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    #ちとたち
    aFewDaysAgo

    浪漫書きかけ「こちらへ」
    深みのある色の木材が使われた立派な造りの廊下を歩き、先導役に促されてある一室へ入る。陽の光が良く入る大きな窓には重そうな生地の飾りがついていた。やはり戦時中とあっても、軍の中心部にはそれ相応の品格が求められるらしい。それともあらゆる嗜好品が規制されたこの状況では、部屋を飾りつけることでしか楽しみを見出せないのだろうか。
    正面の丸テーブルには年かさの男が座っている。身にまとっているのは、前線にしかいたことのない自分は見たこともない階級の高そうな軍服だ。
    「よく来てくれたね。橘一等兵」
    「失礼致します」
    促されて向かいの椅子に腰掛ける。人当たりの良いにこやかな笑顔には歴戦の経験が透けて見えるような迫力がある。背後の扉は両脇を警備兵で固めており、前後からの威圧感は緊張感を増すには十分だった。
    「さて、九州二翼と呼ばれていた君の腕前はよく聞いているよ」
    初対面の将校相手に嫌と言うのは憚られたが、しかめた顔は見えていたらしい。
    「こちらまで伝わっているということは君の優秀さの証だよ。私達は君たちの間に何があったかまでは知らない。しかしその類まれなる才能が国のために生かされないというのは頂けないな」
    いまいち話が見えない。空軍に戻れということだろうか。敵だけでなく味方も傷つけたあの場所にむざむざ戻ってたまるものか。
    「私はもう飛行機には乗りません」
    「うん、そうだろう。私が言いたいのは陸軍に来ないかということだ。もちろん階級と給与は昔よりも上げよう」
    「はあ」
    成程。俺は致命的な怪我を負ったわけでもなく五体満足だ。精神を病んだりもしていない。使える兵をみすみす逃す余裕も無いのだろう。たかだか一等兵一人を呼び戻すためにお偉いさんまで出てくるとは。
    「なぜ、私なのでしょうか。私以外にも優秀な兵は沢山いるかと」
    「それにも理由がある。説明するよ。…君、以前基地の近くの店でうちの者と暴力沙汰を起こしたことがあるだろう」
    「っ…はい」
    それは鮮やかに蘇ってくる苦い思い出だ。店の前でなにやら揉めている集団がいたので仲裁に入った。俺が割り込んでもなお罵詈雑言を止めないそいつらの声は耳ざわりでしかなかったが、中心で怒鳴られていた新兵たちには効果があるらしく身を寄せ合って震えていて、そのうち何人かは酒でもかけられたのか髪が濡れていた。その光景に憤慨した俺は、新兵の髪を掴んで引き倒そうとしたのを腕を掴んで止めた。怒鳴っていた兵士たちは皆すでに酒が入っていたようで、見ず知らずの俺にも拳を向けてきた。もとより血の気の多い俺は間髪入れず殴り返し、取っ組み合いの喧嘩にまで発展した。通りかかった千歳と大丸が止めてくれた頃には顔をいわず体といわず痣だらけになっていたようだ。
    「あれはうちの分隊でな、どうも隊の中での『指導』が行き過ぎていたらしい。あの喧嘩で問題になるまで我々も気付かなかった」
    悩ましげな顔で前の将校が言う。つまり、あの揉め事は同じ部隊内での過度な「指導」の結果だったわけだ。喧嘩にしては形勢が一方的だったので不思議に思っていたがそういうわけなら納得できる。しかし続く言葉は予想を遙かに上回るものだった。
    「そこでだ、君に彼らの教官を頼みたい」
    「は?」
    教官。教官とは兵卒の時分にお世話になったあの指導役のことだろうか。あれは経験豊富な叩き上げの人間がやるものではないだろうか。中途入隊で務まるとは思えない。
    「待ってください、それはあまりにも突然ではないですか」
    「これは君に助けられた新兵からの希望だ。本来なら別の部隊の人間をあてがう所なのだがまあ、それによって士気が上がるならこちらとしては是が非でもない」
    「ですが陸と空では随分とやり方が違うのでは」
    「大丈夫だ。君の受け持つ部隊には新兵の他に二等兵や一等兵がいる。基本的なことは同じだし、分からないことは彼らに聞けばいい。何より新兵たちは君を慕っている。…彼らを助けた礼でも伝えようと空軍に連絡を取ってみたら、ついこの間辞めたばかりだと」
    はあ、と曖昧に返事をするも将校は声を潜めて身を乗り出した。
    「調べてみても怪我や病気の記録は出てこない。上官や同僚からの評価も高いうえ、戦争嫌いの気も感じない。何故君は軍を辞めたんだ?」
    「…随分と陸の戦況には余裕がおありのようですね。こんな一等卒の身辺調査に手間をかけるなど」
    「なに、可愛い甥の頼みを断れなかっただけのことだ」
    ぐ、と口をつぐむ。背後の兵へ視線を投げると素早く意思をくみ取った将校が手振りで外へ出るよう促した。
    「余程言いたくないと見える。命でも惜しくなったのか」
    「ええ。…自分のではなく、人の命ですが」
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    k_r88986

    DOODLEちとたちが前提のリバ
    小説とかじゃないただのメモ
    ちとたちリバ普段抱く側ではあるが、橘のあまりの乱れっぷりに前立腺開発へ興味が湧いてしまった千歳。最初は指で弄ってみるだけだったのに次第にエスカレートしてしまい、自分用にエネマグラを買っているのを橘に気づかれて浮気を疑われるも経緯を説明したついでに『俺んこつ、抱いてくれんね…?』と思い切ってお願いしてしまう。まあお前が言うなら…と内心ノリノリの橘が承諾したことでその日の攻守交替が決まり、お互い初めてのようにドキドキしながら夜を迎える。開発済であるが故に指でも感じられる千歳だが、やはりそこは橘の(千歳よりも長さは劣るが太い)ものを受け入れたい。指よりもやや苦しいものの、今までの1人遊びで慣れ親しんだ快楽を楽しんでいた千歳だが、普段は見られないような男らしい欲望を滲ませる橘の表情から目が離せない。一方橘も、飄々とした出で立ちの千歳が自分にしがみついて甘く声を上げる様子を衝動を抑えながらじっと観察していた。1回で終わるつもりだった千歳は達した後も尚硬度を残したそれに驚きつつも未だ満足していなさそうな橘を甘やかすように受け入れる。予想外だったのは橘の体力だ。後ろで達するのは前で達するよりも体力を使うが、それ故に普段千歳と同じくらいのタイミングで体力の限界を迎えていたはずの橘は、攻守の入れ替わった今完全に千歳の限界を超えてしまっていた。始めはわざと艶めいた声で喘いでいた千歳も段々と余裕がなくなり、情けなく掠れた声で休止を求めることしかできなくなってしまう。橘としては、このように自分に翻弄される千歳を見る機会は貴重であるうえに快感に蕩けるその表情がなんとも言えない色気を孕んでいるためになかなか止めることができない。結局、これ以上付き合わせては翌日に障るだろうという橘の意思がギリギリで勝つまで翻弄された千歳はくたくたになって解放された。獣のように荒々しく自分を求める橘の姿、うっとりと濡れたような色気を放つ千歳の姿がお互いしばらく頭から離れなかった。
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