新レオドン鍛錬後のドナちゃん(3徹中)
ドナテロはよろよろとした足取りでソファに飛び込む。
緩慢な動作で枕に顔を埋め、突っ伏したまま動かなくなった。
「運動不足が過ぎるんじゃないか?ドニー」
震えている太ももをそっと触れるとびくんと動いて、枕の隙間から涙目で睨まれた。
批判するような目には肩を竦めるしかない。
確かに今日はちょっと鍛錬の内容は厳しかったのかもしれないが(実際ミケランジェロもその後大人しく部屋に帰っていったくらいだ)たかが数時間で動けなくなるくらいまでの肉体疲労はドナテロにも原因があるだろう。
「うぅ、鍛錬バカにはわからないよ…」
何やら唸りつつもその良く回る口から発せられたのは存外単純な悪口だったので、きっと彼もそれをわかっている。
珍しく幼稚な物言いには腹も立たないし、ちょっと可愛いとか思ってしまうくらいだ。
しかしながらソファに沈みこんだドナテロを見ているとどうにも、目に毒だ。
ミケランジェロの食べ残した菓子の残り香がするようないつものリビングであるはずなのに、そこにドナテロがごろりと寝転んでいるだけなのに。
昨晩のことがどことなく連想されるようで、この鍛錬後の程よい倦怠感も熱の名残もどこか勘違いしそうになる。
「……今、ちょっと興奮した?」
クッションに埋もれたままのくぐもった声、薄く開く涙の溜まった瞳。
それらがぶわりと熱を帯び、慌てて目を逸らす。
伸びた腕が批判するように背を向けるレオナルドを突いて、それに拒否する間もなく惹かれるがまま振り向く。
「っそんな、ことは」
くすくすと聞こえる笑い声はどこか艶を帯びていて、意図的なのがすぐわかる。
ドナテロは特に何もしてないのだ、ただそこに居て笑い声をあげるのみ。
それなのに、一度上った熱は冷めるのに苦労する、発火源が目の前になるなら、猶更。
「まだ昼間だよねぇ、どうしようね」
こうなるとドナテロは非常に厄介だ。
見上げるその視線に熱情はなく、愉悦が内包されていてレオナルドの今の心情は全て伝わっているに違いない。
伝わっていて、手助けするわけでもなく否定するわけでもなく転がるのは彼の掌上。
「ちょっとくらい悪い子の方が世の中生きやすいんだよ」
まるで見透かしたように、ドナテロはコロコロと笑った。