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    フィンチ

    @canaria_finch

    🔗🎭を生産したい妄想垢

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    フィンチ

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    付き合ってないふたり
    🔗BDの後のささやかな願い

    #Sonnyban
    sonnyban

    月に願いを その日は特別な日だった。遅刻してしまわないようにアラームをかけて彼の配信に備え、微睡んだまま彼の歌声に包まれて、まだ目覚めきっていない頭で祝いの場に一番乗りして、【アルバーン・ノックス】の時間を彼のプレゼントの為だけに心行くまで使って、最後の仕上げに見守ってくれていたTakaradachiをパーティに連れて行く。大切な人だからこそ僕のできる精一杯で喜ばせたい。そんなワガママに誰かを巻き込むのは少し心苦しかったけれど、それ以上にこの日を多くの人に祝ってほしかった。
     心残りとしてはあまりにも眠くて最後まで見届けることが出来なかったことくらい。けれどそれは仕方のないこと。浮奇やファルガーから予定を聞いて長いお祝いになることは分かり切っていたから、そこで無理をして他にも影響が出るなんてことだけはあってはならない。それが、僕が【アルバーン・ノックス】として出来る最大限のお祝いだから。
     それから、仮眠と言うには少し長い眠りから覚めたのは夕方と呼ぶには遅い時間。欠伸を噛み殺しながら眠気覚ましに飲もうとした珈琲は最後の一杯で、これはまずいと慌てて買い物に出る頃には外はすっかり暗くなっていた。
     春とはいえ夜の時間帯はまだまだ肌寒い。何か羽織るものをと手を伸ばすと、着慣れたコートの隣に大きめのブルゾンが目に入る。一度袖を通したきりの、借りたままの彼のもの。クリーニングに出して戻ってきてからはハンガーにかけていたそれについ手が伸びてしまったのは、特別な日だからこそもう少し彼の存在を感じていたかったのだと思う。ちょっとだけと言い訳をして羽織ると身体の厚みの差かやっぱり僕には少し大きくて、その温かさはあの日のハグを思い出させた。
     軽い足取りで閉店間際のスーパーに滑り込んで、カゴに入れたのは飲み慣れたドリップバッグとパックのオレンジジュースにバタークッキーと板チョコを少々。腕に感じる買い物カゴの重みにこのまま店内を物色する気にはなれず、また来ればいいかと会計を済ませる。所要時間約10分。このまま帰ってもいいのだけど、もう少し歩いていたいようなと思うと足は自然と来たときとは違う道をたどり始めた。
     少し遠回りの帰り道。そこにはもう見頃を過ぎた桜がひらひらと花弁を落としている。
    (せっかくなら満開の時に見れたら良かったな)
     あまり通ることのない道だから気付けなかった。もっと早くに気付けていたなら、桜が咲いていたよと写真のひとつも送れたのに。そう残念に思いながら、満月のもと闇夜に浮かぶ僅かに残った桜の花を見上げる。
     宴の終わりのようだなんて思ってしまったのは、今日という日がもうすぐ終わってしまうからかもしれない。彼にとってはもう終わってしまったお祝いの日。でも僕にとっては、まだあと少しだけ残っているお祝いの日。
     だからもう一度だけと、周りに人がいないことを確認してから口ずさむ。
     彼のためだけに歌う祝福の歌。そこには僕の願いも込めてある。君が前を向いていられますように。君の支えとなれますように。君に多くの幸いが訪れますように。
     ねえサニー、生まれてくれてありがとう。君が【サニー・ブリスコー】として生きていてくれることが僕はこんなにも嬉しい。だから、
    (サニーが、来年もまた幸せな気持ちで今日を過ごせますように)
     そんな願いをこめて最後のフレーズを歌い終えると、後にはさやさやとそよぐ夜風の気配だけが残る。そして、雲一つない夜空に浮かぶ満ちた月を見上げながら、僕は胸の内にもうひとつの願いが生まれていることに気付いた。これを願いと言っていいのか分からない。だってこれはただ僕の個人的な望みだから。でも、できることならその時は、

    「僕も……一緒に笑っていたいな」
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    フィンチ

    DONEふわっとしたMHパロ、ガノレク🔗×アイノレー🎭の馴れ初め
    仲良くなれるかな? とある村のアイルーキッチンで働き始めたアルバーンには悩みがあった。仕事自体は新入りということもあって覚えることも多く大変ではあるが違り甲斐がある。コック長は厳しくも懐の大きいアイルーであるし、手が足りてないようだと働き口として紹介してれたギルドの職員も何かにつけて気にかけてくれている。それならばいったい何が彼を悩ませているのかというと、その理由は常連客であるハンターの連れているオトモにあった。
    「いらっしゃいニャせ!ご注文おうかがいしますニャ」
    「おっ、今日も元気に注文取りしてるなアルバにゃん」
    「いいからとっとと注文するニャ」
     軽口を叩きながらにっこりと愛想の良い笑みを浮かべてハンターを見上げるアルバーンは、傍らに控えているガルクからの視線にとにかく気付かない振りをする。そう、このガルクはやってくるとずっとアルバーンを見てくるのだ。しかも、目が合っても全く逸らさない。ガルクの言葉など分からないから当然会話も成立しない。初めて気付いた時には驚きつつもにこりと笑いかけてみたのだが何か反応がある訳でもなく、それはそれは気まずい思いをした。だからそれ以来、気付かない振りをして相手の出方を窺っているのだが、今日も変わらずその視線はアルバーンを追っているようだった。
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