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    nyamesubmk

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    肌寒くなってきた秋のjwds 恋人の二人

     風が冷たくなって、家の中の空気も冷えてきた。とはいえまだ秋の入り口。その上ドンシクは寒さには強い。しかしまあ気温が低くなると人肌恋しくなるもので、おあつらえ向きに今は恋人がいる。若くて健康的でそのがっしりした体格に見合った基礎体温の高さ。夏場寝るときは頼むから離れてくれ抱き込むなと懇願したら「じゃあ冷房を効かせます」と言い放ったハン・ジュウォン。ドンシクは少し距離を置いて座っている彼につつ、と近寄り腕を抱きしめるようにして体重をかけた。
    「今日は寒いですね、ジュウォナ」
     ドンシクを好きなことを少しも隠そうとしない彼のことだ。すぐその腕が伸びてきて抱きしめられるかと思いきや。彼の手はドンシクの手に触れ、それから何かを確かめるように頬と額に触れていった。
    「ちょっと待っていてください」
    「あ」
     ドンシクから腕を引き抜きソファから立ち上がり、ジュウォンはすたすたと歩いて行ってしまう。ちぇ、なんだよ。ジュウォニで暖を取ろうと思ったのに。
     数分もしないうちに戻ってきた彼の手には暖かそうなブランケットと湯気を立てるマグカップがあった。ドンシクが何それ、と聞く前にジュウォンの手が丁寧にブランケットを巻き付け、あたたかいマグカップを持たせる。マグカップの中身は紅茶で、いい香りがした。
    「体温が低すぎます。大丈夫ですか?」
     ジュウォンが膝をついてソファに座るドンシクを見上げた。三白眼の上目遣い。かわいいったらない。心底ドンシクのことを心配していて、慮ろうとしている。
     そんな子犬みたいな目で見ちゃって。俺だって元警官だし今もランニングは続けてるし、そんなにやわじゃありませんよ。
     そう言ってやろうと思ったけれどドンシクを心配する視線と、大切にしようとする態度がくすぐったくてあたたかくて、何も言えずに自分が淹れるより遥かに上等な味のする紅茶を飲んだ。初めてジュウォンの淹れた紅茶を飲んだときこんなにも淹れ方で味が変わるのかと驚いたのに、もう彼が淹れる味に慣れた。寒いの一言でまるでなにか大切な宝物のように扱われることも、くすぐったいけど受け入れられるようになった。一度は壊れてしまった自分なんかを、という気持ちは今もなくなりはしないけれど、自分がハン・ジュウォンにとって大切なのだということは知っている。思い知らされた。
     自分が誰かの大切であること、いつくしまれること、優しくされることを、少しは許せるようになったのだ。他ならぬこの人のおかげで。
    「うん、大丈夫ですよ。ありがとう」
     紅茶とブランケットのせいだけでなく胸があたたかくなる。いとも簡単にドンシクに幸せを思い知らせる人。隣に座って、と促せば素直に戻ってくる。紅茶をローテーブルに置いて彼ごとブランケットに閉じ込めるようにすればようやく意図が伝わったのか身体を寄せるようにしてドンシクの腰に腕が回った。やっぱりジュウォンが一番あたたかい。
    「俺にはこれが一番」
     ジュウォンの首筋に懐くようにすれば彼が息をのむのがわかった。わかりやすくてかわいいハン・ジュウォン。
    「この後もっとあたたまること、しましょうか」
     耳元で夜を思わせるようにわざとらしく囁いた。ジュウォンは動揺したのが悔しいのか、それとも欲を我慢しているのか少し体に力が入っていた。
    「……やぶさかではありません」
     答えたジュウォンの耳は赤い。
     あんまりかわいいので声を上げて笑うと「ドンシクさん!」と咎めるように名前を呼ばれてしまった。ごめんね、と唇を重ねるとすぐに怒りは収まった。こういうところがかわいいのだ。舌を絡めながら紅茶が冷めるな、と一瞬頭をよぎったけれど。これから熱くなるからきっと冷めたくらいでちょうどいいだろう。
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