今回のシリーズでテーマになっていた“救い”について私は個人的に、ただ生き延びることが“救い”ではないと考えています。
虚だって死にたがっていたし、忍だって4回目の転生で最初から「もういいよ」って言ってたし。ただ長く生きることだけが救いじゃない、そう思ってこの結末にしました。
逆に忍は「いつ死んでもいいや」くらいに思っていたので、最初から最後まで銀時を中心に、誰かに尽くすためだけに動いていた。だから銀ノ魂篇最後で「自分を救うために」という課題を投げつけられてかなり混乱してたんですね。
話が逸れたけれど、あれだけ救っといてアルタナ組の命を救わなかったのは、生身の人間である忍の限界を兼ね合わせた結果と、私の中で「救い=長生き」ではないから、でした。
松陽先生と朧は忍が生まれる前からアレだったのでどうにもできず、高杉は銀ノ魂篇で忍が宇宙サイドに行けば救えたかもしれない、けれど真選組がある・白夜叉の影再来・オリ主vs虚が見たかった・朧の行動、これら含めて考えた結果、地球側に来てもらうことになりました。
ちょっとその辺無理矢理感ありますけどね。馬董生かすのに単行本渡したり、朧がほぼ万斉のパクリだったり。朧が高杉に血を与える所とか、絵にしたら腐になりそう……と思いながら腐にならない表現を全力で選んで書いた記憶()
恐らく忍を真選組に入れなければ、高杉は救えてたんじゃないかな。そうなると朧信銀の組み合わせになったのかな。でもそうすると話全体的に真選組空気になるしな……うーん……
そしてタナ杉を生まなかったのは、タナ杉がまた不死の力を持っている可能性も無きにしも非ず、その可能性を恐れてのことでした。
アルタナを完全に根絶させ、不死や転生を二度と生まない設定にするため。そしてモノホンの高杉を鬼兵隊やヅラと最期に喋らせたかった、その結果こうなりました。
この世界線では今後高杉が出てくることは二度とないと思う。銀時とも最期の言葉しっかり交わしてたし、それも含めて、残酷ではあれど、個人的に綺麗な終わり方にしたかったんです。
その代わりに彼らを“救う”ために入れると決めていた展開が、朧と松陽先生の和解、朧と弟弟子達との和解、松陽先生と万事屋坂田銀時のしっかりとした会話、高杉と鬼兵隊の会話、そして村塾攘夷の飲み会でした。
その会話の時間と機会を作るために、忍をこの世界にぶち込みました。ここに書いた点が、このシリーズの基盤であり目標でした。
それと同時に、村塾組3人を“救う”ことも目標として書いてきました。
“救う”というより“支える”の方が正しいかもだけど。
銀時・桂・高杉の一番苦しい時代である攘夷戦争時代、戦いで銀時を、作戦立てで桂を、趣味や他の場面で高杉を支える、そんな立ち位置にしていたことに気づけたかな……?微妙だな……
まぁ忍本人も当時まだ未成年だったし、本編では本人が環境に耐えられずぶっ壊れてしまったから、あまりそういうシーンを書けなかったんですけどね。番外編で散りばめてたけど……かなり深読みしてないと気づけなさそう。
辰馬がいない時は彼ら3人の保護者役を担っていたけど、忍も人間だしね。苦しかったんだよね。そして辰馬はマジ保護者。
辰馬は精神的サポートする必要が無いから、代わりに腕だけはなんとしてでも救わせました。……銀ノ魂篇に剣で戦う辰馬、本当はもっと見たかったんだ。書けなかったけど。
そう、忍の“救う”は、ただ命を救うだけじゃない。
命を護るは当然のこと、苦しむ彼らを精神的に支えてやる、悩みや心残りを解消させてあげる、そんな感じで行動一つ一つに意味を持たせました。
番外編で新八が気づいてくれてるよね、銀時を精神的に支えてくれてるって。そこに気づけるのが新八であり、新八だからこそだと思う。新八はほんと新八。(語彙力)
鴨太郎と親友になったのも、彼が孤独を感じているのを知っていたが故。ジャムおじさんも、道信も、ただその場を助けるだけじゃなく、未来まで保証する。
……こう見るとほんとよく頑張ってくれたな忍。
結構なチートじゃないとできなかったんじゃない?人生4回目とかじゃなければ。
そしてこのシリーズ、忍自身を救うことも目標の一つでした。
完全に小卵菓子ワールドの話になってしまうけど、今まで、シャラ、ソウと2回目・3回目の彼(彼女)の人生を書いてきたけれど、そういや1回目含め毎度早死にしてるなって。
1回目は感染症病死、2回目は原因不明死、3回目は敵との相打ち……何れも40歳未満で死んでるんですよね。
しかもどれも親に恵まれないという。1回目は父親虐待&16で母交通事故死、2回目は父親虐待&6で母病死、3回目は父親不明8で母親から家を追い出された。
だから今回、優しくて息子想いな母親と再会させました。父親は最初の設定の都合上どうしても再会させられなかったけど……可愛くない弟()で補……えてるか?
4回目の人生で、初めて大人である状態で母親と会わせてあげられました。と同時に銀時が幼馴染の親と挨拶するという貴重なシーンが見れて超満足←
今後も彼の波乱万丈な人生は続きますが、そんな彼が初めて、遠い未来に“夢”を作ってくれた。それは今までのどの人生でも無かった事で、今だけを見て命を投げ出す彼が、ようやく自分の命を大事に生きることを誓ってくれました。
語ってくれた未来を実現させるべく、そして今度こそは長生きして、大団円を迎えてほしいものです。
そんな感じで、“護る”をテーマにしていた原作に対し、“救う”をテーマに書いてきたシリーズでしたが。
それでも、花見酒のシーンは幽霊じゃなくてリアルでやってほしかったし、本当に彼らを救えたのか、そんな忍の言葉は私自身の言葉だったりもします。
この結末や展開を見て読者様がどう思うかは分かりませんが、私の中で、そして忍の実力での精一杯がこれでした。
これも一つの世界線として、誰かに気に入っていただけたら、嬉しい限りです。
余談ですが。
私は基本現実主義の原作準拠タイプなので、基本オリキャラ以外は全く原作通りにさせています。
原作に無い設定を勝手に追加したり、あまりにも無茶な展開やチート能力は入れません。人間の限界・その世界での限界を踏まえた上で、自然な流れになるよう、変な齟齬が生じないよう設定を組んでいます。
原作と違う動きがある人も、その人のスペック・体調・性格を踏まえた上での行動を考えています。
オリ主の実力が及ばない部分が出てくるのはそういうワケです。