【未完】それはあちらのあの世界◎◎◎◎◎
「…おい…、おい…!!」
「……うん…?」
「おい!目を覚ませ!」
「っ…!」
激しく揺すられ、否応なしに意識を浮上させられる。身の危険であるはずなのに、思うように体が動かない。瞳を開けるだけの気力もなく、ただ脳内だけで反芻を試みる。しかし、乱気流のようなものに飲まれててんでばらばらに落下したということ、それ以上でもそれ以下でもない記憶しか天津飯の脳内には残されていなかった。
「起きるんだ!意識、あるんだろ!」
どこかで声が聞こえる。いや、どこかと言うにはあまりに近すぎる。声と揺さぶりは同一人物であろうと憶測される。天津飯は未だ自由の効かない心と体を鼓舞するように言い聞かせた。もしこの声の持ち主が悪意ある者だったら?ともに飛ばされた仲間はどこにいるのか?もしこの異世界で死んでしまったら―――?
44789