始まりの出会い路地裏で悪魔を殺した後、爆豪はナイフに付いた血を拭き取る。
大昔から存在している悪魔と天使はお互いに対立していた。
悪魔は自由気ままに人間を殺そうとする。そして天使は、人間を殺そうとする悪魔を殺している。
天使と悪魔は、見た目だけでは判断がしづらいため、お互いに難航していた。だが夜になると悪魔は活動を活発にするため、決まって夜に悪魔狩りを行っている。
天使は産まれた時から悪魔は悪いやつだと教えられる。そして殺す術を教え込まれる。ただ、悪魔を殺せるのはある程度の力を持った天使だけだ。
ある程度成長した天使の希望者のみに訓練を行っている。
爆豪はその中で1番優秀だった。そして今日も悪魔狩りをしていた。
そんな時だ、爆豪の運命が大きく変わったのは…、
「なにしてんだ…?」
後から声が聞こえ、爆豪は気だるげに振り返る。
するとそこには、1人の人間が立っていた。赤と白の紅白色の髪に、左右で違う瞳をもった少年だった。左側には火傷跡が大きく残されているが、それが気にならないぐらい、美しかった。
(こいつ…ほんとに人間か…?)
見た目は人間そっくりだが、どこか人間とは違う感じがした。
「…そーだけど、なンか用か?」
「それ、悪魔か…?」
紅白髪の少年は爆豪が殺した悪魔達を指さして首を傾げた。
「あ?あぁ」
「……」
その時、爆豪は少年の後ろにあるのもに気がついた。
黒い、翼──。
爆豪はそれを理解した瞬間に少年に飛びかかり、地面に押し倒した。そして即座に短剣を引き抜くと、少年の首に寄せた。
「アンタ、悪魔か…?」
「いや、違う…」
「…じゃあ…背中のはなんだ…?」
爆豪は少年の下にある翼をじっと見つめた。
少年は少し考えたあと、こう答えた。
「俺は堕天使、元々は天使だった」
「……は?」
1人の天使と堕天使の出会いは、今までの歴史を大きく変えることとなる。悪魔と天使の均衡は崩れ始める。