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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック④
    14日目
    ジムに行くときのトレーニングウェアってどんなのを着ているのか

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    ジムに行くときのトレーニングウェアってどんなのを着ているのか「お願いですから、その格好で表に行くのはやめて下さい」
    「何故だ」
     最近買ったばかりのハイブランドのセットアップを着て、早朝の高級住宅街をジョギングするつもりの無惨だが、コットンジャージー素材の上下には全面ブランドロゴが印字され、色も落ち着いたダークブルーにすれば良いものの、人目を引くブラックとキャメルの組み合わせにしてしまったがために、そこにいるだけで目がチカチカするのだ。
    「顔が良いから何でも似合う」
     そんな問題ではない。確かに似合っているが、そんな問題ではないのだ。
     恐らく、豪華なマンションのエントランスにこの姿で登場するだけで写真に撮られ、ネットのおもちゃにされ、いつの間にかアクリルスタンドとして発売され、一年くらいは揶揄われる未来が簡単に想像出来るので黒死牟は必死で止めた。
    「これで行って下さい」
     某作業着専門店で購入したスポーツウェアを渡すと、露骨に嫌そうな顔をされた。
    「地味だから嫌」
    「動きやすさ、機能性に関しては絶対にこちらの方が優れています」
     実用性重視の黒死牟は以前から、ちゃんとしたスポーツウェアを勧めているのに、無惨は絶対にそれらを着ない。彼は実用性より見た目重視、それも煌びやかなことが第一なのだ。
     お前の格好はコーヒーの紙コップ片手に馬鹿みたいに小さいチワワを抱き上げているハリウッドセレブがパパラッチに撮られる時に着ている格好なんだよ、走る格好じゃねぇんだよ! と黒死牟は思わず言いそうになるが、相手は雇用主なので本音をぐっと抑えた。お前の格好で走るくらいなら、高校時代のボロボロのジャージで走っている方が、よほど体の為には良いわ、と正直思うのだ。
    「今日はもう走らない。ジムに行く」
    「でしたら、これを……」
     同じ某作業着専門店で購入したウェアを渡すが、やはり受け取らない。
     嫌なのだ。錦鯉みたいにキラキラした無惨をジムに連れて行くと、いくら会員制で回りは経営者や芸能人ばかりといっても、そんなセレブリティの中でも無惨は異様に目立つのだ。
     黒死牟も同様にジムに登録して、遠目で見守りながらトレーニングしていたのだが、ちょっと目を離すと無惨の周りに群がるのだ、男が。
     恐らくキラキラチャラチャラして、お遊びのようにマシンでトレーニングしているから、可愛い仔猫が紛れ込んだ、と下心丸出しで近付かれているのだろう。可愛い仔猫なものか、スパーリングでも挑んでみろ、半殺しにされるぞ……と黒死牟は大きな溜息を吐くが、自分も自分で、ノースリーブのピッチピチのコンプレッションウェアでチェストプレスをしていると、数名から舐めるようないやらしい目で見られていることに気付き、自分たちはこういう場所に不向きだと思い知って、自宅の一部を改装してマシンを数台入れた。
     しかし、それでは退屈だと錦鯉は大海に出ようとする。止めても聞かないので会員権だけは残しているのだが、あの群がる蝿を追い払う作業を考えると、うんざりするのだ。

     色々考えた結果、一番害がない手段を取ることにした。
    「無惨様、今日が家でトレーニングしませんか? 裸で」
     黒死牟がサングラスを外して上目遣いで誘うと、無惨の目が輝く。
    「そうだな。私の専属トレーナーであるお前に色々と教えてもらおうか」
    「えぇ、勿論です。手加減しませんからね」
     そう言いながら、二人仲良く手を繋いで寝室へと向かった。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
    2129

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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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