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    顔のいい魏嬰に藍湛が嫉妬する話
    #忘羨

    藍湛が嫉妬する話
    私と魏嬰は物資を補充するため、彩衣鎮へと足を運んでいた。筆や紙類を無事手に入れ、少し町を見てから帰ろうかとしていたところ、私たちは婦人たちに呼び止められた。
    「あら、そこの別嬪さんたち。これ見ていかない?良い匂いがするのよ」
    どうやら彼女たちは香炉を販売しているようだった。私は人付き合いがあまり得意ではない為、この場は魏嬰に任せることにした。
    魏嬰が婦人たちに囲まれ、楽しく談笑している。そんな姿を見て、私の心は靄がかかったかのように渦巻いた。自分で魏嬰にこの場を任せたはずなのに、私以外の人と話して笑ってほしくない。このまま婦人たちから魏嬰を取り戻し、静室に隠したい。そして、私しか知らない場所をじっくりと暴いて彼を啼かせたい。そんな邪な思いが私を取り舞く。だが魏嬰が楽しそうに話しているため、私が間に入ってはいけないだろう。彼には幸せでいてほしい。こんなところで私は彼の幸せを奪ってはいけない。
    その後、一盞茶ほど彼を待っていた。だが彼は一向に、私のもとへ戻る素振りを見せてはくれない。私の魏嬰なのに。婦人たちに魏嬰を渡すつもりはない。
    だがどう連れ戻そうか、いくつか方法を考えてみるが、すべて彼が嫌がりそうなことしか思いつかない。試行錯誤しているうちに、一人の婦人が魏嬰の頬に触れようとしていた。その姿を見て私は、頭に血が上ったようにかっとなり、気づけば夫人の腕を握っていた。
    「藍湛?どうしたんだ?」
    「用事がある為、このあたりで失礼する」
    嘘だ、そんな用事なんてない。魏嬰を連れ出すための嘘に決まっている。私はつかんでいた腕をゆっくり離し、代わりに魏嬰の腕を掴み町の外へ連れ出した。
    「おい藍湛、どうしたんだよ。…藍湛!」
    魏嬰の声を聴き、私ははっとなり掴んでいた腕を離した。辺りには人の姿は見えず、私は彼をだいぶんと引きずってしまっていたことに気づいた。
    「…すまない」
    「それはいいんだけど…どうしたんだ?藍湛らしくないぞ」
    「婦人と話している君をみて、面白くなかった」
    私は彼を連れ出した理由を正直に話した。そうすると、魏嬰は珍しいものを見るかのように私を見て、笑った。
    「まさか…麗しの含光君様は嫉妬したのか?」
    その通りなのでこくんとうなずく。
    「君が綺麗なのが悪い」
    「話しかけられた理由を俺のせいにするのか?まったく」
    魏嬰は呆れたように首を左右に二度降った後、私の首周りに腕を回して言う。
    「あのおばちゃんたちは良い匂いの香炉を教えてくれただけだよ、しかも…天天で使う用のな?」
    彼がにししと笑った。
    「それなのに嫉妬するなんて…まったく俺の阿湛は自分勝手だな?」
    魏嬰にそういわれ、私はばつが悪そうな表情を浮かべ顔を背けた。
    「安心しろ、俺には藍湛しかいないから」
    魏嬰は互いの額をくっつけ、私の抹額をはらりと外しながら呟いた。
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    DONE「誰のものにもならないで」
    のセリフを使ったお題


    私、もしかして切ない系大好きなんか?って位らおず時代の話は筆が進む進む。次こそは、ほんわかいちゃらぶ書きたいね!恐らくAU書くだろうけどね!
    思いは満月と共にその日は月の綺麗な日だった。
    黄金色に爛々と光る満月はまるで藍忘機の瞳のようで、この場に魏無羨が居れば、その事を揶揄わずにはいられなかったであろう。「お前の瞳は、夜の闇に俺たちを照らしてくれるお月様より綺麗だ」と。だが、そう言ってくれる彼の姿が藍忘機の隣にあることは無かった。それもそのはず、今の魏無羨は人々から「夷陵老祖」と恐れられ、危惧されている人物である。そんな彼がここ雲深不知処にいれば、それはもう大混乱を招き、藍啓仁は血反吐を吐くだろう。だがそんな彼が隣にいればと、藍忘機は何度願ったことだろうか。その願いは一度も叶った事はなく、これからも叶うことは無いだろう。
    藍忘機は静室の戸を開き、縁側へと足を進めた。彼が座学時代旨いと言って、よく隠れて飲んでいた天子笑を片手にそこへと腰を下ろす。何故、禁酒のはずの雲深不知所に酒があるのか。それは彼にも分からない。否、それを買った者が藍忘機であることは、紛れもない事実であった。
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    MOURNING玉蘭と木蓮のはなし
    玉蘭はハクモクレンを指すみたいですが…薄目でお願いします 焦
    「藍湛、知ってたか?玉蘭は東贏で木蓮と呼ばれているそうだ。昔、師姐に教えてもらったんだ。」


    まだ寒さが残る季節。相変わらず美味い天子笑を飲みながら、ほころび始めた白い花弁を見上げる。




    『──阿羨、玉蘭のことを東贏では木蓮というらしいの。』




    そう教えてくれた師姐を思い出す。
    あれは、雲深不知処の座学に参加する少しまえだっただろうか。花の名前をひとつ知ったことで何故そんなに嬉しいのか当時は不思議だったが、あまりにも嬉しそうに笑う師姐見ているとこちらも幸せな気分になったのを覚えている。
    今ならあの時の師姐の気持ちが少しわかる気がする。


    『──違う花なのに、同じ木に使われるなんて不思議ね。』


    「蘭」陵と「蓮」花塢の二つの違う花の名を持つ木がある。まるで両家を繋ぐように感じたのだろうか。普段なら気にならない些細なことに、何やら運命のような縁を感じて嬉しく思ったのだろう。
    いつも優しく俺達を包んでいてくれたけれど、師姐だって幼い少女だったのだ。あの時の師姐は恋をしていたのだと、今ならわかる。


    「木に咲く蓮とは何だか妙だけど、雲深不知処で蓮を見られるとは思ってなかった 1893

    🌸忘羨二次創作垢🌸

    MOURNING魏無羨がニヤニヤしながら嗅がせてきたのは、いつしか見た事のある見た目がおかしい香炉。眠る前から怪しい展開になるだろうことはわかっていたが、まさかこの時の夢を見るとは思わず、数回ほど藍忘機は目を瞬かせた。
    香炉 初めての口づけ―――これは、夢か。

    魏無羨が目隠しをしたまま笛を吹いている。自分はそれを眩しそうに見ていた。どうせ気づかれない、気づかれてもこれは夢。そう思い、藍忘機は昔と同じように木の上にいる魏無羨の元へと足を運ばせた。いつしかの夜狩りの帰りに、見知らぬ夫婦が木陰で深い口づけをしているのを見かけた。

    好きなもの同士なら、ああやって愛し合うのかと学んだ。
    そして魏無羨と同じ事がしたいという欲を感じた。

    魏無羨に初めて口づけをしかけた時、あの夫婦のそれを真似た。目を隠しをしたまま的(マト)に矢を放った時の魏無羨は本当に美しく見えた。あれは私のもだと印をつけたくなるほどに。

    笛の音が聞こえた瞬間、霊獣を狩る事よりも魏無羨の傍にいたいという欲求が強まった。そっと遠くから眺めるつもりだったが、風を感じて気持ち良さそうにしている無防備な彼を目前に我慢をする事ができなかった。もうすでに自分たちは道侶。今襲わなくても毎晩これでもかと愛し合っている。しかしこの瞬間、藍忘機はあの時の劣情がまざまざと蘇り、気づけば彼の手首を抑えて口づけていた。それも無理やり。
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