ちでさぁー。少し油断しちゃった。てへっ」
「油断にしてはボロボロですね。まぁ、いいです。私が担当するので怪我から見て一週間から二週間安静にしましょう」
「わーい、じゃーくらーいー先生ー」
「やめて下さい。仕事中なんです」
寂雷はペンでカルテに文字を書くと一緒にした看護しに渡す。軽く「子供っぽい子ですが良い子なので」と看護師に話しかけ「次の仕事があるので」と部屋を後にした。
静まる病室。
真っ白な部屋。
寂雷がいなくなり乱数は黙ると少し考え「あっ!! オネーさん」と看護師に話しかけた。
翌朝。
「乱数くん、体調は……」と病室にやってきた寂雷。しかし、部屋の変わりように口が開く。
可愛い枕に可愛いぬいぐるみ、真っ白な部屋がキャンパスのように明るくなっていた。
「おっはよー。みてみて、可愛いでしょ。あまりにもセンスないから可愛くしちゃった」
「キミ……患者ですからね?」
「はぁい、わかってますよー」
分かってるようで分かってない返事に「やれやれ」と肩を竦める。
思ったより怪我の回復が良く、「病院の中を周りたい」と子供のようにねだられ「少しだけですよ」と寂雷は乱数を車イスに乗せ病院内をまわる。
広々とした廊下。透明で美しい大きな窓ガラス。外に出れば花壇やベンチと休憩スペースもあり、病院だが患者に気遣った面もあった。
「病院嫌いだけど此処の病院は好きかなぁ」
「そうですか。気に入っていただけて良かったです」
「綺麗だし、お花も可愛いし。何よりも寂雷が居るから怖くない!! えへへ」
乱数の子供っぽい笑顔に寂雷は咳払いで嬉しさを誤魔化す。
「それは良かったです」
「んふふっ退院するまでヨロシクね。寂雷センセー」
悪戯な言葉に乱数はまた笑うと寂雷も釣られるように笑う。
昼食時、あまりの食わず嫌いに寂雷に「あーん」して貰った話と添い寝は二人だけの秘密。