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    suzusiro

    ツイステ(ラギー右)┆フラメモ(ルドロド)┆スタレ(丹穹)
    吃驚するぐらい遅筆。

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    suzusiro

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    丹穹。スタレ始めて日が浅い奴が書いたので、解釈違いあるかも。

    #丹恒

    珈琲と貴方 列車が宙を飛んでいた。
     窓から見える景色は幻想的で、小さな星々がキラキラと輝いていた。
     何とも非現実的な光景だと思った。
     ソファに背を預けながら、ぼうっと眺めていると、ことりとテーブルに何かが置かれた。
     視線をやれば、そこには珈琲が入ったカップ。
     ソーサーに添えられた手は、しなやかで美しく白い。
     そのまま視線を上げれば、姫子と目が合い、ニコリと笑みを浮かべられた。
    「珈琲は嫌い?」
    「嫌い……ではないと思う」
    「なら、良かった。一人分だけ煎れるのもなんだから、アンタの分も煎れちゃった」
    「ありがとう」
     礼を述べれば、姫子は自分の分の珈琲を片手に、いつも自分が座っている席へと戻っていった。
     記憶がない穹にとっては、自分の好き嫌いもよく分からなかった。しかし、姫子が煎れてくれた珈琲の香りは嫌いではなかった。
     一口飲めば程よい苦さが口に広がった。
     珈琲の味については、よく分からないが「美味しい」と評価しても問題はないだろう。
     そこでふと、三月達は珈琲は好きなのだろうかと気になった。
     三月は何となくだが、甘いのが好きそうで珈琲のような苦いものは苦手そうだ。対する丹恒は甘いのが苦手そうで、珈琲は好きそうに思える。
    「にがーい」と舌を出す三月と、無言で珈琲を飲む丹恒を想像したら、可笑しくて笑みがこぼれた。
     そんな想像を浮かべながら珈琲を飲み終わると、自分も誰かに珈琲を煎れてあげたい気持ちになった。
     姫子は恐らく豆を挽いて煎れる本格的なやり方で、煎れてくれたのだろうが穹はそのやり方を知らない。
     幸いにもインスタントがあったので、それで煎れてみることにした。
     棚からシックな模様が描かれたカップを取り出し、そこにインスタントの粉を入れる。
     どのくらいの量を入れるか分からなかったが、大は小を兼ねるということでいっぱい入れてみた。
     そこにお湯を注げば珈琲の出来上がりだ。
     そこで気付く。
     この珈琲を誰に飲んで貰おうか。
    「…………」
     暫し考えた上で、この珈琲は丹恒に飲んで貰うことにした。
     列車にいる間はいつもアーカイブを読みあさっているらしいので、休憩に珈琲を差し入れたら喜んでくれるだろう。我ながら良い考えだ。
     ふふん、と得意気な気持ちで彼の元を訪ねる。
     ノックをする前に気づかれたが、彼は千里眼でも持っているのだろうか。
    「珈琲……? 穹が?」
     事情を説明し、珈琲が入ったカップを渡す。
     だが、丹恒は受け取ろうとせず、じっとカップを見つめていた。
     まるで毒でも入っているのかと疑うように。
     むっとし、何も入っていないことをいえば丹恒は、ああ違うと口を開いた。
    「誰かに煎れて貰う珈琲は久しぶりだったからな。感慨にふけっていただけだ」
     そう静かに言うと穹の手からカップは離れ、彼の手に行き渡る。
     そのまま瞳を閉じ、丹恒の唇がカップの縁に触れた。
     美形は飲む所作も美しいんだなと、呑気なことを考えていると、そんな美しい彼の眉が潜められた。
    「穹……。この珈琲はどうやって煎れた?」
    「インスタント」
    「なるほど……。粉はどのぐらい入れた?」
    「いっぱい」
     そう答えると、はぁ、と丹恒の溜息が漏れた。
     まるで幼い子供のやらかしを見た母親のようだった。
    「いいか、穹。スプーンで一、二杯でいい。いっぱいはいらない」
    「苦かった?」
    「飲んでみるか?」
     すっと渡される自分が煎れた珈琲。
     興味がないといえば嘘になる。
     そんなに苦いのだろうか? 好奇心のままに口をつけると、口に広がるなんともいえない苦さ。姫子が煎れてくれた珈琲の味には足元にも及ばない。
    「まっっっっっず!!!!」
     思わず、おえっと吐く仕草をする。
     そんな穹の姿を見て、呆れつつも丹恒は仕方のないやつだと言わんばかりに薄く笑うのだった。
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