この感情の名前は「見て、にょーりくん」
オカルト部門から帰る道半ば、デビスくんはスマートフォンの画面を僕に突き出してきた。
17時30分の表示。
すっかり秋も深まってきたこの時期、とっくに日は落ちている。その時刻を示すスマートフォンの画面だけがこうこうと光る。どこかうそ寒いような気がした。実際、空気は冷えているが。
「ええと、デビスくん。この時間がどうかしたの」
「え?」
デビスくんは驚いたような焦ったような顔をして画面を覗き込んだ、それから「あっ」と声を上げる。
「電源ボタン押してロックかけちゃったみたいだ。ごめんごめん、フヒィッ」
デビスくんはスマートフォンの画面をたぷたぷと操作する、そして改めて僕に画面を見せた。
「『当選』?」
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