夏の日の 真夏の炎天下、茹だるような暑さ。蝉の鳴き声が煩い森林を背に向けて、墓石に手を合わせる。火を点けたばかりの線香からは煙が立ち昇り、独特な薫香が漂っている。
目を閉じて、黙祷する。合わせた手に持った数珠は、父の形見だ。幸か不幸か、急逝した父が遺した物は多かった。整理がつかない気持ちも同じくらい深いが、形見には困らなかった。
…黙祷するフツオの横で、足音が聞こえた。足音は数歩、砂利を踏みしめて立ち止まる。誰だろうと、顔を上げて振り向いたフツオは驚いた。
「ヨシオ君?」
「あ…フツオ君、すみません、邪魔をして。」
謝るヨシオに「大丈夫」と言って向き直る――誰の葬列に訪れたのだろうか、外気温は三十度に達する暑さだと言うのに、ヨシオは礼服を着込んでいた。スーツの為か、広い肩幅にすらりとした長い足がよく目立つ。俳優のようなハンサムな顔の額には、汗が滲んでいた。
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