日中の茹だるような暑さから一転、ちょうど帰宅時間に驟雨となった外をカンパニーの窓から眺める。その日は傘を携帯しておらず、仕方なく落ち着くまで仕事をして暇を潰すというワーカホリックな一日を終え、ようやく玄関のドアを開けたアベンチュリンは違和感を覚えた。
「あれ? 蒸し暑い?」
そんなアベンチュリンの声を聞いたお菓子たちが駆け寄ってきたかと思うと、一斉にアベンチュリンに対してむにゃむにゃと必死にアピールをしてくる。三匹ともその表情はどことなく疲れていて、この状況証拠とも合致していた。
「……あっ、エアコン止まっちゃったのかい? ごめんよ、何か冷やすものを――」
鞄を玄関に置き去りにしてお菓子たち共にキッチンへと向かったアベンチュリンは、冷凍庫にやたらと溜まっていた保冷剤をかき集めてタオルに包み、それをリビングの床へと置いた。
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