「今週のミディマガ買い損ねたー! ファー!」
「ウゼェ!」
その週、グラビア表紙に起用されたのが若い層に人気の女優だった事で、DO根性北学園周辺のコンビニから発売1日で消えた愛読雑誌。ダチの誰かが買ってねぇかなと期待を込めて廊下で叫び、出てきたヤスに殴られたオレは空を舞い、諦めきれずにまた喚き。そんな繰り返しをしていたら、放課後に金髪くるくる男が憐れみの見下しをキメてきた。
「そのミディマガとやら、生徒会室にあった筈じゃのう」
「ファッ! あんのかよ! チョー読みてぇんだけど!」
荒廃した秩序の中で機能を失った生徒会の持つ専用執務室は、それでも校内と比べればまだ整然としているらしく、何でも揃っているとの噂だ。
喧嘩相手兼バンドメンバーの外道が何故かその生徒会に属して、しかも生徒会番長などと名乗っているのが腹立たしくて仕方ない。競争相手の投票箱に穴を開けたとかいう姑息なやり口だったらしいが、それにしてもコイツに票を投じたヤツらも居たって事だ。気が狂ってる。
「ほう。ハチ公の頼みじゃ、仕方ない。1枚300サウンドルで切り取ってきてやろう」
「たっか! 下っ衆!」
2枚で元の雑誌買えんじゃねーか! お気に入りの連載漫画は16ページもあるんだぞ。