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    nantonac64

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    漫画シナリオ

    【オリジナル漫画】『these stones』時計編 シナリオ8漫画シナリオ


    ササラギ「タリーシャさんに会った後、」
    ササラギ「ナタリー=スニキットは殺されました」

    [ササラギの言葉に、クリスは顔面蒼白に、マッキンリーは驚きと怒りが混じり合った表情に、スーラはササラギを睨むように見つめ、タリーシャは口元を両手で覆う。立つ力を失うタリーシャ。]

    タリーシャ「ころ……、され………」
    タリーシャ「わ…私が……もう少し……あの場に……長く……」
    タリーシャ「ああぁ………!」
    スーラ「……………、タリーシャ。」

    [タリーシャはゆっくりとササラギを見上げる。]

    タリーシャ「……………、ササラギ……くん……」
    ササラギ「はい?」
    タリーシャ「誰が………やったの……?」
    ササラギ「行ったときには既に死んでましたよ。見事なまでの真っ二つになって」
    タリーシャ「………そう………」
    スーラ「…………………」
    ササラギ「まぁ、仕方ないですよね」
    クリス「なっ……」
    クリス「仕方ないって……」
    クリス「そんな言い方ないじゃないですか」
    ササラギ「ナタリー=スニキットが」
    ササラギ「『ノムレスの心臓』の研究拠点に勤めていたと言ったら、同じことが言えます?」
    クリス「え……」
    ササラギ「勿論、そんな露骨な違法建築物ではありませんでしたけどね。」
    ササラギ「なんなら、スーラさんは知ってたんじゃないんですか? あ、いえ、呼び方が違いました」
    ササラギ「元『ノエシス隊』副隊長、スーラさん」
    スーラ「……………」
    スーラ「やっぱり、そうだったかい。」
    マッキンリー「!」
    ササラギ「全く、下手すりゃ塀の中へお引越しになりますよ?」
    スーラ「………」
    スーラ「確信があったわけじゃぁないんだよ。下手なことを言おうもんならそれこそ異常者でお縄になるよ。」
    ササラギ「はあ、まぁそうですね。」
    スーラ「それに、あの子は無関係だっただろ。」
    ササラギ「そんなの殺した人間からしたら関係ないでしょう?」
    ササラギ「目下の問題はそこじゃないんですよ」
    タリーシャ「…………………………」
    タリーシャ「……研究施設に………心臓………無かった………のね……?」
    ササラギ「残念ながら、無かったのか、持ち去られたのかはハッキリしないんですがね」
    マッキンリー「……なら、お前は何しにここに来たんだ」

    [全員がマッキンリーの方を向く。マッキンリーは頭を下げていたが、ゆっくりと顔をあげる。]

    マッキンリー「姐さんと、タリーシャさんにそんなことだけ言いにここに来たわけじゃねぇんだろ」
    マッキンリー「お前は、そういうやつじゃねぇ」

    [ササラギ、マッキンリーを見る。ササラギは踵を返すと、そのまま立ち去ろうとする。]

    マッキンリー「……は?」

    [スーラ、タリーシャ、クリスはササラギの態度を見てそれぞれ怪訝な表情を浮かべ、マッキンリーは歩き出したササラギを追って足を動かす。]

    マッキンリー「おいっ!」

    [マッキンリーがササラギの肩に手を伸ばそうとする。]

    謎の声「きゃあぁぁあ!!」

    [どこからか上がった悲鳴に目を見開くマッキンリー。マッキンリーが見たのは、『人型の異形』に襲われる人々の姿。クリスはあちこちから見える光に目を覆う。]

    クリス「な……なんで……」
    クリス「なんでこんな、『ノムレスの心臓』の反応が……!?」
    スーラ「ど、どうなってるんだい これは」

    [戦闘態勢に入るササラギ。]

    ササラギ「二人共」
    ササラギ「緊急事態です。即刻対応しなさい」


    [場面転換。ササラギ小隊宿舎。食器を片付けるトスクのポケットの中に入っている通信端末が鳴る。皿を片手に通信端末のスイッチを入れ、応答するトスク。]

    トスク「はい、もしもし。こちら、トスク=グロークです」
    ???「もしもし。こちら、ラスタ=グローク。お前のパパだぞ。」
    トスク「父上 お久しぶりです! お元気でしたか?」
    ラスタ「ああ。パパはこの通り元気だ。お前も元気そうで何よりだ、トスク。パパは嬉しいぞ。」
    トスク「父上、僕ももう十九ですよ。パパはやめましょうよ」
    ラスタ「何をいう。私は何と言われようとお前のパパだ。そこは譲れない。」

    [聞きながら盛大に笑うトスク。]

    トスク「そ、そうですか……。」
    トスク「ところで、父上。たしか仕事だったと思ったのですが、何かあったんですか?」
    ラスタ「ん?」
    トスク「仕事中に掛けてくるなんて、と思ったんで……」
    ラスタ「察しのいい子に育ってくれたな。……ああ。その通りだ。」
    ラスタ「いや、なに。大した用ではないんだが……そちらに……ヴル=テナー=サックス……という人はいるか、と聴きたくてな……」
    トスク「ヴル? さっきまで一緒にご飯食べてましたけど」
    トスク「なんで父上が?」
    ラスタ「ああ……ちょっと知り合いでな。用があって掛けてみたんだが、出ないもので心配になったんだ。」
    トスク「そうなんですか。僕が声掛けて───」

    [トスクの言葉の途中で、勢い良く扉が開く音が響く。]

    スクルト「グローク! 良かった! まだいたんだね!」
    トスク「バーランス?」

    [トスクは通信端末を少しだけ耳から離し、スクルトの方へ向く。]

    トスク「どうしたんだ、そんな慌てて」
    スクルト「大変なんだ」
    スクルト「ラインライクの方で『ノムレスの心臓』持ちが暴れてるって……!」
    トスク「なんだって?」
    ラスタ「トスク」
    トスク「父上! すみません、僕は行かなきゃ」
    ラスタ「ああ。事情は理解した。聞こえていたからな。パパにもやらなきゃいけないことができた」
    ラスタ「お前を傍で守ってやれないことだけが辛い」
    トスク「父上。さっきも言いましたけど、僕もただ子供じゃないんです。」
    トスク「父上に恥じない働きをして、父上を驚かせますよ」
    ラスタ「……さすが我が子だ。……非常に名残惜しいが、またな。」
    トスク「はい。また……」

    [通信端末からプッと切れたような音がする。]

    スクルト「グローク、今の……」
    トスク「僕の父上だ。……それより、ラインライクの状況は?」
    スクルト「あ、ああ。えっと……今、隊長たちの支援にヴルとザッツ……あとラタが向かってる」
    トスク「分かった。」
    スクルト「僕はグリードにも声をかけてくるよ」
    トスク「頼んだ」

    [二人は扉から飛び出し、それぞれ別れて走っていく。]

    [場面変更。各々武器を持ち、『人型の異形』と対峙するヴルとザッツ。異形の攻撃は地面を抉るほどの勢いでヴルやザッツにメチャクチャな攻撃を仕掛けてくる。ザッツはヴルに合図をすると、わざと地面に横たわり、異形が片腕を振り下ろした瞬間に攻撃を避ける。異形は片腕を引き抜こうと暴れる。]

    ザッツ「僕の音波攻撃を喰らえぇー!」

    [膝を付きながら、先がラッパのようになった謎の銃を異形に向けるザッツ。彼が引き金を引くと、バンッという音と共に異形のもう片方の腕が弾け飛び、その体躯のバランスが崩れる。その異形の後ろから一つの銃声が鳴り響き、頭部が撃ち抜かれる。さらに突進してきたヴルが、手に構えた警棒についているスイッチを押して警棒の先端を変化させ、異形の胸を貫き、『心臓』を取り出す。『心臓』を失った異形は崩れるようにその場に倒れた。]

    ザッツ「はぁ〜〜〜っ……」
    ザッツ「ちょっとぉ、もう街から出ちゃってんじゃん。」
    ザッツ「ヤバくない?」
    ヴル「……………」

    [通信端末を見つめるヴル。]

    ザッツ「……ヴルちゃん?」
    ヴル「……………」
    ラタ「おいおい、ぼーっとしないでくれよ。前衛がそんなんじゃ、ぼくが動きにくいじゃないか。」
    ヴル「……………」

    [怪訝な表情を浮かべるラタ。ザッツはヴルを見て、目を丸くした。それから、意を決したように微笑み、ラタの肩に手を置く。]

    ラタ「うわ。なんだよ?」
    ザッツ「ねぇ、ラタ。一つ聞きたいんだけどさぁ。」
    ラタ「何だ?」
    ザッツ「『ノムレスの心臓』って統率とか出来るのかなぁ?」
    ラタ「……何でさ?」
    ザッツ「だって、流石に出来すぎてるじゃーん。」
    ザッツ「今まで街に出現したこと……って言ったら、犯罪者の不正な持ち込みばっかりだったじゃん?」
    ザッツ「それが森の中を、街めがけて走り込んでるんだぜ?」
    ザッツ「これ、おかしくなーい?」
    ラタ「…………ザッツ、たまに頭、回るよな。」
    ザッツ「たまに…って何だよぉ。」
    ヴル「……二人共、よく聴け。」

    [突然喋り始めたヴルに驚き、振り向く二人。]

    ヴル「すまないが、目的地を変えてくれ。」
    ラタ「……どういうことだ?」
    ザッツ「街が危ないんじゃないの? どうしてさ?」
    ヴル「ああ、街が危ないのは重々承知している。だが……、そこに行っても意味がないのだ。」
    ヴル「我々が向かうべきは───」
    ヴル「『アンナ療養病院』だ。」


    (了)






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