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    nantonac64

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    オリジナル漫画のセリフを起こしたやつ
    ジーニアスとヴルの小話

    #オリジナル
    original
    #小話
    brief(comic)Story

    【these stones】彼らジーニアス「………………」
    ジーニアス「……そこにいつまでも立っている必要もあるまい。サックス家の坊っちゃんが儂に何用かね?」
    ヴル「……何。大した用ではない。ただ、ジーニアスよ。いや、今はストレイズ家のものと呼ぼう。」
    ジーニアス「儂をその名で呼ぶからには、それ相応の覚悟があってのこと…そう解釈するが、君にその覚悟がお有りかね?」
    ヴル「何を今更それを問う必要が俺にあるのか。甚だ疑問であるな、ストレイズよ。貴様こそ、俺を本当にサックス家の者と認識しているのかを疑うところだ。」
    ジーニアス「ああ、もちろん今更だ。お前たちは『眼』の探求者だ。『探し求める』哀れ者のな。」
    ヴル「我々を未だそう呼ぶのなら、遠慮なく貴様に問おう。貴様は一体、何を『求めて』彼を此処に引き入れた?」
    ヴル「『連中』の思惑を知らないわけではあるまい。いや、知らないというのなら貴様はマヌケよりもなお酷い。」
    ヴル「我々の言葉で『無知は罪だ』とあるが、はてさて。罪よりも重いものをなんと形容すればよいだろうな? ストレイズ。」
    ジーニアス「さぁ〜なぁ。実際、儂は痴れ者だからなぁ。難しい言葉はまぁーったく理解できん。」
    ジーニアス「罪より重いものだぁ? 儂は箸より重いものは持てんぞ。お前の基準の重いものとは、一体何を指すのかね。」
    ヴル「ストレイズよ。あの少年は正しく無知を抱えているだろう。貴様が背負うのは、その無知であると俺は警告してやろうとしているわけだ。」
    ジーニアス「なに、考えてもみろ。箸しか持てないのなら、持つもの自体が軽くなれば良いだろう。」
    ヴル「……理にはかなっているだろうな。だがそれは、なぜその重さがあるのかを理解しているものにしかできないだろう。」
    ジーニアス「ならば、魔法を使えばいい。」
    ヴル「魔法? 魔法だと? 何をいうかと思えば、そんなものか。」
    ヴル「そんなものは終ぞ存在はしない。或いは何か、人を動かすものをそう形容する者もいないではないが……」
    ヴル「俺から言わせれば、あまりにも脆き楔だ。最初から腐っている釘など打つに値しない。」
    ジーニアス「腐らぬ鉄や鉛なぞ存在するものか。我々とて、いつかは朽ちる存在だぞ。」
    ジーニアス「我々がいかなる鋼を持ち合わせていたとして、それが打ち直され、全く別の形にされることも無くはないことではないか?」
    ジーニアス「または、ヴル=テナー=サックスよ。原型なき姿でも、質量が変わらなければ、『変わることはない』と言い切れるかね?」
    ヴル「………どうであろうな。見た儘を信じるのが愚かさだ。」
    ジーニアス「その愚かさも、時として力になりうる。」
    ジーニアス「本質は、誰も見ておらんのだよ。錆の原因も、形の理由も、ありとあらゆる理由をな……」
    ジーニアス「知らぬことは、明日のため。そう信じなければままならぬ者がおる。そうしたものが動かすものは、あまりに大きい。」
    ジーニアス「だからこそ、形が必要なのだよ。」
    ヴル「………………」
    ヴル「なぁ、ストレイズ。」
    ジーニアス「何かね。」
    ヴル「この世は、あまりにも平坦でつまらぬな。」
    ジーニアス「ああ、つまらんよ。あまりにも何も変わらずな。」
    ヴル「いっそのこと、大魔王なんぞが地底から現れてくれたりすれば、世は面白くなるだろうかな?」
    ジーニアス「別の意味で平坦になるかもしれんの。」
    ヴル「そんなロードローラーのような魔王は見たくないのだが。」
    ジーニアス「分かりやすくていいと思うぞ。」
    ヴル「………そうか?」




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    ポイピクにテキスト投稿機能があるって知ったので、お試しで…
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    遺跡を巡る旅の途中。
    街の教会の前を通りかかった時、ふと立ち止まったスレイは何かを凝視しながら不思議そうにたずねた。

    「ミクリオ?あれ何?」

    そう問われ視線の先を見やると、そこには純白のドレスとタキシードをまとった若い夫婦。多くの参列者達に祝福され、花びらのシャワーの中を笑顔で歩く二人は幸せそのものだ。

    「あぁ…あれは結婚式だよ。」
    「へえ!今の結婚式はあんなに華やかなんだな。まるで戴冠式みたいだ。」
    「そうか。君が知ってる災厄の時代の頃は、もっと質素だったね。」

    スレイが驚くのも無理はない。
    彼が眠っていたこの数百年の間に、文明のレベルはずいぶんと上がっていた。
    それに伴って、人間と天族の生活スタイルも大きく変わり、こういう行事ごとも時代と共に多様化していたのだ。

    そこだけ別世界のような華やかな雰囲気に、好奇心たっぷりのキラキラした目で魅入るスレイ。
    そんな彼を微笑ましく横目に見ながら、ミクリオは冗談めかしにこんなことを口にした。

    「そういえば、スレイは……結婚したいとは思わないのか?」
    「え?なに?急に 1170