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    #全年齢

    year-roundAge

    oshihamidori

    DONE6/3-6/4こいびとは上官につき展示作品でした。
    樺太道中後半戦、鯉→月ですが、月→鯉なのかは判然としない、そんな微妙な時期の二人を書いております。
    ゆるはらす船 今夜の宿は、往路でアシㇼパ達が世話になったという、ウイルタ民族の天幕になった。アウンダウ、という名の冬の家らしい。アシㇼパと白石の顔を見るなりよく無事だったと歓迎してくれて、酒と食事を振る舞ってくれた。更には一晩だけなら、と一張りまるまる天幕を借りられることになった。我々は礼になるような物品を殆ど持っておらず、唯一手土産の体をなしているのは、月島が豊原で仕入れていた煙草の残りくらいだ。
     たった二箱の煙草を住民は喜んでくれた。日本の煙草は滅多に手に入らないから、と言う。
     この旅が始まってからというもの、あらゆる交渉ごとは月島の担当だ。
     月島を見ていると、言語の習得は重要だなと痛感させられる。同じ言語を解するという安心感が相手の警戒心を解き、結果交渉も上手く行くことが多い。私の陸士時代の専攻はドイツ語で、英語もそこそこは学んでいる。しかし実地での経験がないから、現地でどれくらい通用するかは分からない。月島のロシア語の技倆を目の当たりにすると、言葉の問題だけではなくて、自分には不足が多いなと痛感する。それは杉元に対しても谷垣に対しても思う。
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    largesleepyhead

    DONE2022.11.29:WEBオンリー終了につきパスワード解除

    大遅刻の寂左寂、なんとかできました。
    付き合ってないエロなし全年齢ですが、自分としては少しラブコメっぽい、微糖な感じを目指した…つもりです。

    銃兎さんと理鶯さんが最後のほうでちょこっと出てきます。シンジュク市民のモブも出てきます。

    拙い文章ですが、お楽しみ頂ければ何よりです。
    オンリー主催のいわい様、ありがとうございました!
    どうしたもんか、エリック・サティ「しっかしあんた、マジで納豆好きなんだなァ……」

    エスカレーターの上で、碧棺左馬刻は後ろに立つ神宮寺寂雷に問うともなく呟いた。

    「スープカレーまで納豆入りとか、ちょっとビビったぜ」

    晩秋の昼下り。
    所用で寂雷の元を訪れた左馬刻は、寂雷の誘いで、とある西新宿の高層ビルの地下の食堂街で昼食を摂ったのだった。

    「ふふ、悪くはなかったでしょう?」
    「……まあ、そうだけどよ」

    返す言葉に我ながら切れがない自覚がある。

    「つぅか味見っつっても、"あーん"はねぇだろがよ、"あーん"はよ……」

    つい30分ほど前のことだ。

    自分が注文した「骨付き地鶏と牛すじのスープカレー」が届くまでの間、自分ならまず頼まないであろう「北海道産丸大豆の納豆と有機ホウレン草のスープカレー、玄米ごはん変更」なんてものを喜々と口に運ぶ寂雷を、ついしげしげと見つめていた。
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    miho3

    DONE愛恋奇譚2開催お目出とう御座います。残り少ない時間なのでpw解除しました。どなた様でもご覧になれます。この作品も皆様のお好みに合えば幸いです

    ※この作品は稚作27作品目「Letter of the 6th day」のスピンオフです。ご興味がおありの方はリンク先作品からお先にどうぞ。
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15888559
    Letters from afar※この作品は稚作27作品目「Letter of the 6th day」のスピンオフ作品です。このままでも読める物を書いておりますが、ご興味がおありの方は先にご案内しておりますリンク先の作品からどうぞ先にお読みください。



     あなたはファンレターって出した事はありますか? 返事はいらないけどこの物語の感動を、読んだ時間が得難い幸福な時だった事を伝える手段。そんな物語です。
     
     
     先生の小説との初めての出会いは学生時代でした。恩師がたまたま読んでいて綺麗な装丁だなとじっと見ていたら貸して貰えたんです。借りたその日には読めなくて、週末に読み始めたら読むのが止まらなくなり、読後は暫く本の世界に浸って戻れなくなり、そしてその日は何をしてても読み終えた作品の事ばかりを考えていました。その時に借りた本は先生の二作目です。それぐらい、現実から作品世界へぐいぐいと引き込む力が凄く、今でも先生の作品を読み返す時はこの二作目へ手が伸びることが多いのです。
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    oz_on_e

    MEMO浮世の錠フレーバーに関連する月海亭秘書さんの半回想モノローグ。恋にもなりきれない思慕。セリフらしいセリフもありません。雰囲気で読んでください。※以前にTwitter連投したものの微調整になります。
    独白かつてより、その姿は余りに目にする機会が多かったものだから──天神像ですら"其れ"を模すものとなっている。石錠を眺め、諦めることなく解析を試みようとするあの方の肖像。”忘れていいのだと言われたのだがな”と、あの方は昔呟くと、自嘲の様に笑ったことを覚えている。
    私の記憶の始まりでは、まだその姿を見ることはなく……あの方は敵だらけの大陸で弱く脆い人々の守護者として、恐るべき力を震い続けた。それこそがあの時代に求められた神の強さだったけれど、山岳の奥で静かに暮らしていた幼い私は畏怖を抱いてしまい、訪れる彼に自ら声を掛けることなど、しばらく出来なかった。
    留雲真君の足もとに隠れ、震えている私を困った顔で見下ろすあの方の姿を忘れられない。──今のように、何気ない言葉を口に微笑み頭を撫でてくれるような所作はあの頃には身に付けておられなかった。勿論、終わりの見えない戦いに身を投じ槍を握るあの時期に、穏やかさを得る余裕などなかったはず。
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